天国的底辺

二次元、創作、裸足、その他諸々についての思索で構成されたブログ

発信する人は「あなたを簡単に支援できる仕組み」に乗ろう

支援

 

 近頃になって、様々な分野において、個人のマネタイズを補助する手段が発達してきました。

 これまでだったら、思い立った人間がゼロから自力で構築しなければならなかったものが、すでに一通り出来上がっていて、簡単なユーザー登録をするだけでそれらを利用できるようになっている。

 あとは自分のコンテンツで人を「魅せる」ことに邁進すれば、腕次第でいくらでも収益を生み出すことができる――そういうところまで、システムがお膳立てしてくれるようになったのです。

 

 今日はその手の仕組みについて、思うところをつらつらと書いていきたいと思います。

 

 

個人が個人を支援する仕組み

 それらの仕組みの何が画期的かと言えば、やはり「個人が個人を支援する」ものであるということでしょう。

 もちろんプラットフォーマーにマージンは取られるわけですが、それを除けば、余計な中間の存在を介することなく、受け手が送り手を直接支援することができるのです。

 もっとぶっちゃけて言うと、お金をダイレクトにやり取りすることができる。

 

 顔も知らなければ、本名や住所もわからない相手同士で、そういったことができるようになったわけで、何かを発信している人にとっては、非常にチャンスのある時代になったわけですね。

 

 発信するコンテンツは、何でも構いません。

 文章であれ、絵であれ音楽であれ、はたまた何らかのコミュニケーションであれ、それが受け手を満足させるものであるならば、そこに収益を発生させることができる。

 使い古された言葉ですが、世の中にはいろいろな人間がいて、いろいろなものを求めています。

 あなたが発信するものが何であれ、方向性としては必ずと言っていいほど需要があり、品質と宣伝次第では、少なくないお金を生み出すチャンスが必ずある。

 

 あとは作り出すだけ。世界中にあなたのソレを待っている人がいる――。

 そんな表現が、決して大袈裟なものではなくなったのが、今という時代です。

 

お金を払いたがる人がいる

 ここで大切なのは、「世の中には、お金を払いたがる人がいる」という事実でしょう。

 貧乏人の私には、それを自分のこととして受け入れることは難しいのですが、実際問題、自分のお気に入りの相手にお金なり物なりを送りたくてたまらない、という人は、世の中にいくらでもいるんですよね。

 

 個人対個人という構図からは離れてしまいますが、一例として「海賊版の衰退」を挙げることができます。

 かつて日本の漫画やアニメは、海外で無断コピーされ放題であり、外国人から収益を得ることがあまりできない状況でした。

 しかし近年になって、漫画もアニメも「本物」を直接海外のファンに届ける仕組みが充実してきたのです。

 

 その結果どうなったかというと、海外のファン達は、海賊版を見限って、本家にお金を落とすようになったんですよね。

 それが決して海賊版より安価というわけではないにもかかわらずです。

 つまり、彼らはこれまで海賊版を消費しつつも、心のどこかでは「作り手に還元されるかたちで自分のお金を使いたい」と思っていたわけです。

 その仕組みが出来上がったことで、作り手だけでなく受け手も「救われる」ことになった――そう表現しても、間違いではないでしょう。

 

 つまり、ネットを介して作り手に直接お金を渡す仕組みは、決して発信する側だけの福音ではない、ということになります。

 ここが面白いところであり、支援という行為を支えているとても重要な要素です。

 この受け手側の心理を理解することで、「誰かから支援をいただく」ことへの余計な躊躇を取り除くことができるようになるのだと、私は思います。

 

「複業」の時代に

 こういった支援の仕組みによって、専業でがっつり稼いでいくことももちろん可能なのですが、それよりも「生活をちょっと潤わせるお金を稼ぐ」手段として手軽に使うことができる点が大きいのではないでしょうか。

 いわゆる副業というやつです。

 そして、副業のさらに大きな概念として、複数の手段で自分の生活の糧を得て暮らす在り方のことを、最近では字を変えて「複業」と呼んだりします。

 

 今はまさに複業の時代。

 一連の支援の仕組みは、そんな時代の流れにぴったりとフィットしています。

 以前から私は、例えばものすごく上手な絵を描くにもかかわらず、それとはまったく関係ない職に就いており、そちらでのみ収入を得ている人達を目にしては、次のように思っていたのです。

「何だか、せっかくの能力がもったいないな。というか、この状態だと本業の事情に絵描き作業が潰されることもあり得るわけで、それはとてもつらい」

 

 でも今では、そこそこ以上に絵を描くことのできる人の多くが、例えばpixivFANBOXFantia等のサービスを利用し、ファンからの支援を募っています。

 それによって、多かれ少なかれ生活をより良いものにしている。

 

 最初のうちは抵抗を持つ人も多かったようなのですが、私の観測の範囲内では、そういった行為はじわじわと浸透していき、今ではかなり普通のことになったように見えます。

 良いことだな、と素直に思いますね。

 私の持論として、お金に換えることのできる能力はすべて積極的に換えていこう、それこそが健全な生き方なのだ、というのがあるので、物事が然るべきかたちに「直ってきた」感じがして、とても気分が良いです。

 

難点

 まあでも、そういう時代ならではの難点も、ないわけではありません。

 第一に、人々は作り手を育てるために対価を支払うのではなく、今得られる恩恵に対して対価を支払うので、格差がとても激しいということが挙げられます。

 つまり、駆け出しの人間ほど物理的にも精神的にも援助が必要なのに、そういう人の発信するものには誰も支援などしたりしない、ということです。

 一方で、もうすっかり腕を上げて、どんな手段でもマネタイズできるような人は、山程の支援を受けて、ますます目一杯腕を振るうことができるようになるのです。

 資本主義のリアルというやつで、仕方のないところなのですが、まあ厳しい話ですね。

 

 そして第二に、こういう仕組みが高度に発達・浸透してくると、私のように誰かを支援するお金を持たない人が、コンテンツを享受しにくくなる、というのがあります。

 つまり、これまではマネタイズの手段がない(あるいは面倒臭い)から無料でコンテンツを発信していた人達が、自分のとっておきをすべて有料コンテンツに回すようになる結果、ネット全体から「優れた無料コンテンツ」がなくなっていく……みたいなことです。

 先ほど、こうした仕組みの発展を「気分が良い」と表現したばかりでアレなのですが、貧乏人にはちょっとつらい面もある流れなのも事実。

 まあ、こればかりは、頑張ってしっかり稼いでいこう、と言う他ないところではありますが……。

 

おわりに

 以上、個人が個人を支援する仕組みについて、思うところをつらつらと書かせていただきました。

 

 かくいう私も、その流れに乗っかろうと画策している最中です。

 今までラノベ新人賞向けに書いてきた小説が何本かあるのですが、その中の一つに、いわゆる裸足フェチに向けた、ものすごく「濃い」作品があるんです。

 これを有料で販売することを考えている次第。

 プラットフォームはBOOTHnote。価格はとりあえず300円あたりから始め、ウケが良いようだったら少し値上げを試みようかな、というところですね。

 ニッチな市場を取りに行こうという話です。

 

 あなたがもし何かコンテンツを発信することの好きな人間で、まだ支援を受ける仕組みに参加していないのであれば、今すぐに参加してみることをおすすめします。

 あなたが考えている以上に、あなたが生み出すものを好きでいてくれる人がいるかもしれませんし、そういう人達はあなたを支援する手段を待っているかもしれません。

 両者の幸福のために、積極的に繋がりに行ってみてはいかがでしょうか?