天国的底辺

二次元、創作、裸足、その他諸々についての思索で構成されたブログ

起床後3時間は脳のゴールデンタイムと言うけれど

最近は、朝活がブームみたいになっています。
それ以前はそもそも朝活なんていう言葉は存在しなかったように思うのですが、私のアンテナがろくに立っていなかっただけでしょうか?
私の観測の範囲では、朝に色々活動することの重要性が、ここ数年になって急激に説かれるようになった感じです。

そしてその朝活の一環として、「脳のゴールデンタイム」という概念も広がりを見せつつあるように思われます。
詳しいことは後で解説しますが、要するにこれも「朝に精力的に活動しましょう」という啓蒙の一環として使われている概念ですね。

しかし個人的には、この「脳のゴールデンタイム」に対して、かなり疑惑の目を向けていたりするのです。
この記事では、そのことについてちょっと書いてみたいと思います。

脳のゴールデンタイムとは?

脳のゴールデンタイムという言葉を、もしかしたらあなたは初めて目にしたかもしれません。
「脳」という言葉が使われていることから医学用語のようなイメージを抱きがちですが、私がざっと調べてみた限りでは、医学用語というよりも、さながら「自己啓発本用語」とでも言うべきものであるようにうかがえます。

具体的な内容はシンプルで、以下のような主張を指しています。
起床直後は脳が最も活発に働く状態にあり、創造力や集中力を高い状態に保つことができる。その状態がだいたい起床から3時間後くらいまで続く。だから一日のうちの重要なタスクは、この時間に片付けてしまうのが良いだろう。他の時間帯にやるのとでは、パフォーマンスが全然違ってくる」

3時間という数字は全員の言説において一致しているわけではなく、諸説あるようです。
1~2時間と言っている解説もあれば、4時間と言っている解説もあります。
ただとにかく、起きてから少しの間、脳のパフォーマンスは最高潮を維持しており、それが時間経過とともに下落していく、というところは共通しています。
だから大切なタスクは午前中にこなしてしまいなさい、ということですね。

しかし「もはや現代の常識」みたいに言われているこの脳のゴールデンタイムという概念、個人的にはそのまま飲み込めないところを感じているというのが、正直なところだったりします。

しかし私の起床後3時間は最高潮ではない

なぜ私が、最近これほど言われている「脳のゴールデンタイム」という概念に対して懐疑的であるかというと、答えは至ってシンプルです。
私の起床後3時間は、それほどパフォーマンスが高いわけでもないし、それ以降の時間と比較して違いがあるようにも思えないからです。

私の脳が、実際に起床後3時間にどのような動きをしているのか、具体的なところはもちろんわかりません。
しかし少なくとも総合的に見て、この3時間に作業をすることで高いパフォーマンスを発揮できている――とはとても言いがたいんですよね。

これは私だけなのかもしれませんが、起きてからしばらくの間は体に軽いだるさがあり、そこから来る億劫があります。
この億劫さは万事に影響するものであり、朝に仕事をしようが趣味のクリエイティブな作業をしようが、どうもいまいちノリが良くないのです。

ほんの少しでも「やっぱり朝に大切なことをすると、結果が違ってくるね」と思えるような何かがあれば、その度合いによらず私も朝活そして脳のゴールデンタイムの概念に対して拍手喝采したことでしょう。
素晴らしいことを教えてくれてありがとうございます、これからは教えに従って朝に大切なことをバシバシこなしていきます、みたいになったはずです。

しかし実際には、それほどのパフォーマンスは出せていないので、「本当に脳のゴールデンタイムなんてあるの?」みたいな気持ちになってしまうんですよね。

具体的に私に何が起きているのか(あるいは起きていないのか)はわかりません。
たとえば、脳のゴールデンタイムにはなっているけれど、体の目覚めが悪いせいで全体としてのパフォーマンスが向上しないのか。
それとも、脳のゴールデンタイムという現象自体が私とは縁のないものなのか。
一体何が真相なのでしょうか。

脳のゴールデンタイムに関する3つの疑問

そもそも「脳のゴールデンタイム」という概念には、いくつかの疑問点があります。
私はそれをネットで調べてみたのですが、答えに該当する記事はいくら検索してもヒットしませんでした。

ここでは主な3つの疑問について、少し掘り下げてみたいと思います。

脳のゴールデンタイムには個人差がある?

まず、脳のゴールデンタイムには個人差があるのかどうか、これがネットで読めるほぼすべての記事において言及されていません。
ネットの記事は一様にして「朝は脳のゴールデンタイム。この時間に創造性や集中力を必要とする作業をこなしてしまおう!」の一点張りで、実用性みたいなところはあまり掘り下げていないんですよね。

ちょっと考えただけでも、脳のゴールデンタイムの個人差に関して、以下のような疑問が浮かぶのではないでしょうか。

  • 人によってはゴールデンタイムが訪れないこともあるのか?
  • ゴールデンタイムの時間は、人によってバラバラなのか?

こういったことがわからないと、脳のゴールデンタイムという概念を実際に自分の生活に取り込んでみるのが難しくなります。
一から試行錯誤しなければいけないからです。

朝型か夜型かは関係する?

脳のゴールデンタイムについて言及している記事のほぼすべては、それが訪れる時間帯について「起床後3時間(あるいは1時間とか2時間とか4時間とか)」という風に表現しています。
そしてそれが語られる文脈として朝活がベースにあるので、なんとなく「この起床後というのは朝の起床に減点したものである」かのように読めてしまいます。

しかし、実際にそう断言しているわけではありません。
つまり、昼夜逆転している人が夜に目を覚ましたときにも、起床後3時間が脳のゴールデンタイム状態に突入しているのか、そこら辺がはっきりしないんですよね。

言うまでもなく、世の中のすべての人が朝起きて夜寝ているわけではありません。
たとえば夜勤の人は多いですし、毎日の寝起きの時間がまったくバラバラ、みたいな生活をしている人だっているはずです。
そういう人たちの起床後3時間も、脳はゴールデンタイム状態になっているのでしょうか?

