天国的底辺

二次元、創作、裸足、その他諸々についての思索で構成されたブログ

有線は煩わしいので無線に夢を見るのだが

私はゴリゴリのデスクトップパソコンユーザーなので、とにかく配線が煩わしくてたまりません。
現在パソコンに有線で繋がっているのは、モニター・キーボード・マウス・コンデンサーマイク・プリンター、外付けHDD2台。
世の中の本当にすごい人たちに比べれば大したものではありませんが、これだけでも「うげっ」という気持ちになるには十分な配線状態となっています。
しかもこれらの多くが独自の電源供給を必要としているので、そっちの配線も加わるわけです。

今度引っ越しをする予定でして、これらをいったん外して新居へ運び、また接続し直すことを考えると、面倒くさくて仕方ありません。
もしこれらのすべてが無線接続できるのであれば、多少お金がかかってもぜひそうしたいところではあります。
しかし2025年現在の技術と製品ラインナップでは、なかなかそういう方向に舵を切ることができず、悶々としながら有線接続に耐えている現実があります。

今日は願望としての無線接続と、現実としての有線接続について、ちょっと書いてみたいと思います。

自明の真理:有線は煩わしい

有線接続という仕組みは、パソコンを使う上で避けて通れない部分が多いものの、やはりどう考えても煩わしい存在である、というのはもはや自明の理と言っても過言ではないでしょう。
特に私のようなデスクトップユーザーにとっては、この煩わしさが日々の小さなストレスとして積み重なっていくのです。

デスクの裏側を覗き込めば、そこには電源ケーブルとUSBケーブルなどが複雑怪奇に絡み合った、まさに「ケーブルスパゲッティ」とでも呼ぶべき光景が広がっています。
さまざまな色の線が、互いに主張し合いながら、まるで現代アートのように、しかし物理的には悪夢のように存在しているわけです。
しかも、このケーブルの密集地帯はホコリの温床となりやすく、掃除をするにも一苦労。
ケーブルを一本一本持ち上げて拭き掃除をするなんて、考えただけでも気が遠くなります。

さらに、接続するデバイスが増えるにつれて、パソコン本体やUSBハブのポート数が足りなくなるという問題にも直面します。
キーボード、マウス、マイク、プリンター、外付けHDD……これらを接続していくと、あっという間にポートは埋まってしまいます。
そうなるとUSBハブを増設することになりますが、これもまたスペースを圧迫し、さらなるケーブルと電源アダプターが増える原因となるのです。

電源タップも同様で、パソコン本体、モニター、プリンター、スピーカー、その他周辺機器のACアダプターで、あっという間にコンセント周りはタコ足配線の要塞と化してしまいます。
形状の異なるACアダプター同士が物理的に干渉しあって、隣の差し込み口が使えなくなるなんてことも日常茶飯事です。

見た目の美しさという観点からも、有線接続は明らかにマイナスです。
せっかくおしゃれなデスクやチェアを揃えても、その背後や足元がケーブルでごちゃついていては、台無しというものです。
ケーブルを隠すための配線ダクトやボックスを使っても、完全に見えなくすることは難しく、どこかに妥協点を見出さざるを得ません。

機能面でも、例えばマウスのケーブルが何かに引っかかって操作の邪魔になったり、キーボードの配置を変えたい時にケーブルの長さに制約されたり、あるいはデスクの上を広く使いたいときに一時的にデバイスをどかすだけでも、ケーブルの抜き差しが必要になったりと、その不便さは枚挙にいとまがありません。

安定はするけれども見た目が醜く手間もかかる、それが有線接続の偽らざる姿なのです。

近頃は無線技術が発達してきたが……?

