中国輸入ビジネスの大失敗談、第4回です。
続き物となっておりますので、第1回目の記事から順にお読みいただければと思います。
細かい難航の数々――合わせ買い
まあどんな物事にも言えることなのかもしれませんが、いろいろと想定外のことは起きるものです。
一応Amazonでの販売までこぎつけた第一の商品でしたが、まず価格設定のところで予期していなかった事態に陥りました。
その商品は、最終的には1,480円で売るつもりでいたものだったのですが、最初に安売りで数をさばくにあたり、300円を切る価格にすることを想定していました。
これは本当に破格です。何しろFBAからお客様のもとへ届けるのに必要な送料だけでも360円取られるわけですから、1個売るごとに資金が減っていく計算なのです。
しかしこれは、当時のAmazonで中国輸入ビジネスをやっていく上で、絶対にやっていかなければならないことでした。
オススメ順でソートされたら末席にいる新参者を、お客様の目に留まるようにするには、価格の低い順でソートしたときに上位に位置させる必要がありましたし、それで数が売れれば、価格が幾らであっても実績となってランキング上位にあがっていけたからです。
そんなわけで250円と設定してみて、きちんと反映されているかどうか、商品カタログを確認してみたのですが……ここで問題が。
いわゆる「合わせ買い商品」に指定されてしまい、他の商品と合わせて2,000円に達しなければ買うことができないようになってしまったのです。
言うまでもなく、そうなってしまった商品は、いくら安くてもあまり売れてはくれなくなります。
私の頭の中に、合わせ買い商品の発想がまったくなかったものですから、結構焦りました。
安売りしているすべての商品が合わせ買いの対象になるわけではないので、運悪く選ばれてしまったのです。
このままではスタートダッシュが切れません。
いろいろ試してみたところ、800円くらいに設定すると合わせ買い対象から外れるようでしたので、講師のSさんとも相談して、まずはその価格で売り始めることにしました。
馬鹿売れは期待できない中途半端な価格ですが、仕方のないところです。
細かい難航の数々――在庫切れ
そんなわけで800円という価格から実質スタートした第一の商品でしたが、それでも数日かけてじわりじわりと売れていきました。
それは喜ばしいことだったのですが、ここでまったくべつの方向から、次の問題が発生しました。
中国側から商品を輸送する(代行業者がFBAに直送する)タイミングの問題で、在庫切れを起こしてしまうかもしれなくなったのです。
どういうことかは、前回の内容を思い出していただければおわかりでしょう。
そう、私が発注した500個のうち、最初にFBAに納品したのは100個。
残りの400個はまだ中国側(代行業者の倉庫)にあり、予定では、最初の100個のどれかの色(3色のバリエーションがありました)が在庫切れを起こす前に、FBAに追加で納品されるはずでした。
それが、少しの時間ですが、間に合わなくなる可能性が出てきたのです。
この辺り、とても複雑な皮肉です。
大安売りをしようと思ったら、合わせ買いのシステムに阻まれてできなくなった。
しかしその割には売れてくれた。
そうしたら今度は、在庫切れの危機に見舞われることになった。
今さら考えても仕方のないことだったのですが、最初から500個全部自宅に届けてもらっていれば――という後悔は、正直ありましたね。
結局どうなったかと言いますと、ほんの2日ほど在庫切れの期間ができ、その後で400個がFBAに納品される、ということになりました。
在庫切れによって、そこそこ上がっていた検索順位は少し下がってしまったのですが、これは勉強と思って受け入れるしかないところ。
気を取り直して、しっかり売っていくことを改めて決意しました。
追加発注
そうこうしているうちに、第一の商品が合わせ買い対象から外れていることに気が付きました。
これで問題なく、破格の値段を付けることができます。
ここからは、Sさんと相談しながらの細かな調整を行っていきました。350円まで下げたり、それを500円に上げてみたり。
検索順位は、販売開始から10日ちょっとで、2ページ目まで上昇しました。
売れる個数は、平均すると一日に20個以上は行っていたように記憶しています。
まあまあ順調だったのかもしれませんが、コンサルタントさんの方針として、1ページ目の上位に位置するまでは、本来の価格にして利益を取りに行くことはしないというのがありましたので、まだまだ我慢の時期です。
この時点で、もう次の発注を行う必要がありました。
発注してから商品が代行業者のもとに届き、それがFBAに納品されるまでには、簡易OEMであっても2週間くらいはみておく必要があり、先手先手で動くことが求められたのです。
問題は個数でした。また500個にするか。いや、この感じだと500個程度ではすぐにまた同じことでバタバタしてしまうだろう。ではもっと増やす必要があるか――。
いろいろ考えた末に、次は1,000個を発注することに決めました。
これを先払いした段階で、残りの資金は50万円弱。固定費のことを考えると、この1,000個を売るあいだに商品カタログが1ページ目上位にあがり、利益を取るフェーズに移行できなければ、ちょっとヤバイな、という綱渡りです。