私はWebライターという仕事をしている関係上、人一倍この辺が気になってしまいます。
どうも世間のこの手のライフハック系の文章は、表現がきちんとしていないことが多いような気がします。
おそらく、どこかで聞きかじった情報を、実質的にコピペのような形で自分たちのメディアに応用し、垂れ流しているだけなのでしょう。
だから多分、記事を執筆した人たちも、実際のところどうなのかわかっていないのではないかと推測する次第です。

昼寝等を活用すればゴールデンタイムを複数作れる?

さらに疑問なのは、脳のゴールデンタイムは一日のうち一度しか体験できないものなのか、ということです。
たとえば、一日の途中で深く長い昼寝をした場合、その昼寝から目覚めた後の3時間は再び脳のゴールデンタイムになったりするのでしょうか?

繰り返しになりますが、巷で読める情報は「起床後3時間は脳のゴールデンタイム」みたいな書き方しかしていません。
「起床後」というのが、いわゆるメインの睡眠だけを指すのか、それとも1日の途中に多めに眠ったときにも適用されるものなのか、はっきりしないんですよね。

個人的な体験から語るのであれば、脳のゴールデンタイムは本格的な睡眠以外にも適用できる概念なのではないかという気がします。
というのも、私はよく夜の21時から深夜0時くらいまで眠ってしまうことがあるのですが(その後少し活動して本格的に就寝する)、その目覚めの後はしばらくすごく心身ともに活発になるのです。
むしろ朝の「メインの起床」の後よりも、この時間の方が創造力や集中力が鋭くなっているのを感じるくらいです。

もしこれが脳のゴールデンタイムの概念に関わる現象なのであれば、ある程度深い睡眠を取りさえすれば、その後には脳のパフォーマンスが高くなる、ということが言えると思います。
果たしてどうなのでしょうね。

ちなみに小説家の西尾維新さんは、執筆する日にはメインの睡眠の他に複数回の仮眠を確保するそうです。寝ては起き、寝ては起きを繰り返すことで「朝を複数回作る」のだというのが本人の弁。
それによって、小説を執筆するにあたっての問題を解決したり、高いパフォーマンスを発揮したりするのだそうです。

西尾さんの行っていることは、もしかしたら「脳のゴールデンタイムを一日に数回作り出すテクニック」と表現できるのかもしれません。

理想的な脳の使い方を見つけるのは難しい

とにかく言えるのは、理想的な脳の使い方を見つけるのは本当に難しいということです。
おそらくここには、人それぞれ理想の形が異なる、ということが影響しているのではないかと思うのですが、すでに述べたように、脳のゴールデンタイムという現象が万人に共通するものなのか個体差のあるものなのかがわからないので、何とも言えません。

しかしとにかく難しい。これだけは言えます。

私の場合、これまたすでに述べた通り、朝に早起きしてからといって午前の生産性が上がるわけではありません。
そしてお昼頃にはすぐ眠くなり、パフォーマンス云々を抜きにした仮眠を余儀なくされます。
そして夜は夜で本格的な就寝前に眠ってしまい、その後元気になり、でも朝起きて夜眠るリズムを崩したくないので、その元気を長時間作業に費やすことなく、あえて床につく。
そんな生活をしています。

一日をどのように使えば最もパフォーマンスを発揮できるのかについては、これまでの人生で何度も何度も考えてきました。
しかしこれがなかなか思うようにいかない。
当たり前ですが一日は24時間と決まっているので、「これの前にこれをやっておきたい」「ここに睡眠を入れたい」みたいなことあれこれ考えてはみるものの、あちらを立てればこちらが立たずの状態になってしまうんですよね。

まるで、解けないパズルゲームをしているみたいな気分になってきます。

もちろん、諦めたらそこで試合終了なので、今後もベストな時間術を模索していくことになるわけですが、いやあとにかく難しい。
そこに、脳のゴールデンタイムという、やや情報不足な概念が関わってくるものですから、理想の生活スケジュール探しはいっそう複雑なものになっていくわけです。

おわりに

この記事はまあ要するに、「信じて色々やってみているけど効果がないぞ!」という不平不満をぶちまけたもの、という言い方もできなくはありません。
しかし別に、批判することが目的ではありません。
むしろ、脳のゴールデンタイムという概念を、効果的な形で自分の生活に取り込みたいわけです。

しかし脳のゴールデンタイムというキーワードでAmazonあたりを検索しても、特に書籍は見つからないんですよね。
どうやら本にするほど「専門的」だったり「深さがある」ものだったりするわけではないみたいです。
最初に言い出したのは誰なんでしょうね?
巷の記事を見ていると、脳科学者の茂木健一郎さんの名前が出てくるのですが、別にあの方が研究した結果わかったことでもないでしょうし、そこも謎です。

まあとにかく、なんとか自分なりのパフォーマンスの高め方を確立したい。
もし自分に限っては違う時間帯に脳のゴールデンタイムがあるなら、その時間帯を何としても見つけたいですし、脳のゴールデンタイムを一日の中に複数作れるのであれば、それにもトライしてみたいところです。
生産性をちょっとでも向上させるために、今後もさまざまな試行錯誤をしていく所存です。

脳のゴールデンタイム、皆さんも意識してみてはいかがでしょうか。