皆さんはSNSにどれくらい文章を書いているでしょうか。
いわゆる「見る専」だったり、本当に重要なことしか書かないようにしていたりと、スタイルは人によって様々でしょう。
本記事は、自分が思っていた以上にSNSにリソースを費やしまくっていたことに最近気づいた人間による、現状分析と改善案についての記録となります。
一つのサンプルとして楽しんでいただければ幸いです。
思っていた以上にSNSに浸かっていた
私の職業はWebライターです。
文章を書くことで生計を立てており、まあ文章を書くことは大好きなので、その意味では天職だと思っています。
そしてそれとは別に、趣味の領域を出ていませんが小説を書いたり、あるいはこのブログを運営をしたりと、文章関連の作業にまみれた生活をしていると言っても過言ではありません。
でも最近、ちょっとスランプというか、思ったような生産性を叩き出せないことに疑問のようなものを感じていました。
文章を書くことが好きで、誰に強制されたわけでもないのにやっているはずの小説やブログが、思ったように進められないのです。
これはどういうことなのだろうと。
それについて考えているうち、次のような仮説が浮かび上がりました。
「そういえば最近、SNSに投稿する頻度が増えたけど、もしかしてそっちに執筆エネルギーのようなものを持っていかれてる?」
ここで言うSNSとは、X(旧ツイッター)に代表される短文形式のやつです。
私はFacebookのような長文投稿が当たり前のSNSには手を出していません。
そのせいで、これまで「SNSにアウトプットすることで消費するエネルギー」について深く考えてこなかったのです。
漠然と、そんなのはたいした量ではないし時間の消費もそんなではないだろうと思っていたわけですね。
しかし何事も、実際に計測してみなければ本当の規模感はわかりません。
そこで今回初めて、本当のところは毎日何文字くらいSNSとその関連サービスのために文章を書いているのかを、きちんと測ってみることにしたのです。
やり方は簡単で、投稿する際にその内容をエディターに溜めておき、一日の終わりにその合計文字数をチェックするというもの。
概算ではなく、モロに書いたものの量がわかるため間違いが起こりません。
その結果が、本記事のタイトルです。
そう、私の感覚ではせいぜい2000~3000文字くらいだろうと思われていたSNS関連の投稿が、実際にはちょっとした掌編小説くらいの文章だった、という結果が出てきてしまったのでした。
原因は在宅ワークとかX Proとかサボり癖とか
自分で言うのもなんですが、6000文字って相当な量ですよね。
単純に言って、その全てを小説やブログ、エッセイなどまとまった形にしていたなら、相当な蓄積になります。
一ヶ月で18万文字にもなるわけで、10万文字の長編小説1本と、4000文字のブログ記事を20本生み出せる計算になります。
もちろん、その都度の思いつきをただ書き散らすだけのSNSへの投稿と、構成をきちんと考える必要のある長文を文字数だけ並べて比較するのは雑ではあるのですが、「相当な量である」ことを把握するには十分でしょう。
以前から自分が割とSNSに積極的であることは自覚していたのですが、まさかこんな量の文章を毎日のように投下しているとは思ってもいませんでした。
どうして私がこんなにSNSに文章を書いてしまうのか、理由として考えられるものはいくつかあります。
まず第一に、Webライターが完全在宅ワークであり、基本的に常にパソコンの前で自由に振る舞えることが挙げられるでしょう。
特に私は現在、仕事量が少ない状態にありまして、可処分時間そのものが良くも悪くも増えています。
その時間をパソコンの前で消費しているのが現実で、思いついたことがあるとすぐそれを文章にしてSNSに投稿する癖がついてしまっているため、積もり積もって毎日6000文字などという量になってしまうわけです。
それを手伝っているのが、X Premiumに課金していることですね。
これはタイムラインを便利に閲覧できるツールであるX Pro(旧TweetDeck)が使いたいがための課金。
私はX Proを普段のデスクトップ画面の右3分の1くらいに常に表示しており、ホームとリストで合計3つのカラムが何もしなくても更新され続けているのです。
おかげで、これまた良くも悪くも、何もしなくても勝手に情報が流れてくる。
その内容に関して何かしらのことを思うのは簡単で、それをたらたらと書いているうちに、まとまった量になってしまうというわけです。
そして生来の(たぶん)サボり癖も拍車をかけています。
