キャッシュレス決済が俄然元気になってきている昨今、皆さんは何か利用しておられますでしょうか?
この国はずっと、クレジットカードを日常使いする人の割合も少ない、キャッシュレス後進国だと言われてきました。それが変わる潮目が来たのかもしれませんね。
そんな中、ここ数ヵ月で私に起きた変化について、少し書いてみようと思います。
電車にのみSuicaを使っていた日々
これを読んでいる皆さんの多くは日常的に電車に乗ると思いますし、その多くは切符を買う以外の方法でそれを行っているのではないかと思います。
私は関東在住なので、長いことSuicaを使ってきました。
ごく普通のカードタイプのやつをケースに入れて、改札口をピッと通る。
当たり前のことになっているので普段はあまり考えませんが、あの反応の速さは本当に素晴らしいですよね。
(ちなみに要求仕様は「200ミリ秒以内」らしいです)
ただ、私はずっと、Suicaを電車に乗るときにしか使っていませんでした。
何故ですか? と問われると答えるのが難しいのですが、たぶんチャージの概念が私の中で結構「大ごと」で、電車以外の用途で残高を減らすことに抵抗があったのではないかと、自己分析しています。
そのため、Suicaを利用できる他の様々な場所において、それを取り出したことは一度としてありませんでした。
私の中で、Suicaはあくまでも「乗車券」のポジションだったわけです。
スマホの機種変更でモバイルSuicaデビュー
その習慣に変化が起きたのは、3月にスマホをiPhone XRに機種変更し、モバイルSuicaを利用し始めてからでした。
それまではFeliCa未対応のiPhone 6sを使っていたため、知識としてはもちろん知ってはいたものの、スマホで改札口を通るというのがまったくの他人事だったんですよね。
実のところ、最初は少し抵抗がありました。
私にはちょっと、スマホに対して過保護なところがあるのです。万が一にも傷を付けたくないし、よほど運の悪さが重ならない限り、落っことすようなことはしたくない。
その気持ちがとても強いため、ともすれば人でごちゃごちゃっとなることのある改札口を通る際に、ポケットからスマホを取り出すというのが、とても危険な行為に感じられたのです。
でも、物事をデジタルで処理することは基本的に大好きな人間なので、一応やってみようということで、機種変更のあと割とすぐにモバイルSuicaを導入し、生活に組み込んでみたところ――。
これが、凄く良かった。
少なくとも現在の私の生活環境においては、改札口で(スマホの)危険を感じるほどの混雑には見舞われませんし、歩きながら雑に取り出すのは控え、立ち止まって丁寧にポケットから出すことを習慣づけているぶんには、まず落とす心配もありません。
初めて文明国家に来た人みたいなことを言うのは恥ずかしいのですが、最初にスマホをかざして改札口を通ったときには、ちょっとした感動がありましたね。
それだけでも結構な進歩だったのですが、話はそれだけに留まりませんでした。
先述したように、私がSuicaを電車にしか使っていなかった主な理由は、恐らくチャージの手間にあったのだろうと考えられます。
これがモバイルSuicaを導入したことによって、いつでもどこでもクレジットカードでチャージできるようになったわけです。
これで一気にSuicaの解釈が変わり、大げさに言えば世界が拓けました。
家で寝っ転がってチャージできるなら、これはもう、普通にクレジットカードを使うより爆速な決済システムを手に入れたも同然だったわけです。
キャッシュレス決済の乱立
あまり詳しく追ってはいないのですが、最近はいろいろなキャッシュレス決済の方法が出てきていますよね。
私の感覚で言うなら、完全に乱立状態です。
特にQRコード決済が勢いを増している。PayPayはやけに景気の良いキャンペーンを展開して一気に知名度を上げましたし、逆にネガティブニュースとしては、7payが出だしから大チョンボをやらかして、この国のIT業界の構造的問題点を改めて浮き彫りにすることになりました。
私などは、今から使うならどれがいちばん良いのか、調べるのも面倒臭いというお手上げモード。
まあ大手のコンビニはその多くに対応しているので、結局はどれをメイン使いしても困ることはないのでしょうが、しかしそういうことに統一感のない社会は個人的にどうにも落ち着きません。
そもそも、QRコード決済ってそんなに良いものなのでしょうか?
