天国的底辺

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音声入力で文章を書く際の5つの悩みと対策

音声入力

 

 文章を書く際に、何らかの形で音声入力を利用する人の数は、ここのところどんどん増え続けているように見受けられます。

 近年になって音声入力機能は格段に向上し、無料にもかかわらず素晴らしい変換精度と使い勝手を誇るものが複数現れたので、まあ当然といえば当然の流れでしょう。

 文章を書くことを仕事にしている人、趣味にしている人、そうでない人も、音声入力の威力に次々と気づいているようです。

 

 しかし、音声入力にはまだまだいろいろな課題があります。

 なので、評判の良さを聞きつけて飛びついたものの、思うように活用できず、逆に音声入力アンチになってしまう――なんてことも、それなりにあるみたいです。

 まあ、気持ちはわかります。それだけ期待外れだったのでしょう。

 

 この記事では、そのような人でも改めて楽しく「復帰」できるように、音声入力を使う際によく出てくる5つの悩みと、その対策について解説していきたいと思います。

 最後まで読むことで、現状の音声入力の悩みは、だいたいが解決の方向に進むのではないかと思います。お付き合いいただければ幸いです。

 

 

音声入力の悩み1:書き言葉が口から出てこない

 音声入力で書く文章は、大抵の場合が書き言葉です。

 つまり、普段あまり口に出していない言葉で、つらつらと喋り続けなければならないということになります。

 

 このことに慣れていない人が、音声入力に苦手意識を持ってしまうことがよくあるように観察されます。

 お硬い書き言葉を延々と喋り続けるなんて、違和感がありすぎて進めようがないよ、ということですね。

 

 慣れの問題、と言ってしまえばそれまでかもしれませんが、慣れるまでの時間を耐えることができなければその人は即座に音声入力から離れてしまうわけなので、これはなかなか切実な問題なのではないでしょうか。

 

対策:頭の中身を朗読するつもりで喋る

 対策としては、いわゆる朗読を思い出すことが有効ではないかと思われます。

 今までの人生で、一度として朗読をしたことがないという人はまずいないでしょう。

 少なくとも学校の授業では、誰でも何度か先生に当てられて、教科書の朗読をしたことがあるはずです。

 

 そのときの朗読を思い出し、音声入力に適用してみるのです。

 具体的には、頭の中身で組み立てた文章を、手に持った本に書かれているかのようにイメージし、それを読み上げるつもりで喋っていくのです。

 そうすれば、自然と書き言葉が口をついて出てくるはずです。なぜなら、教科書の朗読をしたとき、その内容が話し言葉であった人はまずいないはずだからです。

 

 そのようなイメージで入力作業を続けているうちに、やがて何もせずともごく普通に書き言葉が口をついて出てくるようになります。

 そこまでいけば、音声入力は一気に楽なものになります。

 自分でもびっくりするようなスピードで、どんどん文章を生産していけるようになるでしょう。

 

音声入力の悩み2:誤変換が多すぎる

 これは日本語に特有の問題なのですが、喋った言葉をきちんと認識してくれたとしても、その次に「きちんと漢字変換してくれるかどうか」という問題が待っています。

 この漢字変換は技術的になかなか難しい問題のようで、ある程度は文脈から判断してくれるのですが、まだまだ完璧には程遠い性能です。

 その結果、いったい何だこりゃ、というようなとんでもない変換が出現することも少なくありません。

 

 音声入力を使い始めたばかりの頃に、そのような奇妙な誤変換に悩まされまくってしまうと、そのせいで使い続けることに抵抗が生まれ、「やっぱり音声入力は役に立たないな」となってしまいかねません。

 

対策:音声入力は後で修正するのが前提と心得る

 残念ながら、現時点の音声入力機能は発展途上であり、我々ユーザー側の工夫によって誤変換を少なくするのは困難です。

 これから進化していく部分ではあるはずなので、将来的には期待していいと思うのですが、とりあえず今のところは我慢するしかないわけです。

 

 ただ、この点をそこまでネガティブに捉える必要はないと私は考えています。

 なぜなら文章というものは、いずれにせよ書き終えた後でしっかりと推敲するものであり、誤変換が多かろうが少なかろうが、結局のところは全文にチェックを入れて然るべきだからです。