そんな有線の煩わしさから解放されたい一心で、私たちは無線技術に夢を見るわけです。
そして実際、ここ十数年で無線技術は目覚ましい進化を遂げてきました。

その代表格といえば、やはりBluetoothでしょう。
今や、マウスやキーボード、イヤホンやヘッドホン、スピーカーといった多くのパソコン周辺機器がBluetoothに対応しており、ケーブルの呪縛から私たちを解き放ってくれる存在として、すっかり定着しました。

ケーブルがないだけで、デスク周りは驚くほどスッキリしますし、デバイスの配置も自由自在。
ノートパソコンを持ち運ぶ際にも、レシーバーやケーブルを気にすることなく、サッと本体だけを持って移動できる手軽さは、一度体験すると元には戻れません。
まさに、無線化の恩恵を最も身近に感じさせてくれる技術と言えます。

そして、今さら言うまでもありませんが、Wi-Fi(無線LAN)の普及も私たちのデジタルライフを劇的に変えました。
家庭やオフィス、公共施設など、あらゆる場所でインターネットに無線で接続できるのが当たり前となり、スマートフォンやタブレットはもちろん、ノートパソコンもプリンターも、今やWi-Fi接続が標準です。

LANケーブルを引き回す必要がなくなり、家のどこにいてもインターネットに繋がれる自由は、計り知れない価値があります。
特に、私のように複数のデバイスをネットワークに繋ぎたい人間にとっては、ルーターから各機器への配線を考えずに済むだけで、精神的な負担が大きく軽減されます。

しかし、これだけ無線技術が発達したとはいえ、全てが解決されたわけではありません。
無線であるがゆえの制約や、技術的な限界も依然として存在するのです。

例えばBluetooth。
確かに便利ではありますが、接続の安定性という点では、まだ有線に及ばない場面があります。
他の電波(特に2.4GHz帯を使用するWi-Fiや電子レンジなど)との干渉によって、接続が不安定になったり、音が途切れたり、マウスカーソルの動きがカクカクしたりすることがあります。

また、デバイスとパソコンの間に物理的な障害物があると、接続範囲が思ったより狭くなることも。
ペアリングのプロセスがうまくいかなかったり、OSのアップデート後に突然繋がらなくなったりといった、トラブルに見舞われる可能性もゼロではありません。

バッテリーの問題も無視できません。
定期的な充電や電池交換の手間は、有線にはない煩わしさと言えるでしょう。

Wi-Fiについても、通信速度や安定性は、建物の構造や他の電波状況、接続するデバイスの数によって大きく左右されます。
オンラインゲームや高画質動画のストリーミング、大容量ファイルの転送など、シビアな安定性や速度が求められる場面では、依然として有線LAN接続の方が信頼性が高いと感じる人も少なくありません。

結局のところ、無線技術は確かに便利になりましたが、その利便性と引き換えに、接続の安定性、速度、遅延、セキュリティ、バッテリーといった、新たな考慮事項やトレードオフを受け入れなければならないのが現実なのです。
有線の確実性、安定性というメリットを完全に代替するには、まだ少し時間がかかるのかもしれません。

最近の私が無線にしたくてたまらないもの

有線の煩わしさと、無線の進化と限界。
その狭間で、私は日々「これも無線にならないかなあ」と夢想しています。
具体的に、最近特に無線化を切望しているデバイスがいくつかあります。

まず、マウスです。
現在使っている有線マウスは、多ボタンで特定の機能を割り当てており、作業効率に欠かせない存在です。
しかし、これと同等のボタン数とカスタマイズ性を持ち、かつ無線接続で、さらに遅延や接続安定性に不安のない製品となると、なかなか理想のものが見つかりません。

ゲーミングマウスの世界では高性能な無線マウスも増えてきましたが、私の求めるボタン配置や形状とは異なっていたり、価格が非常に高かったり、あるいはバッテリー持ちに懸念があったりします。
日々の作業で最も手に触れるデバイスだからこそ、妥協したくないのですが、その分、無線化へのハードルが高くなっている状況です。

有線ケーブルが時折デスク上の書類に引っかかるストレスから解放されたい、と切に願っています。

次にキーボード。
現在愛用しているのは東プレのREALFORCEです。
この打鍵感は何物にも代えがたく、長時間のタイピングでも疲れにくい、まさに至高の逸品だと思っています。

