ひろゆきさん(西村博之さん)が取締役を務める会社「未来検索ブラジル」が、新たなPC用TVチューナーボード「MiyouTuner」を製造するためのクラウドファンディングを開始しました。
今日はこのプロジェクトについて、個人的に希望することなどを書いていきたいと思います。
想像以上にウケた
まずクラウドファンディングの結果から言うと、あっという間に目標金額を達成してしまったようです。
これについては、ひろゆきさんもTwitterで「ここまで早く集まるとは思ってなかった」と語っています。
それが1日で1300万円以上集まるニーズがあるのですよ。。
— ひろゆき, Hiroyuki Nishimura (@hiroyuki_ni) 2019年6月30日
ここまで早く集まるとは思ってなかったおいらです。。。https://t.co/QNURkiuzs4 https://t.co/vV9TBgyBvF
確かにこれは驚くべきことだと思います。
というのも、冒頭に貼ったクラウドファンディングのページを読んでも、具体的にどのような機能があって、逆にどのような制約があるか、まだ全貌が明らかになっていないのです。
この状況でこれだけの支援があるならば、今後発表される詳細スペック次第では、さらに目覚ましい需要が発生すると見るべきでしょう。
現段階で支援している方々が具体的にどのような層であるかを確認する手段はありませんが、メインになっているのが「TV番組のデータを扱うことに関するマニア」であることは容易に想像することができます。
すでに同種のボードを所有しており、もう一枚欲しいと思っていた、というような方が恐らくは先導している。
こういう製品について「勝手知ったる」人でなければ、あのページを読んだだけそこまでは動けないだろうと思うからです。
でもそれと同時に、今回このプロジェクトが生まれたことによって、初めて「PCでTV番組を扱う」ことに興味を持ったという層が、周囲でたくさん様子を見ているのではないか、ということも私は想像しています。
というのも、これまでこういった種類の製品が、普通に「TVをよく観ている」というだけの人々の前に情報として現れる機会がほとんどなかったからです。
今回のプロジェクトで初めてそういう路線について考えた、という人が、すでにそれなりにいるだろうし、これからどんどん増えていくのではないでしょうか。
新規層を開拓すべき
これは個人的な願いみたいなものですが、私はそういう「新規層」を開拓していくのが、このMiyouTunerプロジェクトの役割であるように思います。
そしてそのために、次の3つのポイントを押さえる必要があると考えています。
- いわゆるTS抜きが可能であること
- ソフトウェア群が軽量かつ扱いやすいこと
- TV番組を素材として扱う楽しさを公式が積極的に喧伝すること
あえて決めつけてしまいますが、PCでTV番組を扱う醍醐味は、映像データをプロテクトから解放された素材としていじれることにあります。
その要素を除けば、PCによる視聴や録画は、専用機によるそれと比べて、基本的に不便なものでしかありません。
しかしそれは、それなりに敷居の高い行為となっています。
然るべきボードを購入し、然るべき環境設定をあれこれ頑張って調べて実践しなければならないからです。
従ってそれは、一部マニアの所業として今日まで細々と続いてきました。
MiyouTunerは、その楽しさを「そこまで苦労したくない人達」に提供するものであるべきだと、私は思うのです。
それができるポジションに、このプロジェクトは位置している。
もちろん、それにより「番組を丸ごとどこかにアップロード」みたいな愚行に走る人も出るのでしょうが、それを考えに入れたとしても、映像をごにょごにょする楽しさを広めるメリットは大きい。
多くの人がそれを享受するようになれば、SNS等ももっと彩り豊かなものになるのではないでしょうか。
あの頃に戻ろう
アナログ放送の時代は、そういうことが簡単にできました。
放送される番組におかしなプロテクトなどかかっておらず、録画した端からどんどん好き勝手に素材にすることが可能でした。
もしあの頃にSNSが発達していたら、TV番組をごにょごにょする人の数は圧倒的に多く、良くも悪くも豊穣な無法地帯が形成されていたことだろうと想像します。
しかしデジタル放送に切り替わり、悪意の塊のようなプロテクト技術が導入され、話はちょいとややこしくなってしまった。
普通のチューナーボードと録画・再生ソフトでは、キャプチャすらできない状況になってしまいました。
TV業界というのはおかしなところで、本音では視聴者には録画すらさせたくないと思っており、私達に不自由を課すことへの抵抗がまるでないんですよね。
その結果、ネット上でTV番組を素材としてワイワイやるには、一部マニアがそれを流すところから始めなければならなくなったわけです。
そんな流れを、MiyouTunerは(今後発表される意思決定次第では)元に戻せるかもしれないのです。
誰もがお手軽に環境を導入し、軽い気持ちでTV番組の好きなところをイジれる――そんな、アナログ放送時代の取り回しの良さと、現代のSNSの融合。
これによって私達が獲得できる娯楽性は、十分に高いと言えると私は考えます。
おわりに
……まあ、TV番組のキャプチャをネットにアップする行為がシロかクロかで言ったら、厳密に言えばクロなんでしょうけどね。
とりあえず現状ではそれは黙認されており、私もTwitterやMastodon、そしてこのブログでも、アニメに関してはバンバンやらせてもらっています。
今回の記事は、これが本格的にアウトなものとして取り締まられ始めたら全部ひっくり返る内容なのですが、勢いで書かせていただきました。
それにしてもTVの世界、ワイドショーやひな壇バラエティを指して「オワコン」扱いを受けているとはいえ、まだそれなりに粘っていますよね。
確かに衰退しているのですが、一方で私達が「大量に同期する」手段として、TVに代わるほどのものは無いのが現状。
TV以降のメディアはいずれも個人の時代の産物ゆえタコ壺化しており、「みんなで共有している」の「みんな」の規模に限度があるんですよね。
でも私達にはまだ「何かをみんなで一斉に味わいたい」欲求がある。従ってもうしばらくはTVにも存在価値が認められるのでしょう。
いずれにせよ、MiyouTunerとその周辺が、今回私が書かせていただいたような妄想を叶えてくれるものであることに期待したいと思います。
【2019/10/04追記】
本日、MiyouTunerの製造を中止するというニュースが舞い込んできました。
「製造する予定だった工場が大幅な値上げを伝えてきたため、支援額で製品を届けることができなくなった」
というのが、公式にアナウンスされた理由です。
何とも残念な話ですが、決まってしまったものは仕方ありません。どこかの誰かが、いずれまた似たようなことを企画することに期待しましょう。