中国輸入ビジネスの大失敗談、第3回です。
続き物となっておりますので、第1回目の記事から順にお読みいただければと思います。
OEM販売の始まり
7月になり、いよいよコンサルタントさんの力を借りながらのOEM販売がスタートしました。
私の受けたコンサルティングは、面談でお話したその方の他に、コンサル生それぞれに対して講師がつくスタイルです。
私にはSさんという方が講師としてついてくれることになりました。
コンサルティングの具体的なかたちは、主にChatWorkでのやり取りです。
まず、スタート時にリサーチから販売方法までの一通りの資料をいただくのですが、それらの多くはコンサルタントさんが自身のブログで無料公開しているもの。
その中に何割か、コンサル生専用の記事が混じっているという感じで、高いコンサル料の対価はこの資料にあるわけではありません。
あくまでも、そのときそのときの臨機応変な判断について、自身もセラーとして実績を上げておられる講師の助言をいただくことが、コンサルティングの主なメリットでした。
まずやるのは、Amazonの市場をリサーチして、旨味のありそうな商品(市場)を見つけ、そこで実際に売りたい商品のベースとなる商品を、中国最大のECサイト・アリババで探す、という作業です。
幾つか候補を見つけたら、それを講師のSさんに提出して、行けそうかどうかをジャッジしてもらうのです。
見込みがなければNG。あるいは他のコンサル生がすでにチャレンジしている市場であるなら、バッティングしているということでNG。
何となく想像がつくかと思いますが、この段階でOKをいただくのが結構大変なことで、しばらくはリサーチ→提出→NG、というループが繰り返されました。
後になって考えると、これは私が特にヘタクソだったというのもありそうなのですが、まだ嗅覚の磨かれていない初心者には基本的に難しいことなのです。
正直なところ、これを書いている今でも、まだよくわかっていません。最後までその真髄に触れることのないまま、手を引くことになってしまったという感じです。
最初の商品
手探りのリサーチを続けていたのですが、そうこうしているうちに「これはいいですね」という反応をSさんからいただける商品が、ぽつぽつと出てきました。
そうなったら次にやるのは、それらのサンプルを中国から輸入し、自分の目と手で確かめることです。
輸入代行業者を介してアリババで注文し、日本に送ってもらう。
わずかなサンプルのためにそれなりの輸送費をかけることになりますが、この行程はマストなものであるというのがコンサルタントさんのスタンスでしたので、私もそれに従いました。
届いたサンプルは想像していた通りのもので、品質的にも申し分なし。
そしてそのうちの一つを、私の第一の商品として売ることを決めました。
商品そのものに改良すべき点は特に見当たらなかったので、今回はパッケージをオリジナルのものにするだけ。
これは「簡易OEM」とも呼ばれているもので、OEM販売全体の中では簡単な部類に属する売り方です。
そのコストも含めて計算したところ、利益率はおよそ25%。
ちょっと低いのが気になりましたが、少しでも早く最初の商品を出したいという思いがあったため、コレでゴーサインを出すことにしました。
こまごまとした作業――発注前
中国輸入ビジネスをざっくり説明するなら、「中国から商品を輸入して、日本で売る」という、ただそれだけのことなのですが、どんな物事にも詳細というものがあります。
この詳細が、初心者の私としては本当に多岐にわたり、それなりに苦労しました。
一つ一つの決断と実行が「難しい」わけではないですし、実際に動くのは私ではないのですが、あちこちに話をつけなければならないのが結構大変だったのです。
まず、オリジナルのパッケージを作ること。
商品のサイズから、必要なパッケージのサイズを計算し、まずはその展開図データを日本の業者に発注。
そして、出来上がったデータに乗せるべきデザインを作成する必要があります。
今回、デザインはロゴだけのシンプルなものにし、私自身がそれを手掛けました。
そして展開図データとデザインの詳細を、代行業者の担当さんにChatWorkで渡すのです。
ちなみに代行業者さんですが、顧客である私とやり取りをする現地スタッフは、すべて中国の方でした。
しかしどなたも日本語がほぼ完璧なので、意思疎通の点で困ることは一切ありませんでしたし、最後まで何か不快感を抱くようなこともありませんでした。
右も左もわからない状態の中、データの納入方法などで基本的なことを教わったりもして、今でも良い思い出になっています。
本発注
さて、そんな風にして代行業者さんに一連のデータを渡したら、いよいよ本発注です。
私が師事したコンサルタントのやり方は、いきなり大量の在庫を抱えるというものでした。
