タイトルからはわかりにくいかもしれませんが、今日はネット上での適切な振る舞いについて、話をしたいと思います。
テーマはズバリ、賢さと炎上について。……もう少し正確に言うと、賢くないことと、炎上することの関係について、です。
ここに書いたことが、必ずしもすべての状況に適用できるわけではないのですが、私もそれなりに長年ネットをやってきたので、観測データの蓄積としてはそこそこ信用してもらって構わないのではないかと思います。
では、ぽつぽつ語っていきましょう。
賢くないことを恐れる必要はない
ネットをやっていると、毎日どこかしらで何かしらが炎上しているのを目撃することになります。
火事と喧嘩は江戸の華、という言葉がありますが、炎上はまさに火事と喧嘩の融合とでも言うべきもの。
他人事としては楽しいものなのかもしれませんが、自分がそのつもりもないのに突然渦中の人になってしまったら、たまったものではありませんよね。
そんな炎上案件の中には、知識・認識不足から、おかしなことを言ってしまったことがきっかけで始まったものも多数あります。
無数の人間達が、一人の無知な人間に対して、徹底的に突っ込みという名の口撃を加えるわけです。
どちらに非があるかについては、まったくもってケースバイケースなのですが、いずれにせよ、不意打ちでその対象になるのは勘弁願いたいものです。
そういうのをたくさん目撃していると、込み入った話題に「参入」するのをためらうようになってしまう人も、結構出てくるのではないかと思います。
安全に楽しくネットを続けたければ、当たり障りのない話題だけを口にしておき、とんがった人に突っ込みを食らいそうな話題については、たとえ興味があってもダンマリを決め混んでおくのが無難であるからです。
しかし、私はここで、一つの提言をしたいと思います。
「自分がこのテーマに関して、無知なところがあるかもしれない」という理由で、自分の意見を発信することを恐れる必要はありません。
なぜならば、仮にあなたの発言が的外れなものであったとしても、それだけを理由には、総叩きには発展しないからです。
叩かれるのは無知ではなく態度
「いや、そうは言っても、無知を晒したことで叩かれてしまう人は、実際にたくさんいるじゃないか」
こういう反応示す人も、それなりにいるのではないかと思います。
しかし、そこで具体的に思い返してみていただきたいのは、それらの炎上をよくよく分解してみると、無知であることそのものに着火したのではない、ということです。
「燃料」は、何かを知らなかったこと自体ではなく、べつの要素なのです。
では、炎上に発展した無知案件は、何がまずかったのでしょうか?
それはズバリ、知識・認識不足の内容を、あまりにも不遜な態度でカマしてしまったことにあります。
あたかも、この世の中で自分だけが正解を知っており、あとの連中はどいつもこいつも無知蒙昧な輩である、というような態度が、人々の心に火をつけてしまったわけです。
つまり、賢くないから叩かれたのではなく、本人が誇るほど賢くないから叩かれたわけですね。
総叩きと言えるほど完膚無きまでに炎上するには、不特定多数が「コイツに一言いってやらなきゃ気が済まない」と強く思う必要があります。
その本質は、炎上した人の発言内容が、知識レベルでどうのという以上に、大勢の人間の癪に障るものであった、ということにあります。
ぶっちゃけ、ただ「それについて知らなかった」というだけの発言内容には、不特定多数がこぞって攻撃を始めるだけの刺激がありません。
そこに自意識といいますか、自尊心といいますか、根拠のない自信といいますか、そういうものが加わってこそ、初めて無知は可燃性になるのです。
平常モードの工夫で無知の知を乗り越える
このように書いてくれば、炎上しないためには何を控えるのが重要なのか、だいたいおわかりなのではないかと思いますが、それでも疑念を持つ方はいるかと思います。
上記のような事態をしっかり避けるためには、自分がモノを知らないということを自覚するのがいちばんなわけですが(いわゆる無知の知)、それはなかなか難しいことです。
自分がこれから語ろうとしていることについて、どれくらい理解できているのかを正確に把握できるのは、かなりのところまで理解できている人だけでしょう。
それに、自分に自信を持って振る舞うことは大事だ、という面もあります。
自分の意見を述べるときには、決してオドオドしたりせず、正々堂々、きっぱり発言すべき。それもまた、忘れてはいけないところです。
この2つが組み合わさると、いとも簡単に「本人が思うほど賢くない(と他人から見える)人」が出来上がってしまうのではないか。
そのような心配をする人が、それなりにいるのではないかと思います。
それを何とかするために私が提案したいのは、たとえ自信のあるときでも、それはそれとして常に「言葉のブレーキ」を発言の終わりに添えておくことです。
具体的には、自分の意見をしっかりと述べた後で、「~に思えるのだが、どうなのだろう」のように締めておけばいいのです。
その内容がおかしかった場合、恐らく誰かから指摘が入ることでしょう。