すでに述べたように、私は仕事以外にも趣味として小説やこのブログを執筆している人間です。
SNSがどうでもいいとは言いませんが、私の中では小説やブログのほうがプライオリティは遙かに高いはずなのです。
しかし、重要なアウトプットであると思っているがゆえに、どうしても腰が重くなってしまいます。
「書くからにはしっかりしたものを」という意識が変なプレッシャーとなり、コンスタントな執筆を妨げてしまうんですよね。
また、長文を1000文字書くのは短文を「合計」1000文字書くのと比べて、しっかりと腹をくくって取り組まなければならないのも大きなポイントです。
これはつまり、文章を書きたいというシンプルな衝動を叶える手段として、小説やブログよりSNSの方がずっと手っ取り早いことを意味しています。
あまり深く考えずとも次々と文章を生産できるので、SNSに力を注いだ方が「さっさと気持ち良い」んですよね。
少なくともその場の執筆衝動のようなものは、SNSでも十分に晴らすことが可能です。
結果として、書こうと決めた小説をなかなか進められず、気がつけばSNSにばかり文章を投下してしまっていたという流れがあります。
REALFORCEとATOKが拍車をかける
前項で解説した流れにさらに拍車をかける結果となっているのが、この文章を書いている10日ほど前に購入した高級キーボード「REALFORCE」と、最近になって再課金したATOKの存在です。
REALFORCEは前々から欲しいと思い続けていたのですが、このたび思い切ってポチってしまった製品。
これが評判どおりに気持ちの良い打鍵感で、基本的に音声入力派である私が出戻りする形で、今はひたすらキーボードを叩き続ける日々を過ごしています。
これまで使っていたメカニカルキーボードも悪いものではなかったのですが、この打ち心地は格別で、「とにかく少しでも多くの文章を書きまくりたい」衝動が増幅されてしまいました。
これに加えて、そのさらにちょっと前からATOKを再課金したことも乗っかってきます。
ATOKはジャストシステムが開発している日本語入力システムで、その最大の特徴(だと私が思っているもの)は、強力な推測変換機能と修正機能。
ユーザーがよくする変換やミスを学習し、使えば使うほどスムーズに思った通りの文章を書けるようになるという、ある意味で育成ゲームの性質を備えています。
このREALFORCEとATOKの組み合わせは、文章を書きまくりたい衝動を促進させるという点で、ものすごく相性の良いものなんですよね。
気持ち良く打ちまくることができるだけでなく、それを繰り返すことでどんどん自分に合わせてツールが「成長」してくれる。
この快感は表現しようがないほど素晴らしいもので、今の私はとにかく理由をつけて少しでも多くの文章を書き散らしたいという状態になってしまっています。
自分の指先から文章が次々と紡ぎ出されていくのが楽しくて仕方ない。
ここである意味厄介なのは、「文章の品質や方向性はどうでもいいからとにかく量を書きたい」という方向にその衝動が向いてしまっていることです。
そうなりますと、書く際に事前に構成や意志決定を数多く必要とする小説やブログより、簡単に書き散らせるSNSにハマっていた方が、ずっとREALFORCEとATOKの魅力を味わいやすいことになるわけです。
結果として、私はさらにSNSに文章を大量に投下するようになってしまったというわけです。
しかしこれは、他ならぬ私自身の価値観に照らし合わせて、あまり生産的な状態ではありません。
文章を書くことが楽しいのはもちろん大変結構なことなのですが、それがまとまったコンテンツとして実を結ばないのでは、掴めるはずのチャンスも掴めなくなってしまいます。
たとえばSNSに投稿するリソースを全てWeb小説に傾けていれば、それが実を結んで書籍化、なんてことが起きるかもしれないじゃないですか。
しかしSNSにいくら書きまくっても、それが直接何かに繋がることはあまり考えられません。
衝動を上手くコントロールして、自分の人生をもっと本質的な意味で充実させる方向で文章を書いていくべきだ――そのために何とかしなくちゃ、というのが今現在の状態です。
リソースを有意義なことに集中させるために
ではどうすれば、自分の執筆衝動をSNSから(ある程度)離して、小説やブログなど「実を結びやすい」ものに向けることができるのか。
これについては絶対的に効果が期待できる答えをまだ見つけていません。
しかし、試す価値のあることが思いつかないわけではありません。
そしてそれと関連して、今回ちょっとチャレンジャブルな買い物をしてしまいました。
