天国的底辺

二次元、創作、裸足、その他諸々についての思索で構成されたブログ

漫画の積ん読を崩して感想を書いてみた:その10

 文字通り積んで積んで積み重ねた積ん読を、ちょっとずつ消化していく企画の第10弾です。

 せっせと読むのは問題ありませんし、感想を書いていく作業も苦ではないのですが、この冒頭の文章、いわゆるリード文をどんな内容にするかで、少し悩むようになってきました。

 本当は要らないかもしれないものを、一応ねじ込んでいるのが実状ですからね……。

 

 まあいいや。

 とにかく今回も4作ほど紹介させていただきます。

 

 

 

内山敦司『世界か彼女か選べない』1巻

オススメ度:★★★★★★★☆☆☆

 

 高校生・中川光輝は、幼馴染の藤咲歩美に惚れており、告白しようと決意する。しかしそこに「彼女と付き合ったら世界が滅ぶ」と警告する少女・神堂さんが絡んできて……というお話。

 日常と非日常の接続の仕方、そしてその非日常に対する光輝と歩美の苦悩の描写などがよくできており、するするっと読むことができました。

 謎をチラ見せしながらストーリーを進めていく手法も、良い感じにハマっているように思います。

 

「藤咲さんを諦めて私と付き合えば、何でもしてあげる」と誘惑(?)する神堂さんは、その見た目の可愛さといい肉感といい、彼女にするのに申し分ない人物ですが、第1巻の時点では人間かどうかもはっきりしないという謎っぷり。

 そんな彼女の警告を信用しつつも、あくまで自分なりのやり方で歩美に寄り添っていくと決断する光輝は、カッコいいようにも愚か者にも見えます。

 その辺りは恐らく意図的な演出でしょうね。読んでいてハラハラするものがありました。

 

 唯一、作者の意図とこちらの感じ方にズレがありそうだと思ったのは、ストーリーが特にシリアスになったときの絵作りですね。

 表情や線のテイスト等、あえてゾクッとするようなものに変えてくるのですが、私の感覚だと、ちょっと唐突すぎて「顔芸」みたいな受け取り方になってしまい、あるがままのシリアスを楽しみにくいところがあったんです。

 ここは人によりけりだと思うので、失敗とまでは言わないのですが。

 

 第1巻のラストは、ややベタではあるものの衝撃的な情報を提供して終わっており、次巻以降どう続いていくのか、普通に気になりました。

 タイミングがあれば、読んでいくかもしれません。

 

わだぺん。『東京自転車少女。』1巻

オススメ度:★★★★★★★☆☆☆

 

 高校入学を機に田舎から上京してきた少女・島野いるかが、東京育ちの東京嫌い・加藤さんと、彼女の愛用のロードバイクに魅せられ、その流れで「自転車天使部」なる謎の部活の面々とも知り合いになり……という感じで始まるお話。

 テーマはタイトルの通り「東京」と「自転車」で、とりあえず第1巻では、自転車で東京を散策し、これまで知らなかった風景の数々を発見していく様子が描かれました。

 

 主人公のいるかがとにかくハイテンションで行動的。その無鉄砲ぶりに、アンニュイで頑なな加藤さんも振り回され、良い意味で調子を崩していくことに。

 ストーリーの大筋がどこへ向かうのかは、第1巻の時点では定かではありませんが、少なくとも「加藤さんの心の成長」は一つのテーマになっているのがわかります。

 正直、私はこの加藤さんをあまり好きになれませんでした。東京をディスっている割に、東京をつまらなくする側に属する性格だからです。

 しかしこれは「いかにそうではなくなっていくのか」という話を展開していく上での「溜め」だと思われるので、まあ心静かに見守っていくところなのかなと解釈した次第。

 

 個人的に惹かれたのは、自転車天使部の部員である江戸っ子・川越彩果が、制服裸足だったところですね。

 といってもまだ学校生活は描かれていないので、その姿で授業も受けているのかまでは定かではないのですが、部の中にある茶室に靴を脱いで上がり正座するなど、フェチ心に刺さるシーンも用意されていました。

 この子のために続きを追いかけようかな、なんて思ってしまいましたね。

 

 気になった点としては、コマの外に作者さんのコメントが物凄くたくさん書かれていることが挙げられます。

 そういう作風、と言われたらそれまでなのですが、私にはちょっと、作り手が表に出すぎて興ざめが発生しているように感じられました。

 一種の照れ隠しなのかもしれませんが……。

 

松本ミトヒ。『勝利の女神だって野球したい!』1巻

勝利の女神だって野球したい! 1 (アース・スターコミックス)

勝利の女神だって野球したい! 1 (アース・スターコミックス)

 

 

オススメ度:★★★★★★☆☆☆☆

 

 高校野球に女子の参加が認められるようになった時代。とある天才女子投手にノーヒットノーランを献上した監督が、異動先の高校でその妹と出会い――というところから始まる、女子も野球やります! なお話。

 あとがきで作者が書いていることなのですが、野球の試合を細かく描写することにはこだわらず、「野球を通してのやり取り」みたいなところに焦点を当てた作りになっています。

 それを妥当だと思うか、物足りないと思うかは読む人次第だと思いますが、私は前者寄りでした。

 

 部員の足りない野球部に、続々と女子が集まってくる展開。

 ……なのですが、第1巻の時点では新規組をそんなに掘り下げる機会がなく、とりあえず集まりました、というところまでで終わった感じです。

 調べてみたところ、雑誌の休刊により第2巻(これが最終巻になるはずだったようです)は発売されず、作者自らが編集したものがAmazonで販売されていました。

 いろいろあったんですね。

 

 途中まで、女子の描写は割と禁欲的な印象があったのですが、第1巻ラストの合宿回では普通に乳首が出まくりの温泉シーンがありまして、「え、こっちの方向にも行くんだ」と少し驚きましたね。嬉しかったですが。

 

ぬっく『朝日奈ひなたは瀬賀くんが好き』1巻

オススメ度:★★★★★☆☆☆☆☆

 

 ちょっと天然入った眼鏡っ娘女子高生・朝日奈ひなたが、大好きな瀬賀くんに猛アプローチをかましたり、彼の元に自然と寄ってくる猫達に憧れたりする、ほのぼの日常4コマ漫画。

 ひなたのデザインと性格の組み合わせが、私には割と新鮮に感じられました。普通だとこのデザインのキャラクターは主役にはなりにくく、かつ「勉強ができて引っ込み思案」みたいな性格になるところだと思うのですが、ひなたのそれは冒頭の通り。

 そのためらいの一切ないアプローチが、無欲で何事にも動じない瀬賀くんにまるで通じない「敗走」の繰り返しが、本作のコメディの軸になっています。

 

 瀬賀くんとのやり取り、そして友人達とのやり取り、共に可愛らしく描かれており、この手の4コマ作品として、その辺は及第点だと思います。

 ただ、言葉は悪いのですが、それだけで終わってしまっているな、という感じ。

 もう少し、空気感や台詞回し、ちょっとした設定の部分で「おっ」というものが見られないと、この作品を手に取る意味が見出せないし、読んだとしても記憶に長く留めておくのは難しいですね……。

 

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