今日からしばらくのあいだ、私が2017年の11月から、2019年の2月にかけて続けていた、中国輸入ビジネスと呼ばれるネットビジネスの顛末について語ってみたいと思います。
まあタイトルを読んでいただければおわかりの通り、これから語る話は、かなり悲惨な結末を迎えることになります。
他人の不幸は蜜の味、ということで、決して誰かを不快にする内容ではないと思うのですが、私自身のプライバシーの問題と、後述するコンサルタントさんとの契約の関係で、詳しく説明することのできない箇所があります。
そういった箇所については、具体的な名称等を曖昧にしておこうと思いますので、その点はご了承ください。
これから中国輸入ビジネスをやってみたいと思っている方、今までもこれからもまったく興味のない方、あるいは今まさに携わっているという方も、バッドエンドに至る私の空回りだらけの奮闘を、それぞれなりに堪能していただければ幸いです。
はじめに:中国輸入ビジネスとは?
まずは知らない人のために、中国輸入ビジネスとはどんなものであるかを、簡単に説明することにします。
中国輸入ビジネスとは、一言でいえば、中国から商品を仕入れて日本で販売し、その差額を利益として獲得するビジネスのことです。
中国は目覚ましい進歩を遂げていますが、物価はまだまだ日本に比べると低いので、輸送費やその他諸々の費用を考慮しても、日本に運んできて売るだけで、十分に利益を出すことができるのです。
販売の仕方として最もスタンダードなのは、Amazonに出品することです。
AmazonにはFBAと呼ばれる倉庫があり、中国から輸入した商品を、その倉庫に直接納品することで、いわゆる自社倉庫を用意することなく、大量の商品を販売することができるのです。
商品の売り方については、主に4つのパターンに分けることができます。
まずいちばん簡単なのが、相乗り販売と呼ばれているもの。
これは、すでにAmazonに商品カタログが存在し、しっかり売れているものに目をつけ、それと同じものを中国のサイトで探して輸入し、同じ商品カタログに出品するというビジネスです。
商品カタログを作成するコストがかからないことと、すでに売れていることがわかっている商品を扱えるという意味で安全であることが長所ですが、ライバルが多く、すぐ暴力的な値下げ競争に発展してしまい、利益率が激減してしまうリスクがあるのが難点です。
次に挙げられるのが、単純新規出品です。
これは、中国のサイトで売られているものを、そのまま何の手も加えずに日本に輸入し、Amazonに新規のカタログを作成して、そこで販売するという方法です。
カタログを作らなければいけないという手間は存在しますが、少なくとも販売を開始した直後はライバルがいないため、少しのあいだ自分一人でその商品を独占的に売り続けることができます。
ただしこのやり方でも、時間が経てば誰かに相乗りされてしまうので、しっかり稼げる期間は短いと言わざるを得ません。
その次に挙げられるのが、OEM販売です。
これは、中国で売られている商品の生産工場と話をつけて、こちらの希望する改良を加えてもらい、それをオリジナルブランドで販売するという手法です。
そのようにして販売される商品は、自分だけのオリジナルであるため、理屈の上では誰かに相乗り出品されることがありません。
競争相手はあくまでも、他の商品カタログの類似品ということになり、相乗り出品の価格競争とは異なる、「いわゆる普通の」競争が展開することになります。
販売する上では、上記の2つのやり方と比べて有利ですが、始めに商品に改良を加える段階ではそれなりにコストもかかりますし、考えなければいけないこともたくさん出てきます。
最後に挙げられるのが、ODM販売という手法です。
これは、商品をゼロから設計し、中国の工場でそれを生産してもらい、日本に輸入してきてAmazon等で販売するというやり方です。
商品の根本的な部分から自分自身で企画するため、初期のコストは非常に大きいのですが、どんなものでも開発することができ、それが当たったときの独占力は絶大なものがあります。