 

 誤変換が本当に困るのは、後になって読み返したときに、文章の意味がまったくわからない状態になっている場合です。

 そうではなく、何を喋っていたのか後から読み返しても理解できる範囲の誤変換ならば、その理解に基づいて手動で修正すればよいわけです。

 音声入力とはそういうものなのだ、と最初から認識したうえで取り組んでいれば、そこで躓くことはないでしょう。

 詳しくは以下で解説しますが、そのような修正を含めてもなお、音声入力を使う時間的なメリットと、手間が省かれるメリットは計り知れません。

 

音声入力の悩み3:後から修正するのに時間がかかる

 上記の悩みの続きのような内容ですが、後から修正する作業に時間がかかりすぎる、ということを億劫がる人が少なくありません。

 その気持ちはよくわかります。

 前項では「どのみち推敲はするものだし」みたいに解説しましたが、普通に入力した文章より音声入力をした文章のほうが、より入念にチェックし、数多くの修正をしなければならないものになるのは事実ですからね。

 

 このことを指して、音声入力はまったく役に立たない、と判断する人も観察されます。「音声入力」でTwitterを検索してみると、半笑いでそういうことを言っている人にそこそこ出くわしますね。

 

対策:それを含めても音声入力は速いと知る

 ある程度、音声入力の経験を積んだ人には自明のことだとは思いますが、音声入力によって叩き出せる執筆速度は半端ではありません。

 例えば私の場合、このブログの初稿をキーボード入力で書くと、だいたい時速3,000文字から3,500文字くらいの執筆速度になります。

 それに対し、音声入力で書くと、同じ量の文章を20分足らずで書き終えることができてしまうのです。

 

 初稿の段階でこれだけの差がつくので、修正に時間がかかることを含めても、音声入力のほうがずっと早く、しかも楽に完成させることができます。

 もちろんこれは一例に過ぎませんし、このブログが比較的アバウトな文章で構成されているからだとも言えるのですが、ともあれそういう計測結果になるんですよね。

 

 音声入力で文章を書くときの、執筆時間に関する考え方は、次のようなものです。

「圧倒的なスピードで初稿を書き上げ、稼いだ時間の一部で念入りに修正する」

 それらの作業すべての合計で考えれば、音声入力が遅いという発想はまず出てこないでしょう。

 

 めちゃくちゃざっくりな目安としては、手入力で1時間かかっていたものが、20分の雑な入力と20分の修正で仕上がる、くらいに考えておけばよいと思います。

 

音声入力の悩み4:堂々と音声入力できる環境がない

 ある意味、これが音声入力の最大の難点かもしれないのですが、普通に入力していると、その内容を周囲の人間に思いっきり聞かれてしまいます。

 となると、会社のオフィスで音声入力する気にはとてもなれないでしょうし、自宅においても、例えば家族がいる人は、事情次第では音声入力するタイミングがまったくないということになりかねません。

 

 音声入力が便利であることはわかっていても、それをちゃんと使える場面が存在しないのであれば、絵に描いた餅ですよね。

 そんな感じで、音声入力に慣れ親しむことができずにいるという人も、それなりにいるように観察されます。

 

対策:囁き声で入力する

 そのような悩みを持っている人達に私がアドバイスしたいのは、音声入力は囁き声でも結構拾ってくれる、ということです。

 試しにスマホの音声入力をオンにし、マイク部分に口を近づけてそっと囁いてみてください。

 恐らく、あなたが思っている以上に言葉を拾って文章にしてくれることでしょう。

 はっきり喋ったときと比べれば精度は落ちてしまいますが、周囲に喋っている内容を聞かれたくない(あるいは、そもそも喋っている事実を知られたくない)という人は、この囁きによる音声入力は結構使えます。

 

 そんな「囁き作戦」ですが、何とかして精度を高めたい場合には、ピンマイクを購入することをお勧めします。

 特に高価なものを選ぶ必要はありません。1,000円くらいの製品で十分です。

 それをあなたのスマホに挿し、ピンマイクを襟元に付けて、画面を見ながら囁いてみましょう。

 すると、スマホ本体に口を近づけて喋っていたときと比べて、だいぶ正確に音声を拾ってくれるようになります。

 

