今日は自分の長所と短所について、どのように付き合っていくのがよいのか、ということについて、ちょっと書いてみようと思います。
長所短所というと、スキルの話と人間性の話が両方浮かぶと思うのですが、当記事ではいっぺんに処理してしまいます。両者は相似形であると感じるからです。
ただし、何か例示する際は、その都度書き分けていきますので、よろしくお願いいたします。
ゼネラリストとスペシャリスト
スキルの話にせよ、人間性の話にせよ、私達の目指すところは、おおむね2通り存在しています。
ゼネラリストとスペシャリスト。
まあ砕けた言い方をするなら、広く何でもそこそこできる人と、ある特定のことにいわゆる「ステータス全振り」している人ですね。
(何でもトップクラス、というダ・ビンチみたいな例外は除きます)
この社会は、どちらかだけになってしまったら上手く発展することができません。どちらの存在も大切であり、絶対に欠かしてはならない両輪であると言えます。
以前と比べると、スペシャリストが生きていくための条件がやや増えたかな、という印象はあります。
詳しくは後述しますが、例えば「口下手で不器用な昔ながらの職人気質」みたいな人は、職人として生きていくことも厳しくなっている時代かなと。
ただ、それがスペシャリスト不要論にまで発展するかというとそんなことはなく、やはり大切であることに変わりはありません。
人間には、ゼネラリストに向いているタイプと、スペシャリストに向いているタイプがあると思います。
少し雑な話をするなら、ゼネラリストに必要なのは「短所がほとんどないこと」、スペシャリストに必要なのは「長所が徹底的に伸びていること」でしょう。
もちろん理想を言えば、長所をすべて伸ばし、短所をすべて埋めればいいのですが、リソースは有限であり、物事には優先順位というものがあります。
そこで重要になってくるのは、自分のタイプをよく把握した上で、その優先順位をどのように設定していくのが、いちばん自分を発揮できるか、あるいは生きやすいか、ということでしょう。
今回はその判断について、私なりに簡単な分類をしてみました。
本当にササッと考えたもので、いかなる学問もベースにしていないまったくの持論なのですが、まあ、もしあなたが今まさにこのテーマでお悩みなのでしたら、ここで当記事に出会ったのも何かの縁ということで、参考にしていっていただければと思います。
長所を伸ばすべきケース
夢中になれるものがある
まず長所を伸ばしたほうがいいケースですが、第一にこれを挙げないわけにはいかないでしょう。
今あなたに何か、ものすごく夢中になれるものがあり、それ以外に時間を割かなければならないことが焦れったくて仕方ない、という状態である場合、私としてはそのままその夢中を追求することをオススメしたいです。
それだけ夢中になっているならば、その行為を構成するものは、特に望まずとも自分の長所になっていることでしょう。
それを徹底的に伸ばしていくべきではないかなと。
以前、元400mハードル選手の為末大さんが、次のようなことをTwitterでおっしゃっていました。
「努力は夢中に勝てない」
細かく考えていくと様々なことを取り出せる名言だと思いますが、ここでは単純に学習効率に着目しましょう。
夢中になっているものを我慢して、それ以外のことをするのは、単位時間あたりに学べるものの量からして、本当に無駄な回り道なのです。
何かに夢中になれるというのは、伸びしろの観点でいうと大きな幸運であり、それをふいにするのは賢い選択ではない。
徹底的に夢中になるべきだと、私は考えます。
また、多少話はブレますが、何かに夢中になっていると、その達成に必要なことの中に自分が苦手にしているもの(短所)がある場合にも、それを克服する力が湧いてきやすいという利点があります。
つまり、長所の追求をしているうちに短所の克服もそれに引っ張られるわけですね。
その好循環を作り出せるという意味でも、やはり夢中は最高の状態だと言えるでしょう。
周囲に良い人が多いと感じる
職場でも何でも、およそ「環境」と呼べるものすべてに当てはまると思うのですが、自分の周りにいる人達に対して「良い人達がたくさんいるな」と思うことができるのであれば、長所を伸ばすことを優先したほうがよいと私は思っています。
集団で何かをこなす場合、基本的に次のようなかたちをとることが適切になります。
「自分が得意にしていることは自分がやり、苦手にしていることは誰かに任せる」
一つの物事を成し遂げるにあたって、適材適所を柔軟に行うことができる環境は、なかなか理想に近いものであると言えるでしょう。
これを実現するのに重要なのは、ちょっと考えると「システム」であり「ルール」であるように思えるのですが、突き詰めていくと「人間関係の良好さ」という、とても原始的なところに落ち着くのではないかと、私は考えるわけです。
言うなれば、軽いノリで誰かに任せたり、誰かの苦手を引き受けたりできる環境ですね。
そういう環境においては、「できないこと」は誰かにやってもらえばよく、肝心なのは「何かができることで場に貢献できること」であることになります。
