常日頃、私はこのブログやTwitterのアカウントで、音声入力を強く勧めています。
まだまだ発展途上な技術ではありますが、現時点でもかなり使えるものになっており、文章を量産したい人ならば絶対に手を出してみるべきだと考えているからです。
これからどんどん使いやすく進化していき、やがては最強の文字入力手段として君臨することでしょう。
しかし、現時点で音声入力を扱うには、色々と注意すべき点があります。
それらは現在の音声入力が不完全であることに起因するものであり、あまりポジティブな話ではないのですが、しっかり考えなければいけないことです。
この記事では、2020年8月現在、音声入力を使っていく上でしっかり心に留めておいたほうがよい5つの約束について、解説していきたいと思います。
- 約束1:ブラインドタッチができない逃げ道に使わない
- 約束2:練習や慣れが必要であることを理解する
- 約束3:修正作業を込みで利便性を考える
- 約束4:複数の実装を比較し、自分に適したものを探す
- 約束5:文体が変わってしまうことを恐れない
- まとめ
約束1:ブラインドタッチができない逃げ道に使わない
音声入力を強く勧める声の中には、キーボード入力は苦手にしている人を取り込もうとする方向性も存在します。
例えば、次のような言い方です。
「ブラインドタッチができないあなたでも、音声入力ならばスピーディーに文章を書くことができます!」
しかし、私はこのような売り込み方にはあまり賛同できないものを感じています。
なぜなら、2020年8月現在では未だにキーボード入力は大切なものであり、その訓練をすることから逃げる方法として音声入力を選択するのは、正しいことではないと考えるからです。
例えばですが、仕事で文章を入力する場面を考えてみましょう。
オフィスで同僚と一緒に仕事をしているときに、果たして音声入力で何もかもを扱うことができるでしょうか?
少なくとも現時点では、音声入力を使って文章を書くという行為は、周囲の人間がいる場合にはかなり「恥ずかしい」こととされており、しかも場合によっては迷惑行為になります。
残念ながら、音声入力を使うことができるシチュエーションは、ある程度限られてしまうのです。
となりますと、やはり普段からキーボード入力をしっかりマスターしておくことが必要になるわけです。
そしてその基本として、ブラインドタッチを身につける事は欠かせません。
ブラインドタッチというのは面白いもので、実のところ習得するのはそれほど難しくはないのですが、できない人にとっては魔法のように見えがちなんですよね。
なので「自分には絶対無理だ」のように考えてしまう人が頻出する。そこに音声入力を売り込む声があると、そちらに逃げてしまうという現象が起きるわけです。
まずはしっかりとキーボードを我が物とすること。
そのうえでなお便利だから使います、というのを、音声入力に手を出す理由とするのが健全な道であると私は考えます。
約束2:練習や慣れが必要であることを理解する
音声入力についての意見を、私はしばしばTwitterで検索してみるのですが、ときどき次のような主張を見かけます。
「音声入力を試してみたけど、上手く行かなかったのですぐにやめた」
このような意見から見て取れるのは、音声入力は訓練をする必要がないもの、初めからものすごく効率よく入力をすることができるものである、という観念です。
しかし、実際はそうではありません。
音声入力も、キーボード入力やフリック入力と同じように、しっかりと練習すること、そのフィーリングに慣れること、が必要になってくるのです。
ある程度の訓練を積んで初めて、便利な入力方法として輝くことができるのです。
このことをしっかり理解し、「音声入力を練習する」という行為について、自然に受け入れられるようにしましょう。
練習としては、特にどこで使うわけでもないどうでもいい文章を、自分一人しかいないときに音声入力で書き散らす、などが有効だと思います。
毎日30分くらいの音声入力を1ヵ月ほど繰り返せば、それなりになれるはずです。
まずはそのような訓練を積んでから、音声入力が使えるものであるかどうかを判断するようにしましょう。
約束3:修正作業を込みで利便性を考える
音声入力はまだまだ不完全なので、正確に入力してくれなかったり、変換がおかしかったりすることが多々あります。
それを見て、音声入力が未熟だからまともに使えない、という風に考える人もかなりいます。
しかし、それは音声入力の素晴らしさを語る側としては、始めから込みで考えていることです。
音声入力は、キーボード入力等と比べると確かに修正作業がたくさん必要になるのですが、それを計算に入れてもなお、キーボード入力より効率よく文章入力することができる――。
これが、音声入力を推奨している人たちの意見なのです。
というより、キーボード入力をしているときも、人間はかなりの修正作業を行っています。
ただ、それがリアルタイムの細かい作業なので、自覚しにくいんですよね。
音声入力はキーボード入力と違い、いったんすべてを入力してしまってから、まとめて修正作業を行うという方法論を採ることで速度が出るものなので、一時的に「修正点だらけ」になります。
それを目にすると、面倒に感じてしまうのでしょう。
キーボード入力の4倍のスピードで入力をし、2倍の量の修正をこなす――例えばこれぐらいの感覚が、音声入力を使いこなす際のスタンダードかなと思います。