以上の4つのパターンは、後ろに行けば行くほど、初期コストとリスクは大きく、その代わりにリターンは大きい、という関係になっています。
これを踏まえた上で、以降の記述をお読みください。
きっかけは1冊の本
2017年の秋に、私が中国輸入ビジネスというものを知ったきっかけは、ある1冊の本との出会いでした。
ちょうど私はその頃、ネットビジネスに強い興味を持っており、機会があれば何かしら行動を起こしてみたいなと、漠然と思いながら暮らしていたのです。
その本のタイトルは一応伏せておきますが、そこで語られていたのは、相乗り販売によってあなたも簡単に中国輸入で利益を上げることができる、というものでした。
私はその内容に、俄然興味を持ちました。
「それっていかにも怪しい本じゃない?」
とお思いになったかと推察しますが、もちろん私とて、そういう上手い儲け話に何の疑いも持たずに飛びつくような人間ではありません。
というよりは、人一倍疑ってかかるのを基本姿勢として生きてきました。
ですがそのときは、そこで説明されている「再現性の高さ」が、とても強く私を惹きつけたのです。
1冊読んだだけでは、詳しいことはよくわかりません。
というわけで、他にも同じような本がないかと調べてみました。
そうしたら、似たような趣旨のものが結構あるのです。つまり、局地的かもしれませんが、中国輸入というのは一種のブームであるようだったのです。
2~3冊の本を読んだ段階で、私の中の興味は、決意のようなものに変わっていきました。
今までこういうことを行動に移した事はほぼゼロといってよかったのですが、今こそ勇気を出して腰を上げるべきときなのかもしれない。
そんな風に思ったのです。
そこからの私の動きは、私らしからぬ素早さでした。
準備するべきは主に3つです。
まず第一に、専用の銀行口座を用意し、そこに資金を入金すること。
第二に、中国の商品を仕入れるのに必須な、代行業者との契約をすること。
そして第三に、Amazonの商品をリサーチするためのツールの契約をすることです。
たった3つ、と思われるかもしれませんが、腰の重い私にとって、これらのことを連続的にポンポンとこなしていくというのは、それまでの人生ではほとんど無いことでした。
それくらい、私の決意は確固たるものになっていたのです。
ちなみに、この時点での資金は60万円。
この資金を、果たしてどれくらいの期間で、どれくらい増やすことができるか。
もちろん不安要素はありましたが、それ以上に自分への期待が大きかったのを覚えています。
失敗する可能性をまったく考慮していないわけではないものの、それよりはずっと、上手く行くことのほうに高い可能性を感じていたのです。
そのようにして、まずは相乗り販売のかたちで、中国輸入ビジネスをスタートさせました。
相乗り出品を始めたが……
相乗り販売の段取りは、次のようなものです。
まず、専用のリサーチツールを使って、Amazon内部にある商品を徹底的にリサーチして回ります。
例えば、まず最初にやったのは、「ノーブランド」というキーワードで検索をかけ、ヒットした商品を一つ一つ調べていくことでした。
このキーワードを含んだ商品は、中国から輸入されたものであることが多いのです。
その中から、それなりに売れていて、同じものを中国のサイトで見つけることができる、この2つの条件を満たすものを探すというのが、ここでいうリサーチです。
そのようにして商品を決めたら、代行業者の注文フォームに、中国側の商品のリストを入力します。
そうすると、代行業者がその商品を中国側のサイトから仕入れ、それをそのまま日本のAmazonの倉庫(FBA)に直送してくれるのです。
こちら側で行うのは、代行業者への指示と、代金の支払いだけ。ネット物販とはよく言ったもので、すべてのことがインターネットの中で片付いてしまうのです。
作業としての難易度で言えば、実に簡単なビジネスであると言えたでしょう。
――そのようにしてスタートさせた相乗り販売ですが、まもなく「あれ?」という違和感にぶつかりました。
相乗り販売の宿命である、値下げ合戦。これが私の想像していた以上に、激しくなりやすかったのです。
