天国的底辺

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アンデッド・パクリ・百合:アニメ『異種族レビュアーズ』9話感想

異種族レビュアーズ

 

 アニメ『異種族レビュアーズ』第9話の感想です。

 実はこれを書いている時点では、本作はすでに最終回を迎えております。私の視聴が少々遅れてしまったわけですね。

 

 TVアニメの感想記事というものは、放送が終了すると途端にアクセスがなくなる、という性質を持っており、その意味で本作の感想記事も続けようかどうか迷ったのですが、好きな作品なので、とりあえず続けることにしました。

 あなたが今、この記事の執筆から何日後に来てくださっているのかはわかりませんが、こうして読んでいただいている時点で、書いた甲斐はあるというものです。

 本当にありがとうございます。

 

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短命種と長命種の話

 第9話は、スタンク達の拠点から少し離れたところに住む吸血鬼、デリベル公爵の依頼を受けて仕事をしているところから始まりました。

 新しい棺桶や、美術品の納品などがその内容。

 デリベル公爵とゼルは知り合いで、30年ぶりくらいの再会だそうです。

 

異種族レビュアーズ

 

 ここで公爵から語られたのが、ゼルの連れが「見るたびに変わっている」ということ。

 それを受けてゼルが、「長命種はどうも仲間に向かない」と答えます。

 ちょっとしたやり取りではあったのですが、本作でお馴染みの「種族による時間感覚の違い」がここでも良く表現されており、印象的でした。

 

 これまでの諸々のセリフから考えるに、ゼルはエルフの中でもどうやら若い部類に属するようですから、この後さらに数百年生きるのでしょう。

 そうなると、ゼルの感覚からすれば「あとほんの少し経てば」人間であるスタンクとは否が応でも離れることになるわけで、割り切った付き合いなのだろうなあということがわかります。

 そしてそれを承知でつるんでいるスタンクもまた、人間にしてはかなり関係性について達観しているところがあるのだろうという想像ができるんですよね。

 

 しかし彼らの日頃のコミュニケーションを見ていると、「そんなことより『今』が大事だ」みたいな確固たる価値観が伝わってきます。

 この辺り、私達の人生にも適用すべきところなのではないかと感じました。

 少し大袈裟かもしれませんが。

 

アンデッド専門店『ネクロワイフ』

 今回、最初に登場したお店は、そんなデリベル公爵がパトロンを務めているアンデッド専門店『ネクロワイフ』。

 アンデッドという時点で視聴者的にもあまりオイシイ予感がしないわけですが、それに反して受付のゾンビ娘はなかなか可愛らしい。

 

異種族レビュアーズ

 

 ただ、同行していたブルーズが、ニオイについて言及し始めます。

 可愛いとか可愛くないという以前に、アンデッド系の嬢には体臭(腐臭?)の問題があると。

「またリアルな設定を用意したなあ」というのが私の感想です。

 こういうところを、魔法的な何かでちょいちょいと片付けずに設定として残すところが、本作の面白ポイントなのは、ここまで観てきた視聴者ならよくわかるところ。

 

 一行が選んだのは、まずスタンクが受付のゾンビ娘。

 

異種族レビュアーズ

 

 ゼルはキョンシー。

 

異種族レビュアーズ

 

 ブルーズはスケルトン(ニオイのない種族は幽霊とスケルトンしかいなかった)。

 

異種族レビュアーズ

 

 デリベル公爵は女吸血鬼でした。

 

異種族レビュアーズ

 

 一行の評価は、まあまあといったところ。

 個人的に、選ばれてから「久々だな……ちゃんとできるかな……」と少し不安になっているときのゾンビ娘が本当に愛おしかったです。

 

異種族レビュアーズ

 

動く魔法粘液プレイ『マジカルローション』

 一方その頃、クリムはといえば、一人でべつのお店に出向いていました。

 彼が行ったのは、動く魔法粘液プレイ『マジカルローション』。

 Aパートの最後でお店に行っていたことが語られ、続くBパートでその詳細がレビューと共に語られる、という「またぐ」構成になっているのが、これまでとは少し毛色の違うところでしたね。