 また、スマホ本体のマイクで囁き声をしっかり入力しようとすると、スマホが顔に近くなりすぎて、いま入力している文章を視認するのが難しくなりますよね。

 それに対して、ピンマイクを使用すれば、画面を適切な距離に離した状態で、文章を確認しながら入力することができるので、より適切な文章が頭に浮かびやすくなります。

 ぜひピンマイクを試してみてください。

 

音声入力の悩み5:時間制限のせいで落ち着いて入力できない

 Google音声入力にも、iPhoneのSiriにも、それぞれの形で時間制限が存在します。

 Google音声入力は、一定時間喋らないことでオフになってしまいますし、Siriは40秒間しか機能をオンにし続けることができません。

 

 そのため、常に急かされるような気持ちで入力することになり、そのせいで文章がうまくが頭に浮かんでこないという悩みが生まれ得ます。

 確かに、制限時間が刻一刻と迫っている、というシチュエーションで、悠然と文章をひねり出すのはなかなか難しいことかもしれません。

 

 どうしてこのような時間制限が存在するのか、私はGoogleやAppleの事情はよくわからないのですが、緩和の方向に改良して欲しいなと切実に思います。

 でも今のところ、制限はずっと同じ形で残り続けているので、私達ユーザーにはどうしようもない話です……。

 

対策:一文ごとに脳内で組み立てて喋るor特定アプリを使う

 対策としては、音声入力をオンにしてから文章を考えるのではなく、文章を考えてから音声入力をオンにするというやり方があります。

 この場合、オンオフの切り替えがちょっと面倒臭いかもしれませんが、追い立てられるようにして文章を考えることからは解放されます。

 

 それも嫌だという場合には、時間制限のないアプリを導入するのがよい対策となるでしょう。

 この話題になったときに私が常にお勧めしているのは、iPhone用のSpeechyというアプリです。

 このアプリには音声入力に関する時間制限が一切ないので、好きなだけゆっくり考えて文章を紡いでいくことができます。

 

 実はこの記事もSpeechyで初稿を書いており、ここまでをだいたい20分くらいかけて喋り倒しています。

 時間制限がないことをフル活用し、考え込まざるを得ないところでは考え込みつつの作業をしています。

 とても気に入っているアプリです。

 

 ぶっちゃけ音声入力ネタになるとほぼ必ずSpeechyの話題を出しているので、開発者の回し者かと思われそうなのですが、あくまでも単なるいちユーザーに過ぎません。

 その点は、一応ここでお断りしておきますね。

 気になる方は、ぜひお試しいただければと思います。

 

おわりに

 以上、音声入力を使う際によくある悩みと、その対策について解説しました。

 

 私はよく、このブログで音声入力をテーマにした記事を書きます。

 正直に言うと、アクセスはほとんど集まらず、このブログの中でもマイナーなジャンルだったりするのですが、それでも書き続けるのは、私が音声入力をとても気に入っているからです。

 そして、少しでもユーザーが増えることで、なおいっそう進化のスピードが速くなっていくはずだという期待をしているからです。

 

 この記事を読んでいるあなたは、音声入力にちょっと興味があるけれども、使い勝手に疑問を抱いている――という方でしょうか?

 それとも、音声入力をちょっとは使ってみたのだけれども、ここまで解説してきたような理由で疎遠になってしまった人でしょうか?

 

 どのようなケースであれ、この記事で解説した対策をとる(あるいは意識する)ことで、嘘のように有効活用できるようになる可能性があります。

 ぜひ一度、騙されたと思って、この記事の方法論で音声入力を使い込んでみてはいかがでしょうか。

 

 音声入力は進化を続けており、あと数年もすれば、もっともっと認識精度や使い勝手が良くなって、わざわざこの記事で挙げたようなことを考慮せずとも楽に文章が書けるようになることでしょう。

 そんな時代がやって来るのを、私は本当に楽しみにしています。

 

 私の夢の一つに、音声入力を使って時速10,000文字で小説を書いていく、というのがあります。

 少しでも多くの人が音声入力を使いまくることで、この夢の実現可能性はどんどん高まっていくのです。

 皆さんも「執筆の新次元」を一緒に見てみませんか?

 

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