その結果、仕入れることを決めた時点ではある程度の利益率が見込めたのに、その商品がFBAに納品された頃には、もうすでにほとんど利益の取れない商品になってしまっている、ということがかなりあったのです。
要するに、私がある商品に目をつけるのと同じタイミングで、ライバル達もその商品に目をつけており、出品がバッティングする、ということが多かったわけです。
中国輸入の一般的な基準として、利益率30%、という数字が挙げられます。
これはつまり、仕入れの原価や輸送費、Amazonに払う手数料などをすべて加味した上で、販売価格の約30%が利益として計上できる、という状態を表します。
このくらいの利益率を確保できないと、ビジネスとしてはちょっとつらいものになるのです。
従って、リサーチツールで探し出すのは、この条件を満たすことのできる商品ということになるのですが、先述の通り、いざ仕入れて販売を始めてみると、あっという間に値下げ合戦が起こり、利益率が10%未満、あるいは原価割れ、という事態に陥ってしまうことになったのです。
相乗り販売を始めてから2ヶ月ほどのあいだに、約70種類の商品を仕入れました。
その中には、そこそこの利益を取れた商品もあるのですが、多くの商品は値下げ合戦の前に利益率をどんどん落としていき、ぶっちゃけ「お荷物」になっていきました。
その結果として、60万円の資金は徐々に減っていき、これはダメかもしれない、と思う頃には、45万円ほどになってしまっていました。
このときに思い出したのは、かつてのゴールドラッシュでいちばん儲けたのは、ジーンズやスコップを売った商売人である、というエピソードでした。
私としては、決して怪しさ爆発のバラ色の儲け話に飛びついたつもりはないのですが、もしかしたらやってしまったのかもしれない、という気持ちが、この辺りで少しずつ強くなっていきました。
少なくとも相乗り販売は、最初に読んだ本が称賛するほど、おいしいビジネスではなかったのです。
ある第一人者との出会い
行き詰まりを感じていた2018年2月、私はYouTubeである人物の動画に出会いました。
その方についてよく調べてみると、中国輸入ビジネスの世界では第一人者であり、凄まじい額の利益を上げていると同時に、コンサルティング業もやっているということでした。
その方の動画やブログでは、次のようなことが主張されていました。
「中国輸入ビジネスにはいくつかの形態があるが、相乗り販売ではもはや稼げない。今稼ぎたいのだったら、絶対にOEM販売をやるべきである」
何しろこちらは、実際に相乗り販売で資金を減らしてしまったわけですから、その言葉には強い説得力を感じました。
そのようにして改めて考えてみると、私が最初に読んだ本は、2015年に出版されたものだったのです。
その方曰く、中国輸入ビジネスはものすごい速さで進んでおり、ちょっと前のノウハウが、今ではまともに通用しない、ということもしばしばあると。
私はその方のメルマガを購読し、具体的なノウハウについて勉強し始めました。
そのようにして学んでいけばいくほど、それまで私のやっていたことが本当に古臭いものであるということがわかってきました。
2015年に出版された本を、2017年末に読んで真に受けているという時点で、まったくの自殺行為だったわけです。
私はその方に何回かメールを送信し、返事ももらいました。
そのようなやりとりを繰り返しているうちに、私の中に、その方の世界観が少しずつ植え付けられていくのを感じました。
そこで私は決断したのです。
このまま相乗り販売をやっていてはダメだ。まともに稼ぎたいのであれば、絶対にOEM販売に移行しなくてはならない。
そして、OEM販売は相乗りと比べて遥かに難易度が高い。学ばなければならないことがたくさんある。これをまったく独自にあるのは、無謀であると言わざるを得ない。
その対策として、コンサルティングを受けるべきである――この方の。
そのようにして、私はその方の指導のもとで、OEM販売をやっていくことを決意したのです。(つづく)
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