もちろん気持ちとしては綱渡りなんてしたくなかったのですが、ここは止まれないところでした。
といっても、この時点では、価格や在庫切れでゴタゴタした割には良いペースだったので、危機感までは抱いていなかったように記憶しています。
台風、地震、自虐
今度の注文は、シンプルにすべてを代行業者からFBAに直送する形態だったし、商品の写真撮影なども不要だったので、作業としては気楽なもの――のはずでした。
しかしここで、まったく予期していなかった問題がまたしても発生。
中国側から商品を輸送する(代行業者がFBAに直送する)にあたっては、関西国際空港を使うようになっていたのですが、その関空が、台風の影響で機能停止してしまっていたのです。
そしてちょうどのそのタイミングで、中国が国慶節で1週間ほどの休暇に入り、合わせると10日間ほど納品が遅れてしまう可能性が出てきました。
しかも、精神的に追い打ちをかける事態が、もう一つ。
Sさんのアドバイスで、商品画像を新しいものに変更しようということになり、前回お世話になった撮影業者さんのもとに商品を送ったのですが――その業者さんは北海道にあり、ちょうど納品予定日ジャストで北海道地震が発生。
その結果、納品が数日遅れることになってしまったのです。
このときの私は、正直かなり混乱というか、自虐的になっていました。
資金のショートを恐れて、できるだけ早く動いているというのに、自然災害が次から次へとやって来て、それを邪魔する。恐ろしくタイミングが悪い。
これはもしかして、上手くいかない運命なのではないか――そんなことを最初に考えたのが、この時期でしたね。
この事態を乗り越えるべく、いろいろ工夫した痕跡が、Sさんとやり取りをしたChatWorkのログに残っています。
資金を確保することと、在庫切れを遅らせることの両方を狙って、例外的に価格を1,000円に上げてみたり、広告へのお金のかけかたをいじってみたり、あからさまないやがらせレビューの削除要求をAmazonにしてみたり。
まあビジネスなのですから当然ですが、懸命にもがいていましたね。
再び融資へ
この時期、並行して融資を受ける話を再び進めていました。
以前の融資の話を思い出していただきたいのですが、日本政策金融公庫との話は流れてしまったものの、信用保証協会との話は中途半端なところでストップした状態になっていました。
なので、コンサルタントさんとしっかり契約を交わした今なら、後者の話を問題なく「再開」することが可能だったのです。
今回は、大胆に300万円の融資をお願いする、という方針を固めました。
このビジネスはとにかく最初に大金が出ていく、ということが身にしみてわかったので、そのくらいの金額を手に入れないと、安定的にやっていけないだろうと考えたわけです。
地銀の担当さんとの面談を再び済ませ、あとは信用保証協会がどのように判断するか、というところまで話を進めることができました。
その結果どうなったか?
――それを語る前に、まず第一の商品の展開について語る必要があります。
伸び悩み
台風と地震で散々なことになっていた第一の商品でしたが、不幸中の幸いというべきでしょう、輸送の遅れは最小限に留まってくれました。
その結果として生まれた在庫切れの時期はごく短いもので、私はそれを「マルチチャネル」と呼ばれるAmazonのサービスで凌いでいました。
これは、FBAに納品したものを「自社配送の名のもとに」お客様にお届けできるサービスです。
これを使って、配送にかかる時間を「7~10日」と長めに設定し、在庫のない状態でも注文受付を続行するという方法を採ったわけです。
そんなこんなで、何とか1,000個の商品がFBAに納品され、さあここが踏ん張りどころだ、となりました。
この時点で、資金の残りは30万円弱。
利益を取れるところまで検索順位を上げるか、融資を受けることができなければ、確実に終わる――という瀬戸際にいた割には、懸命に前向きになっていたように思います。
……しかし、ここから本格的な試練が始まりました。
2ページ目まではまあまあのペースで上がっていた検索順位ですが、1ページ目の最後のほうまで上がったところで、伸び悩むようになってしまったのです。
依然、採算度外視で販売を続けています。
広告もかけ始め、これが一日あたり数千円かかるので、商品を売ることが利益にならないと、資金はすごい勢いで減っていくことになります。
検索順位が上がってくれる前提ですべてを回していたのであり、ここが思った通りに行かないとなると、ビジネスが根底から崩れてしまうわけです。
売上個数で言えば、毎日コンスタントに売れている。
従って、在庫もどんどん減り続けている。
しかし、肝心の検索順位が上昇してくれない。
Sさんの指導のもと、様々なことを試みたわけですが、1ページ目のお尻付近に見えない壁があり、どうしてもそれを越えることができずにいました。
この辺りで、Sさんから、第一の商品について「撤退も視野に入れること」をアドバイスされ始めます。(つづく)
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