このブログを開設した当初は、そのコンセプトの中に「音声入力で書いていく」みたいなことが含まれていました。
いちばん最初の記事に、そのことがしっかり宣言されています。
でも、ふと気づいたら、最近の私はすっかりブログをキーボード入力オンリーで書くようになってしまっていました。
結論として、少なくとも今の私にとっては、始めからキーボード入力で執筆していったほうが、ずっと手っ取り早く記事を仕上げられるのです。
というわけで今日は、具体的にどういう理由で音声入力と縁が遠くなってしまったのか、そしてこれから音声入力とどのように付き合っていくつもりなのか、といった辺りについて書いてみようと思います。
理由1:結局、ボトルネックは思考にある
いきなり身も蓋もない理由ですが、結局はこれが大きいです。
絶え間なく文章を考えつくことができる人は、また話が違ってくるのでしょうが、私の場合は、文字入力のスピードがちょっと速いという程度のことは、文章を思いつくのにかかる時間に比べれば、ほとんど誤差の範囲でしかなかったのです。
いわゆるボトルネックというやつが、私程度の執筆速度の場合は、圧倒的に思考時間に寄っていたわけですね。
そんな私にとって、音声入力が威力を発揮するとしたら、例えば「デスクトップPCを起動することができないけれども、今すぐブログ本文を執筆したい」というような状況に限られます。
しかし、現在の私には、そのような状況はまず発生しません。
ブログを執筆しようと思うのは自宅にいるときのみですし、自宅にいる限りはデスクトップPCの前にいることは何ら難しいことではありません。
つまり、デスクトップPCでGoogleドキュメントを起動し、それを見ながらiPhoneをかざし、「わざわざ」音声入力をする、というのが、今の私にとっての音声入力のスタイルと言うことになります。
いかにも無理矢理テクノロジーをねじ込んだという感じで、特に生産性の向上には繋がっていませんよね。
また、私はキーボード入力というものに対して、まったく疲れを感じない人間なので、そちらの意味でも音声入力の恩恵は少なかったりします。
例えば、肩こりがひどい人などは、キーボードに向かわずに寝転がったまま文章入力することができるという、その一点だけでも絶大な恩恵だと思うのですが、私はそうではない。
幸いにも肩こりとは一切無縁の人生を送っているため、文章を書きたければその都度キーボードをカタカタと叩けばよいということになるわけです。
そういった様々な面を考慮した上での、現時点の結論として、音声入力は少なくともブログを執筆する上での速度の向上には貢献しない、ということが言えるわけですね。
特に明確にそういうことを考えていたわけではないのですが、ふと気がついたら流れるままに音声入力を脇に押しやってしまっていました。
自然淘汰というやつです。
理由2:全面的なリライトを必要とする
音声入力の技術面での向上は本当に素晴らしいのですが、まだまだどうにもならない点がいくつかあります。
そのうちの1つに、ある言葉を漢字にするかひらがなにするかといった意思決定、があります。
私の場合、その辺の文字の使い分けには強いこだわりがありますので、音声入力が紡ぎ出す結果と、自分の望みとのあいだに、大きな開きを感じることが多いのです。
そうすると、いったん音声入力で書いた文章を、全面的にリライトする必要が出てくるわけです。
言ってみれば、音声入力で書いた文章は初稿以前の下書き段階。そこに大幅に手を加えなければ、とても公開することのできない、ブサイクな代物なわけです。
少なくとも、私にとっては。
さらに言うと、これは私の頭が良くないせいかもしれないのですが、音声入力によって書いた文章は、はっきりって酷いものです。
同じ語尾を何度も繰り返していたり、主語と述語がきちんと噛み合っていなかったり、手直ししなければならない部分があまりにも多すぎる。
これを全部直すくらいなら、最初からキーボードで、きちんと練り込んだ文章を書いていったほうが、結局は短い時間で完成にこぎつけられるのではないかと思うんですよね。
こういったことから、音声入力には、キーボード入力にはない「二度手間」が存在すると言えるわけです。
それを補って余りあるようなメリットは、今のところ発見するに至っていません。
理由3:iPhone音声入力の時間制限
私は音声入力の手段としてiPhoneを選んでいるのですが、これの音声入力には、制限時間がついているんですよね。
確か40秒だったと思うのですが、それだけの時間が経過すると、自動的に音声入力モードが終わりになってしまうのです。
従って、長い時間うんうん唸りながら、自分のリズムでゆっくりと文章書いていくことができないのです。
常に急かされているといいますか、「早く何か思いつかなければ」という焦りのような気持ちが生まれて、ただでさえ音声入力ではガタガタになってしまう文章が、さらにダメ押しで崩れたものになってしまうわけです。
この制限時間を、例えば5分とかに伸ばすことができれば、それだけでずいぶん使い勝手は良くなると思うのですが、iOSが何度アップデートされても、そこら辺をいじれるようになりました、というアナウンスは一向に聞こえてきません。
それなりに需要のあるところだと思うのですが、Appleは認識していないのでしょうか。あるいは何か、技術的な理由から、この40秒という時間をこれ以上伸ばすことは難しいのでしょうか。
素人の私にはわかりませんが、単純に自分の要望を言わせていただくのであれば、次回のアップデートにでもすぐに実装してほしい機能であったりします。
今後の活用方針
個人的に音声入力には行為として魅力を感じているので、何とかして有効活用していきたいと思っているのですが、今のところはどうもうまく組み込めないですね……。
あるいは、今回挙げたこともすべて慣れの問題であり、しつこく続けていくことで、今の私には思いつかない何かしらの活路を見出すことができるのでしょうか。
その可能性もないわけではありませんが、とりあえず今は、古き良きキーボード入力に専念する手法に軍配が上がるのは確かです。
今後さらに音声入力の可能性を追求していくとしたら、あえて生産性を度外視して、音声入力で「下書き」をしていくという風になるでしょうか。
あるいはそれくらいのことをやらなければ、音声入力というものは自分のものにすることができない代物なのかもしれませんが、ちょっと面倒臭いな……というのが率直な気持ちだったりします。
本格的に音声入力を文章の執筆に取り込める日は、まだもうちょっと先のことになりそうな感じ。
今はまだ、いろいろな意味で過渡期かな、という印象ですね。
おわりに
実はこの記事、音声入力で下書きをいたしました。
久しぶりの音声入力だったのですが、まあ、これを喋っている現時点で画面に映っている文章の体裁は、本当にひどいものです。
喋るとこんなにもメチャクチャな文章になってしまうのかと、呆れてしまいます。
これのどこまでが誰しもに共通することで、どこからが私という人間の喋りの下手さなのか、ちょっとわからないのですが、いずれにせよここまで書いてきた文章を全面的に手直ししなければならないことを考えると、繰り返すようですが「二度手間だなあ」と思わざるを得ません。
文章というのは、そう簡単なものではありませんので。
でも野口悠紀雄さんみたいに、音声入力だけで、音声入力に関する本を一冊書いてしまう人もいるからなあ……。
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