しかしそれは十中八九、攻撃的なものではありません。どれくらい優しいかは、相手の人間性にもよるでしょうが、基本的にそれは、あなたを思いっきり凹ませ、やり込めてやろうと言う意図のものではないはずです。
一人一人がそのように穏健的な反応をする結果、総叩きに発展することはまずなくなるのです。
指摘を受けた際には、それに対して定型的なお礼を言っておけばいいでしょう。
そこそこの感情を込めて、「あなたの指摘によって、私は一つ階段を上ることができた」という意味のことを、自分から認めるかたちで述べておくのです。
これを押さえておけば、あなたの評価はむしろ、無知を晒したことをきっかけに、逆に上がることすらあり得ます。
というのも、間違いを指摘されたときにそのような対応をすることは、誰にでもできることではなく、ある意味で相手の隙を突いて反撃をしたようなかたちになるからです。
炎上させたい場合は逆を行こう
以上は、いわゆる普通の人が、平穏にネットで発信し続けたい場合の話です。
ここまで書いてきたことを意識していれば、伸び伸びと活動したとしても、そのせいで誰かの気持ちを刺激して炎上してしまう、ということは、ほとんどないのではないかと思います。
しかし人によっては、それでは物足りないと思う人もいるかもしれません。
そのような平穏なネット生活を送っていると、それと引き換えに、有名になる可能性もほとんどなくなってしまいますし、そもそも他人からの反応自体、あまりもらえなくなってしまうからです。
他人に与える刺激が少ないというのは、良くも悪くもそういうことです。
人を刺激して耳目を集めたい人は、むしろ積極的に自分の発言を炎上させたいと思っているかもしれません。
そんなときは、ここまで説明してきたことの「8割逆」をやればいい、というのが私のオススメです。
つまり、自分が無知ではないことが確かである領域を絞り込み、その範疇で、多くの人が受け入れがたいような内容を、猛烈に自信たっぷりに発信するのです。
あなたの元々の発信力にも大きく依存しますが、これによって、あなたの発言はかなり高い確率で炎上方面に向かうはずです。
いったんそのような状態になると、注目が注目を呼び、それまでのあなたの環境では考えられなかったような拡散が行われます。
そうなったら、後はまあ、燃えた事実を好きなように活用すればよいでしょう。
送られてきた反応のうち、逆に突っ込みを入れられるものについては突っ込み返してみたり、あるいはすべての突っ込みをひとまとめにして、さらに燃料となるような反撃を加えてみたり、やり方は自由自在です。
その辺については、私自身に経験がないので何とも言えないところですが、世の中にはそうやって意図的に炎上させ、アンチを生み出すと同時に、同じくらい熱心なシンパも生み出している人がたくさんいます。
あなたが例えば情報商材みたいなものを売りたいというとき等は、こういうやり方を選ぶのも一つの選択肢ではないかと思います。
もちろん、自らの周囲に火をつけるという行為は、それなりの覚悟とエネルギーを必要とするもので、簡単に手を出すべきことではないですが……。
おわりに
ネットはモノを知らない人に厳しい、と思われがちですが、それは少し違います。
無知に厳しいのではなく、無知なのに偉そうな人に厳しい、のです。
どれだけ文明が発達しても、人間は良くも悪くも感情の生き物で、ネットにおいてはそれはモロに表れます。
結果として、叩かれるのはその人の「言い方」とか「態度」の部分になるわけです。
人々は「腰の低い馬鹿」に対しては、せいぜいクスクス笑う程度の反応しかしません。善悪以前の話として、世の中の大抵の人は、ゼロから自分先手で戦争を仕掛けたりしないのです。
というわけで、決して熟知しているわけではない領域についても、どんどん発信していけばいいと思います。
むしろ、あまりよく知らない領域で積極的に発言することのほうが、あなたにとっては価値のあることかもしれません。
たくさんの「親切な」指摘をもらうことで、スピーディーに成長できる可能性があるからです。
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥、という言葉がありますが、自分の認識の至らないところを指摘されることに慣れてしまえば、それは100%プラスでしかありません。
そのようにして、ある意味で「他人を利用する」のも、悪くないネットの使い方なのではないでしょうか。
というより、そういうのを徹底できることこそが、単に知識が豊富であること以上に「賢い」と言えるのではないかとも、私は思うのです。
ただし、世の中には何事にも例外というものがあります。
びっくりするくらい制御不能の攻撃性を持っている人もいて、そういう人があなたの「低姿勢な認識不足」に対して、いきなり全力で噛み付いてくる可能性は、残念ながら否定することができません。
その辺りについては、あらかじめ覚悟をしておいてください。
私としては、そういう例外についてまで責任を持つことはできません。そういう輩については、上手いことスルーできるスキルを身に付けておくのが良いかと思います。
それさえできれば、残りの人達は(少なくとも胸の内では)あなたの側についてくれることでしょう。