中国輸入ビジネスの大失敗談、第5回です。
続き物となっておりますので、第1回目の記事から順にお読みいただければと思います。
信用保証協会&地銀の面談
信用保証協会の担当の方との面談は、10月の中旬でした。
これまでの面談と違ったのは、場所が私の自宅であったということです。
ある意味では気楽でしたが、自宅で「よそ行きモード」になる難しさというのもあるので、それはそれで緊張していたのを覚えています。
でも、その緊張は良い意味で不要でした。
担当の方はとてもフレンドリーで、公庫の方との面談とはまったく違う空気の中で、話を進めることができたのです。
もちろん、これから売っていく商品や、それによる資金繰りのことなど、説明すべきことをしっかり説明しなければならない点はどちらも変わりなかったのですが、その手応えが全然違ったんですよね。
あくまでもイメージですが、公庫が基本的には貸すまい貸すまいとしているのに対し、信用保証協会は出来る限り貸そうとしている――そんな違いを強く感じました。
この辺り、これから融資を受けようという方は、参考にしていただければと思います。
信用保証協会のほうが、たぶん資金調達の難易度はずっと低いです。
その面談の翌日に、今度は地銀の担当さんの訪問を受けました。
こちらはさほど深刻な内容ではなく、融資が無事におりた場合の、具体的な金額などの伝達と、それ以前にそもそも自宅がちゃんと深刻通りあるのかの確認のようなものでした。
このときに告げられたのは、申請している300万円が満額おりることはまず考え難く、少なくて100万円、多くても150万円になるだろう、ということでした。
私サイドとしては、もちろん満額を本気で期待していたわけではありません。それは現実的にあり得ない話です。
ですが、せめて200万円くらいは確保したいと思っていたので、多くても150万円というのを聞いたときは、正直「厳しいな」と思いました。
資金がないというのは、もしものときの保険が効かないというだけでなく、そもそもの身動きが上手く取れないことに繋がっていきます。
今やっている中国輸入ビジネスの形態において、月10数万円の固定費を払いながら150万円でやりくりするのは、至難の業であるように思われました。
しかし、もっと欲しいと駄々をこねたところで、どうにかなるものでもありません。
与えられた条件でやっていくしか、道はありませんでした。
融資、そして第一の撤退
信用保証協会との面談から1週間後、融資がおりることが正式に決定しました。
金額は150万円。地銀の方がおっしゃっていた枠の中では、最大の額です。
正直、ホッとしたような、そうでもないような、微妙な気持ちでした。
理由はもちろん、150万円で本当にやっていけるのかどうか、見通しがほとんど利かなかったからです。
そしてこのタイミングで、大きな決断をすることになりました。
第一の商品の売れ行きは逐次Sさんに報告しており、ほぼ毎日、細かくいろいろな調整をしていたのですが、どうしても検索順位を1ページ目下位より上げることができず――。
とうとうSさんの口から、「撤退を考えてください」というアドバイスをいただいたのです。
そのことで特に愕然とするといったことはありませんでした。
広告費ばかりが飛んでいき、商品であるはずなのにずっと金食い虫になっていたわけですし、このまま頑張っても伸びる見込みがないことも、すでに十二分に察していましたから。
何と言いますか、「あーあ」という感じでしたね。
多方面にわたっていろいろなことを頑張ったのに、結局は大金を払って、不特定多数の人間に商品を安くバラ撒いただけに終わったか……と。
ちなみに「撤退」というのは、具体的には「その商品を売るための行動を、もう取らない」という意味になります。
広告を積極的に出すのをやめ、商品カタログの品質維持にはもう時間をかけないということであって、まだある在庫の販売自体を停止する、ということではありません。
撤退を決めた時点で、3色のバリエーションはそれぞれ264個、177個、242個、FBAに残っており、これらについては「勝手にぽつぽつ売れていき、少しでも資金の足しになることに期待する」という扱いになりました。
落ち込んでいる暇はありません。
何をしてもしなくても、固定費は毎月じわじわとかかってきますし、コンサルティング期間だって永遠なわけではありません。
できるだけ早く、第二の商品を選定し、打って出る必要がありました。
リサーチの苦難と、アルゴリズムの変更
記事の構成上、書いてきませんでしたが、リサーチそのものは、第一の商品の販売に躍起になっている最中にも、ずっと続けていました。
こつこつとAmazonの市場を見て、これというものを見つけてはアリババで調べ、行けそうだと思ったら候補に入れて、幾つか溜まったところでSさんに見てもらう。その繰り返し。
多くの場合は、NGであるか、他のコンサル生とバッティングしているかのどちらかでしたが、これは行けるかもしれないから保留、というものも僅かにありました。
しかし、ここで問題が一つ。