先ほど書いたように、私は詳しくないのですが、あれってレジで支払いを済ませるときに「ひと手間」発生することがありますよね。
特に店員さんに読み取ってもらうタイプの場合、QRコードを表示する手間だけでなく、それを差し出す「コミュニケーション」がある。
できるだけ人間を相手に余計なやり取りをしたくない私のような人間からすると、それって非常に野暮ったいと感じるのです。
眼の前に置かれている読み取り機にピッとやるだけですべてオシマイ、一言宣言するだけで良いし、時間もかからず後ろの客にも好都合。それがキャッシュレス決済の目指すべきところではないかと思う私にとって、QRコード決済はどうもイケてない。
その点で、Suicaは凄いです。モバイルSuicaの場合も、エクスプレスカードに設定しておけば、iPhoneを取り出す→「Suicaで」→読み取り機にかざす、で完結。
その速さは圧倒的で、しかもその場でチャージしてもらう必要はなく、帰宅してからでもゆっくりやればいい。
本当に今さらこんなことを語っているのは遅すぎると思うのですが、いや、本当に目覚めましたよ。
このキャッシュレス決済乱立時代に、私はこう主張したいのです。
モバイルSuicaこそ最強なのではないか? と。
チャージ上限額は上げるべき
一つだけネックがあるとすれば、チャージ金額の上限が2万円と、非常に低いことでしょう。
もともと電車に乗るために存在しているものなので、そういう仕様でスタートを切ったのはまあ妥当であると言えます。
しかし現在はもう、それは広い使い方の一つでしかない。もうちょっと多めにチャージできると、何かと便利ではないかと思うのです。
で、その辺りについて検索してみたところ、次の記事を見つけました。
この記事によると、Suicaのチャージ上限額を上げて欲しいという要望があることはJR東日本も承知しているらしく、またFeliCaの仕様としては上限額は決まっておらず、理論上いくらでも上げることは可能であるとのことです。
これは、そう遠くないうちに朗報が舞い込む可能性もアリ?
おおいに期待したいところですね。
というより、これは私の感覚に過ぎませんが、JR東日本は自分達の発行しているものがどれだけのポテンシャルを秘めているのか、ちゃんとわかっていないのではないかという気がしなくもありません。
もっと気を大きくして、キャッシュレス決済の頂点に立ってやるくらいに思ってもらったほうが、利用者としてはありがたいことになるのではないかという気がします。
もうとっくに、単なる「乗車券」ではなくなっているのですから(と、つい最近まで乗車券としてしか使っていなかった立場で言ってみる)。
おわりに
これまで、社会システムとしてのキャッシュレスは好きなのに、クレジットカード以外でそれを自分が扱うことをしてこなかった私ですが、モバイルSuicaのおかげでスイッチが入りました。
以前からそういうのをフル活用している人にとっては、この記事は本当に「遅れてやって来た人が妙に興奮している」姿でしかないと思うのですが、Suicaを応援する意味を込めて書いてみた次第です。
もちろん現金には現金の強みがあって、例えば災害時にインフラが駄目になった状態で買い物をするときなどは、昔ながらのやり取りが重要になるでしょう。
なのでキャッシュレス社会を実現すると言っても、それはべつに「キャッシュを廃れさせる」ことではなく、「現金を持ち歩かなくても通常時は全然平気ですよ」というシステムを築き上げるという意味に取るのが妥当かと思います。
この点、日本はまだ過渡期と言えるでしょうか。いずれもっと整理されて、いろいろな場面で便利になるのでしょうね。楽しみです。
つくづく一周遅れの記事になりましたが、お読みいただいてありがとうございました。