パッと聞いただけだと、これは非常にリスキーなものに感じられますが、コンサルタントさん曰く、最初に少数だけ発注して売り始め、その在庫が切れてしまうのは非常に良くないことであるとのことだったのです。
そのことでAmazon内の検索順位が落ちてしまい、また新規出品の商品に与えられた「順位が上がりやすい時期」を無駄に消費してしまうからです。
そんなわけで、私はその商品――全部で3色のバリエーションがあったのですが――を、合計で500個、発注することに決めました。
これだけで数十万円です。コンサル料、代行業者の月額、税理士法人の月額等、固定費がかかる中、これを決定するのはそれなりに腹をくくる必要がありましたが、躊躇していても機を逃すばかりで一銭にもなりません。
この辺り、あえて感覚を麻痺させてやっていたところがありましたね。
こまごまとした作業――発注後
商品を発注した後は、少しの空白期間ができるのですが、このあいだにAmazon側の商品カタログを作ってしまう……というわけにはいきません。
今はもう変わってしまったようなのですが(詳細は後述)、この時期のAmazonは、商品カタログが作られてから一定のあいだ「ボーナス期間」のようなものがあり、そのあいだにたくさん売ると、検索順位が上がりやすい仕組みになっていたのです。
なので、商品カタログを登録するのは、商品がAmazonの倉庫(FBA)に納品される直前にすべき。これが鉄則となっていました。
それに、今回はパッケージをオリジナルのものにしたわけですから、それが出来上がった後でなければ、画像を準備することができません。
また、商品にはAmazonから指定されたラベルを貼る必要があるのですが、このラベルは商品カタログを登録した後でないと作成できないという事情がありました。
ここが難しいところです。今しがた「FBAに納品される直前まで商品カタログの登録を控える」旨を説明したわけですが、納品準備を行うためには商品カタログの登録が必要になるのです。
つまり、商品カタログ登録→ラベル貼り→FBAに納品、の流れを電光石火で行う必要があったわけですね。
これを考慮すると、次のことが言えました。
「代行業者にラベルデータを送って中国で貼ってもらうと楽だが、それだとカタログ登録から納品までに時間がかかりすぎる。
なので、いったん自宅に商品を送ってもらい、自宅からFBAに納品する必要がある」
しかし、自宅に500個もの商品を送られて、それを全部さばける自信が、そのときの私にはありませんでした。
また、先述した商品画像の問題もあります。
商品カタログを登録する時点で、きちんとした画像を業者に作ってもらっている必要もあるのです。
これらを考慮した結果、私は次のような段取りを踏まえることを決めました。
- 発注したものが代行業者の倉庫に届いたら、撮影用&初期納品用に100個だけ自宅に送ってもらう
- そのうち数個は日本の撮影業者に送り、まず画像を作成してもらう
- 画像を納品してもらったら、商品カタログを作って登録し、ラベルデータを取得する
- 急いでラベルを商品に貼って(ラベル用のシールも買う必要がありました)、FBAに送る
- 代行業者にもラベルデータを送り、中国側に残っている400個の商品をFBAに直送してもらう
ちょっとややこしくなってしまったのは、量にビビって、商品を100個と400個に分けてしまったためです。
でもまあ、一応最初の100個は無事にFBAに納品され、販売がスタートしました。
9月中旬のことです。コンサルティングを受けてから2ヶ月と少しが経っていました。
この頃の中国輸入ビジネスの定石として、まずは採算度外視の大安売りを展開することから始まります。
幾らで売りさばこうが、とにかく個数が売れれば検索上位に行くことができるので、まずはそうやって強引に「売れ筋商品」になるのです。
その結果として、誰の目にも留まるような位置まで行けたら、そこで初めて値段を普通にしていき、利益を取り始める。
その間、スポンサープロダクト(広告出稿)も予算を考えながら展開していき、適切な商品露出を心がける。
あとはライバルとの関係性を考えながら細かな調節をしていき、商品カタログを大きなものに育てていく――。
それを講師のアドバイスを聞きながら上手く導いていくのが、販売後にやるべきことでした。
中国輸入ビジネスにおいて最も重要なのはリサーチ。
しかし販売後の行動によっても、命運は大きく分かれるもの。大胆さと慎重さを兼ね備えた、実のあるブレない行動が要求されるところです。
しかしこれが、なかなか思うようには行かなかったのです。(つづく)
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