まず試すべきことですが、小説やブログについて、これまで「まとまった時間を確保して執筆する」スタンスだったのが問題だったのではないか、というのがあります。
もちろん、時間をとってじっくり作業に取り組むのは悪いことではないのですが、そういう心持ちで臨んでいたせいで、自分の中で執筆が余計深刻なものになってしまい、そこから逃れて簡単なSNSに逃避してしまう結果に繋がっていたような気がします。
たぶん今の私に必要なのは、小説やブログにもSNSに投稿するのと同じくらいの「軽さ」を持ち込むことではないか。
そんなふうに思ったわけです。
たとえば小説家の森博嗣さんは、小説を執筆する際に何時間も集中することは一切ないのだそうです。
10分くらい執筆して、飽きて他のことをして、また戻ってきて10分くらい執筆する、そういうスタンスで書き進めているのだとか。
もちろん森さんのやり方はプロの小説家の中でも非常にレアなものであって、それを参考にし過ぎるのもちょっと違うかなと思わないでもないのですが、今の私がモデルとするにはちょうど良いのではないかと感じています。
数時間のまとまった時間を確保して執筆できればそれに越したことはありません。
しかしどうやら私にはそういうのはちょっと無理っぽいんですよね。
それを必死に目指すよりも、執筆するという行為自体を私のスケールに落とし込んでしまう方が、より生産性に繋がるのではないかと、そう考えるわけなのです。
そしてそれを関連する買い物として今回、文章執筆専用のガジェットである「ポメラ」を中古で購入してしまいました。
ポメラは一言でいえば小型のワープロ専用機で、とにかく文章を書くことに特化しているのが特徴。
持ち運びしやすく、移動中でも気軽に執筆できることを大きな強みとしています。
私は前述したように完全在宅ワークな人間なので移動することはほぼないのですが、どこでも文章を書けるという点に注目しました。
現在私の寝床にはタブレットアームが設置されており、その先にはiPadがセットされています。
それを使って仰向けに寝転がった状態で動画を視聴したり、あるいはゲームをしたりといったことが可能になっています。
このタブレットアームに、もしかしたらポメラをセットできるかもしれないんですよね。
もしこれが上手く行けば、仰向けに寝転がった状態でキーボード入力で文章を書くという、長年夢見ていた行為が現実のものとなります。
これが実現できれば、私の執筆衝動の一部は確実に小説やブログなど「ネットなしで臨めるもの」に向かうでしょう。
そうなれば必然的に本当に積み上げるべきものが積み上がり、人生レベルでもっと向上していけるのではないかと、そんなふうに期待してる次第です。
これを書いている時点ではまだポメラは届いておらず、タブレットアームの先に設置できるかは五分五分といったところ。
だからこの計画が残念ながら失敗してしまう可能性もあるわけですが、しかしそれでもポメラの存在自体が私を良い方向に刺激してくれるであろうことは確実です。
何しろ楽しそうなおもちゃですからね。
問題があるとすれば、同じく最近手に入れたおもちゃであるREALFORCEと同時に味わえないことですが、まああっちはあっち、こっちはこっちと上手い具合に両方楽しんでいけるのではないかと、そこは楽観的に考えています。
自分がどのように変化していくのか、楽しみで仕方ありません。
おわりに
というわけで、SNSにばかり文章を投下している現状を改善するべく、これからいろいろやっていくぞ、というお話でした。
かつての私は、もっと容易に小説やブログにリソースを傾けることができていたんですよね。
電撃小説大賞に応募していた時期は年間に3作の長編小説を完成させていましたし、その後にはブログを200日以上毎日更新していた時期もありました。
その頃からSNSは存在していたのですが、それでもSNSに偏りすぎることなく、いろいろと生産できていたのです。
それが今や――という感じ。
これをどうにかしたいと思って最近あれこれ考え、試してみることにした、という現状を書いてみました。
この試行錯誤が上手く転がれば、私は生まれ変わることができるでしょう。
もちろん、これでSNSをやめてしまうわけではありませんし、SNSにつぎ込んでいた文字数をそっくり小説とブログに置き換えられるわけでもありません。
しかしまあ期待値としては、月に10万文字くらいは私が望む「まとまった長文に」費やせるようになってほしいものです。
さてどうなるでしょうか。
いずれ続報を書くかもしれません。
そのときは良い変化を報告できたらいいなと思います。