資金の問題があり、あまり単価の高いもので勝負することは不可能な状態だったのです。
例えば、最初に1,000個仕入れたとします。
それが順調に売れていったとしても、すでに述べたように、最初は安売りだから、利益は出ませんよね。
とすると、残りの資金の中から2回目の仕入れを行わなければならないわけですが、そのとき目星をつけていた商品は単価が高く、その2回目の仕入れに耐えられそうになかったのです。
私に必要だったのは、あまり原価が高くならず、かといって薄利多売するしかないような安すぎるものでもなく、今の自分にとってちょうどよい価格帯で、かつ、しっかり売れそうなものでした。
言うまでもなく、そんな風に条件が狭くなると、これ、という商品に巡り会える確率も低くなります。
しばらくのあいだ、リサーチの日々が続きました。
しかし、なかなか理想ないしそれに近いものが見つかりません。
今にして思うと、私にはリサーチのセンスが特に欠けていたように思います。結局、最後の最後まで、いわゆる「嗅覚」というやつが身につく気配がありませんでしたので。
ほとんど当てずっぽうのような探し方をしていたので、まあ上手に見つけられないのも当然のことだった気がします。
そうこうしているうちに、Amazonにある変化が起きました。
より正確に言うと、コンサルタントさんサイドが、Amazonのアルゴリズムに、ある変化を認めた、という風になるでしょうか。
極端に安売りしている商品が、検索順位の上位にあがりにくくなり、また、新規出品された商品の「新着期間」に与えられていたボーナスタイムも、どうやらなくなっているようだというのです。
Amazonに並んだ商品の検索順位は、極秘のアルゴリズムに従ってその優劣が判断されるわけですが、そのアルゴリズムは時と共にアップデートされていきます。
そのアップデートの、かなり大きなものが、このタイミングで実行されたみたいだ、というのが、コンサル生や自身の売る商品の推移をデータとして多数収集している、コンサルタントさんの見解でした。
そのことが具体的に自分のやっていることにどう影響するか、そのときの私はうまく想像することができなかったのですが、とにかく思ったのは次のようなことでした。
「何か……ホントに大変だな……」
一応、作業は続けてはいたものの、メンタル的にかなり疲弊していたのです。
第二の商品候補と、進路相談
そんなこんなしているうちに、ある商品と巡り会いました。
仕入原価もほどほどで、利益率は40%以上を確保できる計算になり、ライバルもそんなに多くない&強くない。
Sさんの判断としても、これは行けるのではないかということで、早速サンプルを発注しました。
時間の余裕もないし、恐らくはこれで行くことになりそうだ、という流れになったわけですが……。
私は本当に不安になっていました。
今回見つけた商品がどうであれ、そもそも現在の資金でこの中国輸入ビジネスをやっていくこと自体に、本格的に無理を感じるようになってきたのです。
大量に仕入れたものが、まったく空回りして単なる損失にしかならない怖さは、第一の商品で嫌というほど味わいました。
もう一度同じことが起きたら、今度こそ打つ手なし。資金はショートしてしまいます。
しかも今度は、外部から融資を受けた上での資金ショートです。それはつまり、100万円以上の借金を背負って放り出されることを意味するのです。
「引き返すなら今のうちだぞ」
そんな心の声が日に日に大きくなっていったのは、ごく自然なことだったと思います。
コンサルタントさん(Sさんを雇っている、私が面談した方)は、不定期でメルマガも発行しているのですが、11月半ばのこと、ある文面が、そのときの私のど真ん中に刺さりました。
その結果、居ても立っても居られなくなり、私は半ば自動的に、返信というかたちで今後の身の振り方についての相談を投げかけてしまいました。
資金が切迫していて身動きがうまく取れないこと。次に失敗したら終わりなこと。引き返すなら今のうちかもしれない、という発想が頭をよぎっていること。
コンサルタントさんからの返信は翌日にあり、おおむね次のようなアドバイスをいただきました。
「確かに好ましい状況ではないが、大事なのは危機感を持てているかどうか。決して絶望的というわけではなく、すべては(心が)折れてしまうかどうかに懸かっている。
また、今引き返すのは、株で言うなら底を打っているときに損切りするようなもので、それについては同意できない」
この返信に励まされた……かというと、そうではありませんでした。
でも、確実に背中を押されました。
こういうのをポジティブと言うべきなのかどうか、迷うところなのですが、「わかったよ、もうなるようになれ!」みたいなスイッチが入ったのです。
第二の商品は、新しく見つけたものに決定。
それが上手くいけば、もちろん続けて第三の商品を進めていく。でももし上手く行かなかったら、そのときはジ・エンド。
崖っぷちの勝負に挑むことを、本格的に決めたのでした。(つづく)
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