中国輸入ビジネスの大失敗談、最終回です。
続き物となっておりますので、第1回目の記事から順にお読みいただければと思います。
在庫買取と撤退
それから数日間、悩みに悩み抜きました。
資金調達のアテがないと言ったのに、何に悩んでいたかというと、「もしかしたらさらに親に無心すれば、もう100万円くらい出資してもらえるかもしれない」ということについてです。
もちろん親の資産にも限りがあるわけですが、前回私に出資してくれた時点ですっからかんになったのかというと、そうではありません。
なので、今度こそ本当に最後ということで、私に賭けてもらえる可能性もあるのでは――そんなことを考えていたのです。
そして悩む一方で、早々にやらなければいけないこともありました。
もはやAmazonで売ることのできなくなった、第二の商品の在庫1,114個を、然るべき業者に買い取ってもらう作業です。
物販をやっている企業や個人事業主には、様々な事情により、大量の在庫を手放さなければならない場合があります。
そのような在庫を買い取ることを専門としている業者がいるのです。「在庫買取」で検索すると、どこにしようか迷うほど数多く見つかります。
在庫をゴミとして処分してしまうのではなく、そういう業者に買い取ってもらうことで、少しでも資金の足しにすることができるわけですね。
進退をどうするにせよ、在庫については「買い取ってもらう」の一択でした。
実のところFBAに商品をおいておくのも、タダではありません。商品の容積と数によって、然るべき保管料が決済から差し引かれるのです。
第二の商品はそこそこの大きさがあり、かつ1,114個という量でしたので、その在庫保管料は月に5万円ほどになりました。
処分するのが遅れれば遅れるほど、ここでも出費がかさんでしまうのです。
検索して出てきた、幾つかの業者に連絡をしてみました。
こちらの事情を(ある程度ぼかして)説明し、大量の在庫がAmazonのFBAにあるので、これを直送したいと申し出ました。
その際、オリジナルブランドのタグは切って再販売等をしてもらえないか、とも頼んでみました。そういう依頼も受け付けるとwebサイトに書いてあったのです。
……しかし、驚いたことに、なかなか反応が来ないのです。
どの業者も、webサイトはとてもハキハキとしたノリで作られており、高値で買い取ります、即座に返信します、様々な要望に柔軟に応えます、のような文面が踊っていたのですが、翌日になっても翌々日になっても音沙汰がない。
不安になると同時に、偏見のような発想も出てきました。やはり訳あり在庫を安く買い取るような業者というのは、どこかしら胡散臭くていい加減な方々なのかなあ……というような。
数日待っても返答はなく――そのことが、私に最後の決断をさせるに至りました。
これはもう、やめろというお告げと解釈するべきなのだろう。
すべての物事が、自分に対して逆風になっている。仮に親からさらなる資金を出してもらったとしても、続けていけるイメージがまったく湧いてこない。
そうして、2月も終わりかけの27日、私はコンサルタントさんに、中国輸入ビジネスから撤退する旨を告げたのでした。
在庫買取業者との長く無益なやり取り
コンサルタントさんに徹底の旨を告げる際、コンサルティング契約を途中解約することはできないか、と訊ねてみました。
もしそれが可能なのであれば、それだけで数十万円が浮く計算になるのです。
しかし残念ながら、答はノーでした。失敗したからといって1年契約を縮めることはできず、従ってコンサル料は最後まで払い続けなければならない。
その代わりに、残っていた支払いの1回の額を半分にして、倍の期間かけて払う方法を採らせてもらえることになりました。
金利がない以上、支払いが伸びてくれるのは一方的にこちらの得になります。そこについては、コンサルタントさんのご厚意を受けるかたちになりました。
……ということをしているうちに3月に入り、遅ればせながら3つの在庫買取業者が返信をしてくれました。
ただ、そのうちの2社は、「検討した結果、うちでは扱えないという判断になった」という内容。
webサイトのニュアンスでは、世の中の大抵の商品は買い取ってくれそうだったのですが、どうやら私の商品は、数少ない例外に属する代物だったようです。
必然的に、私は残った1社と話を進めていくことになりました。
しかしこの1社が……何と言うか、そこはかとなくプロっぽくない対応だったんですよね。
私の担当をしてくださったのはNさんという方だったのですが、まず日本語が、顧客に対して送りつけるものとしてはくだけすぎている。
それから、一度も出したことのない個人名を、急に当たり前のように出してくる。
さらには、何も言わずに話をストップさせてしまい、こちらから伺いを立ててようやくその事実を教えてくれた、なんてこともありました。
何か変だな、何か変だなと思いながら、でも仕方がないのでこのNさんを相手に、何度もメールのやり取りをしました。
買取価格を幾らにするか、在庫のダンボール数が幾つになるか、といった詳細についてです。
しかし話は遅々として進まず、気がつけば4月の上旬も終わろうかという時期に。
この間、買い取ってくれそうな人が現れたという知らせを受けて、後で返却してもらう約束で商品サンプルを送ったが話は流れ、でもサンプルは返ってこない等、いろいろなことがありました。
Nさんとの最後のやり取りは、印象的であり象徴的でした。
4/11に、在庫の数(1,114個)について改めて確認をとるメールがあり、私はそれで間違いないという旨の返信をしました。
それっきり1週間ほど、何の音沙汰もなくなってしまったのです。
私はこのときすでにNさんの仕事の仕方に信用が置けなくなっていたので、事前に「1週間経っても進展がない場合は、この話はなかったことにしたい」と告げていました。
その1週間という期間を重視するかたちで、4/18にメールを送りました。
「買い手が見つかりそうか否かで、この話を続行するかどうか決めたい」と。
返ってきたメールは、次のようなものでした。
