今日は個人向けの容量無制限オンラインストレージサービスの思い出と、これから何か期待できるのかについて、ちょっと書いてみようと思います。
読む人が読めば「個人向けの容量無制限オンラインストレージサービス」というだけで遠い目をしてしまうと思うのですが、その辺の感覚は私も同じです。
その目のままお読みいただければと思います。
- Amazon Drive Unlimitedの思い出
- 起きては倒れの歴史
- 現在生きている法人向け無制限サービス
- ストレージに何か革新が起きれば……
- 望みを託すならやはりGAFAM(的な企業)なのか
- おわりに
Amazon Drive Unlimitedの思い出
Amazonが2015年にアメリカで始めた、個人向けの容量無制限オンラインストレージサービス「Amazon Drive Unlimited」が翌2016年に日本上陸したとき、私はそれなりに期待を膨らませていました。
それまでにすでに同様のサービスがたくさん生まれては消えていき、業界に一定量のデータは溜まったはず。
それを踏まえた上で、あのAmazonが始めたわけですから、しっかりした「勝算」があってのものだろうと判断したわけです。
価格は年13,800円。
しばらく悩む時間があったのですが、最終的に私は契約することにしました。
理由は動画。私はアニメをしこたま溜め込んでおり、これをどこか安全な場所にバックアップしておきたかったのです。
この発想には、少なからず数年前の東日本大震災が関係していました。
あのとき流れたニュース映像から私が学んだのは、「自宅に置いておくのが一番安全というのは幻想である」ということ。
どこか外の強固なところにデータを格納しておきたい、という気持ちが数年にわたって高まり続けていたのです。
夢の格納庫を手に入れた私は、せっせと手元のデータをアップロードしていきました。
合計で4TBほどだったと記憶しています。
決して使い勝手の良いサービスとは言えませんでした。例えば動画をストリーミング再生するのにも制限があり、それを越えるものは外部サービスの助けを借りる必要があるなどの面倒臭さがある。
しかし何と言っても無制限。
さすがにこれは外には預けられないなというパーソナルなデータを除いて、大きなものはだいたいアップロードしました。
それだけで何日もかかりましたが、実に楽しい作業だったのを覚えています。
――しかし、このサービスは私が契約してから1年もしないうちに終了することになりました。
あまりにもあっけなく、ある日唐突にAmazonが無制限サービス終了のアナウンスをしたのです。
その後継として発表された価格設定は、ほとんど悪い冗談のように見えました。
しっかりと他社の失敗例を研究し、その上で「行ける」と判断して始めたわけではなかったのか……。
もちろんすぐに解約し、日割りで返金してもらいました。まあ、短いあいだ夢を見せてもらったという感じではありましたが、モヤモヤはしばらく残っていましたね。
起きては倒れの歴史
個人向けの無制限サービスには、それなりの歴史があります。
しかしその内容はまさに惨憺たるものであり、その全体が黒歴史と言っても過言ではないほど、数多くの挑戦がことごとく灰となって消えていきました。
その詳細を記した記事を見つけましたので、紹介したいと思います。
Bitcasa、SafeSync、Hive、OneDrive、Evernote……これ系のサービスを追ってきた人ならば、この辺りの羅列でいっそう「遠い目」になるところではないかと思います。
ここでもっとも絶望するポイントは、血気盛んなベンチャーが果敢に挑んで散っていったというだけでなく、あのGAFA、いやMicrosoftも含めたGAFAMも参入し、やっぱり駄目だったという事実でしょう。
実際、Amazonが始めたときに「ここがやって駄目なら、もうどこがやっても駄目だろう」と言われていましたからね。
少なくとも2010年代までにおいては、人類には早すぎるサービスだったわけです。
こう書いてくると、「一人で膨大な量のデータをアップロードする一部ユーザーのせいで潰れるのだ」という意見が出てきます。
それはまあ事実ではあります。
例えばMicrosoftのOneDriveが無制限をやめたときには、一人で75TB近いデータを上げていた人がいたと聞きます。
恐らく、どこかで無制限サービスが開始されるたびに、そういう人種がバーっとたかり、そして企業はその重圧に耐えきれずギブアップ――その繰り返しだったのでしょう。
しかし、そういう人達に責任と言いますか「非がある」ように言うのは、根本的に間違っているというのが私の考え方です。
なぜなら、個人向け無制限サービスというのは、どう考えても「まさにそういうニーズを満たすために」あるからです。
せいぜい1TBや2TBに収まってしまうようなデータ量しか持っていない「普通の人」は、そもそも無制限であることのメリットをさほど享受できないでしょう。
厳しい言い方になりますが、一人で75TB使うような人がいたから無理でした、というのは、企業側の見積もりが甘かったということでしかなかったのです。顧客が何者かをわかっていなかった。
現在生きている法人向け無制限サービス
……と夢も希望もないような書き方をしてきましたが、この世に無制限のオンラインストレージサービス自体が皆無というわけではありません。
法人向けに幾つか、容量無制限を謳うものがあり、それらは今でも現役でサービスを続けています。消えそうだという噂は幸いにも聞き及んでおりません。
代表的なところを以下に挙げておきます。
- box Businessプラン
- G Suite Businessプラン
- Dropbox Business Advancedプラン
- Fleekdrive Enterpriseプラン
「なら、絶望とかしてないで、これらのサービスを使えばいいんじゃないの?」という意見もあるかと思いますが、価格の問題があります。
上記のサービスはいずれも月額にして1,360~4,000円と、一見リーズナブルなのですが、容量無制限を使うためには、最低で数アカウントの契約をしなければならないのです。
一番安く済むboxでも、月額1,800円のアカウントが最低3つ必要になります。つまり月に5,400円、年間64,800円です。
かつてのAmazon Drive Unlimitedの13,800円とは、比べ物になりません。
少なくとも私には手が出せない価格です。
あとこれは個人的な疑問なのですが、法人向けのサービスって個人でも契約できるのでしょうか?