こういうことが上手くできない環境だと、割と何でも自分一人でできなければならない状況に陥りやすく、長所を伸び伸びと磨いていく、という余裕(というと語弊があるかもしれませんが)を持ちにくい。
まさに環境次第で人が変わっていく典型例であると言えるでしょう。
「なぜ他人はこれができないのか」と思うものがある
才能を自覚するパターンは幾つかあると思うのですが、もっともリアルと言いますか、生活の中で感じやすいのが、コレではないでしょうか。
自分にとっては何てことのない行為なのに、どうやら他の人は同じことをするのにもそれなりに苦労するらしい。という気づき。
もしそういう経験があなたにあるのなら、その対象こそが「適正」というやつです。そこを徹底的に磨き上げて、自分の武器にしていくべきだと私は主張したい。
才能の使い方もいろいろで、「誰にも到達できない領域に挑む」のがいちばんわかりやすいですが、他にも「人と同じことを、人より楽にこなして生きる」なんていうのも選択肢の一つです。
もしあなたに何らかの「適正」があり、でも「それをそんなに突き詰めたいわけでもないんだよな」という気持ちがあるのなら、人より楽に生きるためにそれを伸ばす、という考え方でやってみるのもアリだと思います。
短所を埋めるべきケース
夢中になれるものがない
これは長所の項目の逆ですね。
特にやりたいことがない。目指したい地点もない。ていうかやる気が出ない。
そういう人は、仕方がないので――という言い方が正しいかはわかりませんが、自分の突っ込みどころを減らしていく方向でまずは生活するのが良いと思います。
基本的には、短所が少なければ少ないほど、しんどい衝突は少なくなり、まずまず平穏な暮らしを確立できるようになりますので。
それでいつか何かに夢中になれるときがきたら、それに邁進することを選ぶのが妥当なところではないでしょうか。
目立つ生き方はしたくない
まるで『ジョジョの奇妙な冒険』の吉良吉影のようですが、とにかく目立ちたくない、「普通」の存在として平穏無事に人生を終えたい、という人も、短所をなくしていく方向でやっていくのが良いでしょう。
どんな環境に移っても、何をしなければならなくなっても、そういう生き方をしていればまあ何とかだいたいのケースに対応できる。
平穏は手に入りやすいと思います。
まあ昨今は「普通とは何か」というのも曖昧になってきましたし、終身雇用も崩壊に向けて一直線なので、なかなかこれまで通りの「目立たない」「平穏」が成り立たなくなってきているフシもありますが……。
いずれにせよ、尖った長所を武器にしていくよりは、そつがないことを武器にしていくほうが悶着が少ないのは確か。
そういう生き方も当然あって然るべきだと思います。
広義の営業能力に関する短所がある
営業というと、特定の仕事の仕方を思い浮かべてしまいますが、ここで言っているのはそれに留まらない「広義の営業」です。
自分の価値を他人にアピールし、自分という存在を認めてもらうノウハウ、スキル、あるいはマインドセットのことです。
近頃はセルフブランディングが盛んに言われるようになってきました。
自分で自分を売り込む力。それがないと、どんなに凄いことができたとしても、そもそもそれを他人に認識してもらえない。ひいては、満足の行く生活を手に入れることができない。
そんな時代になっているのです。
すでに触れましたが、かつては「口下手で不器用な職人気質」というのも一つの人間の在り方として認められており、実際、職人さんなどはそういう人でも仕事に困ることはありませんでした。
しかし今はそれが崩れています。広義の「営業」ができなければ、腕の良い職人さん(余程レアな人材や天才は除く)でも、上手くやっていくことはできません。
もしこういう部分があなたの短所であるなら、それは優先的に克服していくべきだと、私は思います。
あなたがどのような道を進むにしても、恐らく「営業力」の有無によって、成功できるかどうかが大きく分かれるだろうからです。
個人的にはこの件について「しんどい時代になったな」という感想を持っています。
私もどちらかと言えば、円滑なコミュニケーションだとか、自分を売り込むだとか、そういったこととは縁のない人生を送りたかったので……。
おわりに
もちろん、長所を伸ばすことも短所を埋めることも、両方大切なことです。
当記事ではあくまでも、あなたの属性によって優先順位が変わってくるのではないか、ということについて、私見を書かせていただいた次第です。
ちなみに上記のどれにも当てはまらないと感じたのであれば、私としては次のような生き方をすることを推奨します。
「まずは長所を『景気よく伸びるところまで』伸ばし、それから短所を埋めていく」
基本的に人間は、自分の長所と付き合うほうが短所と付き合うより気が楽だと思うので、とりあえずはこういう風に生きればいいのではないかと。
まあ、厳密なことを言うなら世の中はもっと複雑で、ある一つの要素が、こちら側から見ると長所だけれども、あちら側から見ると短所である、ということもあったりして、なかなか難しいんですけどね。
とりあえず今回はその辺に深入りするのは避け、ざっくりと効率的な生き方を模索してみました。