「こちら側では、買い手が見つかりそうにありません。申し訳ございません。また機会がありましたらよろしくお願い致します」
それが決め手で、Nさんとの話は流れることになりました。
すべてに失敗――その結果
先ほど、FBAに在庫を置いておくと、在庫保管料を取られる、という話をしました。
私が中国輸入ビジネスからの撤退を決めたのは、2/27。そしてNさんとの話が流れたのは、4/18。
結局、約1ヶ月半という期間、大量の在庫を無駄にFBAに置いておくことになり、そこでも7~8万円の出費がかかることになってしまったのです。
そうこうしているあいだにも、固定費によって資金はどんどん減っていき(といってもこのときすでに、代行業者と税理士法人は解約していたので、コンサル料と融資返済だけになってはいましたが)、文字通りカツカツの状態に。
これから新しく買取業者を探して、また同じようなやり取りをする気にはならず、また自宅で引き取ってメルカリ等で売っていくにも数が多すぎるため、結局、在庫についてはAmazonに破棄してもらうことになりました。
破棄にかかる費用自体は、1個あたり10円なので、たいしたことはありません。
しかし、私としては1個300円くらいで業者に買い取ってもらえる前提でいろいろなことを考えていたので、資金繰りについては大きな考え直しを迫られることとなりました。
――このようにして、私の中国輸入ビジネスは終わりを迎えたのでした。
私が失ったのは、最初の資金及び身内からの出資、計200万円強。
私が背負ったのは、150万円の借金。
私に残ったのは、未だ細々と売り続けている第一の商品(こちらは小さいので保管料は微々たるものなのです)の在庫と、僅かながらの中国輸入ビジネスのノウハウ。
勉強代、と言うにはあまりに大きな痛手を負いました。
「リスクを取って行動した者が成功するのだ」
「正しい方法でコツコツと努力した者が最後に笑うのだ」
そういった言葉を信じて、リスクを取って行動をし、コンサルタントをつけて正しい(とされる)方法で努力をした結果が、350万円近い損失。
何しろ私は貧乏なので、これから先、この借金を滞納せずに毎月きちんと返していけるのかどうか、定かではありません。
こんなことなら勇気を出すんじゃなかった、行動するんじゃなかった、という後悔は恐らく一生つきまとうのでしょうが、考えても仕方のないことなのは承知しています。
そんなこんながあって、次は金銭的リスクなくスタートできるものに挑戦しよう、と思って始めたものの一つが、このブログだったりする次第です。
今のところ、350万円を埋め合わせるようなものに成長する気配は、これっぽっちもありませんが……。
おわりに:中国輸入はオススメか?
以上が、私の中国輸入ビジネスの顛末です。
もろもろの事情で、ぼかしたりカットしたりした部分もありますが、伝えたいことに関しては、最初のきっかけから最後の締めまで、一通り語り尽くしました。
中国輸入ビジネスといってもいろいろなやり方があり、中には極めて少額でコツコツやっていくものもあるようですが、私が歩いたのは、将来的に大きく稼げるようになるための道。
リターンが大きいことと引き換えにリスクも大きく、わずか1年ほどでこのような有り様となってしまいました。
今でも中国輸入ビジネスについての情報はそこそこチェックしているのですが、1年で350万円失うケースというのは、さすがにあまり聞きませんね。
私は相当落ちこぼれの部類に属するみたいです。
才能も運も圧倒的に足りていなかったな、という感想です。リサーチがお粗末だったのはセンスの無さと言うほかなく、意匠権侵害の件は運が悪いとしか言いようがなかった。
結局2商品しかトライすることができなかったのも情けないですね。
もうちょっと挑みたかったです。数撃ちゃ当たる、という言葉をビジネスに持ち込むのは雑すぎるかもしれませんが、そういう面も確実にあると思うんですよ。
資金の問題で、その「数を撃つ」ができなかったのは、本当に悔やまれます。
さて、これらを踏まえた上で、問い。
中国輸入ビジネスは、オススメできるか?
……こんな悲惨な結末を迎えておいて言うのも変かもしれませんが、少なくとも「絶対やめておけ」とは思いません。
それなり以上に上手く行っている人は確かに存在し、そしてその確率は、決して宝くじの一等を当てるような低いものではないのです。
もしあなたが挑戦してみたいというのであれば、私としては、まあ単なる無責任かもしれないのですが、止めるつもりはありませんね。
ただし、資金はしっかり用意すべし、というのは強調しておきたいです。
中国輸入ビジネスであれ、他のどんなビジネスであれ同じだと思うのですが、要は資金が尽きる前に一発当てれば、それで何とか軌道に乗せることができるのです。
その意味で、資金はライフポイントのようなもの。ここが乏しければ、挑める回数も少なくなり、動ける範囲も狭くなってしまいます。
先ほど述べたように、中国輸入ビジネスにもいろいろなやり方があるわけですが、もし私と同じようなスタイルでやっていくのであれば、最低でも500万円ほどの資金を用意することを推奨します。
そして、きちんとしたコンサルタントをつけること。
正直、この一連の記事を読んでも、コンサルタントの存在価値はほとんど感じられなかったのではないかとは思うのですが、初心者が自力ですべての状況判断をするのは、あまりにも無謀です。
先人の知恵はしっかりと借りるようにしましょう。かなり値は張りますが、そこをケチってしまったら未来はないと私は思います。
……こんなところでしょうか。
それでは、全10回にもわたった中国輸入ビジネス大失敗談を終わりたいと思います。
もし何か私に質問したいことがありましたら、コメント欄に書いてみてください。
必ずしもすべての質問に答えられるわけではありませんが、大丈夫な範囲で答えていきたいと思います。お待ちしています。
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