今回ちょっと調べてみたのですが、そこについてはわかりませんでした。
もしできないのであれば、そもそも悩むまでもなく、個人ユースの道はあり得ないということになりますよね。
ストレージに何か革新が起きれば……
個人向けの無制限サービスが、今後復活することはあるのでしょうか?
私は専門外の人間なので複雑な技術的・経済的事情は知る由もありませんが、少なくとも可能性ゼロと言い切ってしまう必要はないのではないかと考えています。
というのも、ストレージは大容量化≒低価格化を続けており、そのことによるコスト低下もまた著しいスピードで進んでいるからです。
(まあ、データ量の膨大化もまた同等以上に進んでいるので、イタチごっこと言えばそうなのですが……)
また、今のところHDDに頼っているわけですが、他に何か新しいメディアが誕生し普及すれば、それを使うことでもコスト削減が可能になるかもしれません。
たとえば現在すでに一部で使われているアーカイバルディスク。
これは将来的には一枚300TBの大容量を実現できる可能性もあるとされており、それを安価で扱える時代になれば、いろいろな話がまた変わってくるものと思われます。
そうなった暁には、また年額1万円台で無制限に使えますよ的なサービスが、今度こそ半恒久的に、かたちになるのではないかと、私などは期待してしまうわけです。
望みを託すならやはりGAFAM(的な企業)なのか
そうなったときにサービスを提供してくれるのは、やはりGAFAM――というか、その時代のGAFAM的な超大企業なのかな、と思います。
先に動くのは新興のベンチャーでしょう。何年後かわかりませんが、何かストレージ事情に「勝算を見出だせるような」変化があったときには、まずベンチャーが果敢に挑戦するはずです。
そしてたぶん、それ自体はほとんどが失敗する。
そこから少し遅れて、GAFAM的なところが革命的なプランを提示する。
飛びつくとしたらそのときかな、みたいなことを、一人で妄想している次第ですが、さて、そういう時代はやって来るでしょうか。
お金を幾らまで出せるのかは、完全に個人の財布事情にかかってくることですが、私としては、月に1,500円以上はちょっと払えないかな、というところです。
年額にすると18,000円。そのくらいが上限かなと。
そのくらいの金額で無制限。うーん、夢が膨らみますね。
ホントにただの夢なのが哀しいところですけどね!
おわりに
ぶっちゃけた話、無制限サービスにときめく個人というのは、そんなにいないのが実情だと思います。
もしあなたが動画を溜め込んでいる人でないのなら、きっとそこに憧れはほとんど無いと言っていいのではないでしょうか?
動画の他に容量が大きいというとRAW画像などが挙げられますが、こちらはAmazonプライムのフォトサービスですでに無制限が実現していますからね。
そういう意味では、限られた一部の人間達だけが、生まれたばかりのサービスに飛びかかっては潰し、飛びかかっては潰し、そして今も亡霊のように蠢いている、という話なわけで、まあ「知るかよ」と言われればそこでオシマイだったりします。
でも、動画、安全に保持しておきたいんですよね。
アニメなんて今なら配信サービスいくらでもあるだろ、という意見もあるでしょうが、ラインナップも万能ではありませんから、マイナーどころはやっぱり「手元のデータを失ったら円盤に手を伸ばさなければならない」という事情から逃れられないわけです。
ちなみに、動画によってはGoogleフォトが無制限サービスの代替になる場合もあります。
動画のサイズが制限内で、ある程度の画質の劣化を気にしないのであれば、このサービスで十分だという人もいるでしょう。
またそうでない人も、準バックアップとして活用する手もあります。
ただ、なにぶんGoogleなので、動画の中身には注意しないといけないかもしれません。
何か過激なものをアップロードしたい方は、やめておいたほうが無難であると言えるでしょう。
さて、この辺で今回は終わりたいと思います。
一人に100TBアップされてもびくともしないようなウルトラスーパーストレージサービスが出現することを祈りつつ、HDDを買い増すlokiがお送りしました。
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