REALFORCEにもBluetooth接続に対応した無線モデルは存在します。
しかし、これがまた有線モデルよりもさらに高価なのです。
そして、レビューを見ると、やはりバッテリーの持ちが気になるという意見が見受けられます。
毎日長時間使うものだけに、バッテリー切れや接続不良のリスクは避けたいところ。
あの素晴らしい打鍵感を無線で享受できるなら、多少の投資は惜しまないつもりですが、価格と信頼性のバランスを考えると、なかなか踏み切れないでいます。

音声入力に使っているコンデンサーマイクも、できれば無線にしたいデバイスの一つです。
デスク上にマイクアームで設置しているのですが、これもUSBケーブルが伸びており、見た目にも邪魔です。

Bluetooth接続のマイクも存在しますが、多くの場合、ヘッドホン機能と一体になったヘッドセット型です。
そして、Bluetoothの仕様上の問題として、マイク機能とステレオ高音質再生を同時に利用することが難しいという壁があります。
マイクを使うと、多くの場合、ヘッドホン側の音質が大幅に低下する通話用のプロファイルに切り替わってしまうのです。

これでは、音楽を聴きながら作業したり、ゲームをしたりする際に致命的です。
高音質を保ったままマイクも無線で使いたい、という願いは、現在のBluetooth規格ではなかなか叶えられないのが実情です。

そして、願望の域を出ませんが、外付けHDDが無線接続できたら、どんなに素晴らしいだろうかと思います。
現在、バックアップおよびデータ保管用に2台の外付けHDDを接続しており、これもUSBケーブルと電源ケーブルがデスク周りを占拠する一因となっています。

NASという解決策はありますが、これはどちらかというとネットワーク内にストレージサーバーを設置するイメージで、単純な外付けHDDの無線化とは少し異なります。
電源供給の問題や、大容量データを安定して高速に転送する必要性を考えると、USBケーブルのように手軽に接続できる無線HDDというのは、まだ技術的にハードルが高いのかもしれません。

同様に、パソコン用モニターの無線化も夢見ています。
モニターに繋がる太い映像ケーブル(HDMIやDisplayPort)と電源ケーブルがなくなれば、デスク周りは劇的にスッキリするはずです。
しかし、高解像度・高リフレッシュレートの映像データを遅延なく安定して伝送するには、結構な帯域幅が必要であり、これを無線で実現するのは容易ではありません。

結局、マウス、キーボード、マイク、ストレージ、モニターと、私が無線化したいと願うデバイスの多くが、それぞれの理由で「帯に短し襷に長し」といった状況なのです。
技術の進歩に期待しつつも、なかなか自分の理想とする無線環境が実現できない、そんなもどかしい思いを抱え続けているのが、無線接続の世界に対する私の現在地と言えるでしょう。

おわりに

今回は、デスクトップパソコン周りの配線の煩わしさから、無線接続への憧れと、その現実的な限界について、つらつらと書き連ねてみました。

デスク裏の「ケーブル地獄」から解放されたい一心で、マウスやキーボード、マイク、果てはモニターや外付けHDDまで、あらゆるものが無線になればどんなに快適だろうかと夢想する日々。
BluetoothやWi-Fiといった無線技術は確かに私たちの生活を便利にしてくれましたが、ことパソコンのコアな周辺機器に関しては、さまざまな要因から、完全な無線化にはまだ至っていない、あるいは理想的な製品が見つからない、というのが偽らざる実感です。

特に、特定の機能や性能にこだわりを持つユーザーほど、無線化への移行には慎重にならざるを得ない側面があるのかもしれません。
私が求める多ボタンマウスや、REALFORCEの打鍵感、コンデンサーマイクの音質といった要素は、現在の無線技術ではまだ十分に満たされていないか、あるいは非常に高価な選択肢しか用意されていないのが現状です。

とはいえ、技術は日進月歩です。
数年前には考えられなかったような高性能な無線デバイスも登場してきています。
いつの日か、有線の信頼性や性能を完全に凌駕し、かつ手頃な価格で、あらゆるデバイスが無線で快適に繋がる時代が来るのかもしれません。
その日を心待ちにしつつ、当面は、この煩わしい有線ケーブルたちと、どうにか上手く付き合っていくしかないのでしょう。

引っ越しの荷造りを前に、改めてケーブルの束を眺めながら、そんな未来に思いを馳せる今日この頃です。