この計算のもとに文章を入力していけば、総合的に考えればキーボード入力よりも、一定時間内に遥かに多くの文章を入力することができるわけです。
約束4:複数の実装を比較し、自分に適したものを探す
私が観察する限りでは、現在最も広く使われている音声入力はGoogle音声入力なのですが、これを使っている人から、次のような意見がよく聞こえてきます。
「句読点を打てなかったり、単語登録ができなかったりするので、自分にはいまいち使いづらい」
こういうことを言っている人たちに対して、いちいちリプライを送ったりはもちろんしませんが、私はいつも心の中でこう反応しています。
「そういうものが欲しいのであれば、Siriを試してみるといいと思いますよ。もちろん、iPhoneに限定されてしまいますが……」
音声入力機能にはいろいろな種類があり、それぞれに特徴があります。
あらゆる機能を備えた「究極の音声入力機能」があればよいのですが、今のところそのようなものは存在せず、一長一短という感じになっています。
なので、あなたがどのような機能を重視するかによって、選ぶべきものは変わってくるのです。
現存する有力な音声入力機能としては、Google音声入力、Simeji、Siri、といったところが挙げられます。
それらとはべつに、私はSpeechyという有料のアプリを使っています。
こういったものの中から、機能を比較しつつ自分にとってベストなものを選んでいく。
この行為が、音声入力には必要になるでしょう。
キーボード入力だって、安物のキーボードと高級なキーボードでは、打ち心地がまるで違います。
道具を選ぶ。この考え方を、音声入力にもしっかり適用するようにしてください。
約束5:文体が変わってしまうことを恐れない
音声入力というのは、言うまでもなく喋ることで行う入力ですので、手を使って入力する手段とはだいぶフィーリングが異なります。
その結果として、出来上がる文章が、キーボード入力等とはかなり異なってしまうことがあります。
これを嫌がる人は、それなりにいるようです。
まあ、修正段階で手を使うことになるので、そのときに大幅修正すればいいだけ、という考え方もあるのですが、それにも限度というものがあり、音声入力をベースにした文章には多かれ少なかれ変化が生まれることになります。
そうなると、これまでキーボード入力等でたくさんの文章を書いてきた人としては、自分のアイデンティティーが失われてしまうように感じられるわけですね。
これについては、どうしても受けつけないという人はいるでしょう。
例えば、すでに自分の文体を仕事にしている人の場合、それをいきなり変えてしまうのはとてもリスクのあることです。
ですから、このような人が音声入力で手を出せずにいるのも、仕方がないかなとは思います。
しかし、そこまで自分の文体にブランド力がついていないのであれば(ほとんどの方はそうでしょう)、音声入力によって文体が変わってしまうことを、あまり恐れるべきではないと私は考えています。
むしろ、音声入力を取り込んだことで生まれる新しい文体を、これこそが自分の文体だ、という風に肯定し、そちらをスタンダードとして考えていくような姿勢が、進化していくうえでは必要なのではないかと考えるのです。
私は現在この記事を音声入力で書き、キーボードで修正しています。キーボード入力ですべてを打ったときと比べると、説明の順序等に、やはりそれなりの違いが見受けられます。
しかし、そういったことを私は、良い意味で気にしないように心がけています。
「これが私の新しい文体なのだ」という風に捉えているわけですね。
これが、文章を書くことに関して次のステップに進むことなのだと、そのように私は考えている次第なのです。
それでもどうしても文体の変化が怖いという方は、修正作業において、徹底的に自分の昔の文体に戻すよう心がけてみると良いと思います。
この場合、時短の恩恵は少なくなりますが、それでも「書き出しのハードルが下がる」というメリットは残ります。
私としては、そこまでこだわる必要はないと思うのですが、その辺りは自由が利くので、あなたが思うようにやってみれば良いのではないでしょうか。
まとめ
以上、音声入力を始めるにあたって気をつけるべき点を、5つほど紹介しました。
これらはあくまで私なりの考えなのですが、世の中にある様々な意見をもとに列挙してみたので、それなりに「突くべきところを突いた」ものになっているのではないかと思います。
冒頭でも述べた通り、音声入力はまだまだ発展途上にある技術です。
これから5年、10年と時間が進んだ暁には、もっと変換効率も良くなっているでしょうし、ここで紹介したようなことを深く考えずとも、十分に活用することができるものになっている可能性は高いです。
そうなったときにはこの記事には意味はなくなるのですが、まだもう少し時間がかかるでしょう。
それまでは、ここに挙げた注意点を肝に銘じつつ、音声入力に取り込んでいくのがいいと思います。
あなたがもし、文章をたくさん書く生活を送っているのであれば、音声入力はとにかく絶対に試してみるべきアイテムです。
しかし、その際には注意すべき点が幾つかあるのだということを、忘れないようにしてください。
それらをしっかり念頭に置いた上で取り組む分には、音声入力はきっと素晴らしいものとしてあなたの補助をしてくれるでしょう。
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