 

異種族レビュアーズ

 

 プレイの内容は、完全にクリムが受け。

 お店の名前の通り、嬢が粘液を魔法で動かし、それで全身をくまなくいじくり回してくれるという内容です。

 第3話でゼルが相手をした、スライム娘と方向性は似ております。

 

異種族レビュアーズ

 

 ここではクリムの両性具有属性が存分に発揮されていましたね。

 第3話では女体化したクリムがハイエナ娘に攻められるシーンがありましたが、今回は女体化なしの攻められ。

 しかし文脈的にも絵面的にも、本質はほとんど変わりなし。可愛らしく気持ちよさに溺れる姿を楽しむことができました。

 

異種族レビュアーズ

 

 そしていつもながら、富田美憂さん、お疲れさまです。

 つくづく、この作品で飛躍されたのではないかと、勝手に思っている次第です。

 ご本人が「出演して良かった」と思っておられるのであれば、いち視聴者としてとても嬉しいのですが。

 

ありがとう百合企画

 Bパートの出だしで、スタンク達の「サキュ嬢のレビューをして報酬を得る」という企画が、あちらこちらでパクられていることが明らかになります。

 当然ながら憤慨するスタンク達ですが、企画に著作権や特許的なものがあるわけでもなく、またレビュー自体は誰でもできるという事実を考え、まあ仕方ないよな、というモードに。

 

異種族レビュアーズ

 

 そんなパクリ企画の中に、サキュバスムービーの女監督による撮影談話のようなものが混ざっていました。

 その具体的な場面が描かれるわけですが……これは私にとっては完全に「俺得」というやつでしたね。

 とにかく百合が好きなんですよ。だから女体化プレイの第3話が忘れられないわけなのですが。

 

異種族レビュアーズ

 

 ここでいちばん光っていたのは、演者である二人ではなく、女監督自身でした。

 

異種族レビュアーズ

 

 単なるお仕事で百合企画をやっているわけではなく、根っからの百合好きであることが、これでもかと描かれていました。

 無駄に豊富な語彙を駆使して、演技指導なのか自分の世界に入っているのかわからない表現をしまくり、しまいには自分で自分を慰め始める始末。

 

異種族レビュアーズ

 

 演者であるサキュ嬢達と同時に果てる様は、「ごちそうさまでした」の一言でしたね。

 

 ちなみに、この女監督を演じておられた声優さんは、長妻樹里さん。

 ピンと来る人はピンと来ると思いますが、とても良い起用だったのではないでしょうか。

 

魔法都市への出張

 そんなパクリ企画の中で、高評価という意味で際立っていたのが、魔道士デミアの本店。

 3グループが満点をつけているという、凄まじいところ。

 早速向かおうとするスタンク達なのですが、場所が現在地から遠く離れた魔法都市であるということで、いったんは断念しかかります。

 そこへ現れたのがカンチャル。遠出の準備をすべて整えてスタンク達を誘うという有能ぶり。

 そして一行は魔法都市へ――というところで、次回へ続くという締め方をしていました。

 

 AパートとBパートをクリムのエピソードがまたぐこともそうでしたが、今回の構成は繋ぎが工夫されていましたね。

 そのせいで、何だかストーリーもののような後味も少し感じました。

 こういう細かいところで少しずつ「味変」していくのは、飽きさせないために大切なことだと思います。

 この辺が疎かだと、たった1クールでも結構退屈って発生してしまうものなんですよね。

 本作は「お店に行く→嬢と致す→レビュー」というところが定型的であるぶん、その周辺の作りを頑張ろうという姿勢が見えて、とても好感が持てるところです。

 

おわりに

 以上、『異種族レビュアーズ』第9話の感想でした。

 

 全体として異色作であることは間違いないと思うのですが、作り方・見せ方という点では王道をしっかり押さえていくスタンスが感じられ、本当に良作だと思います。

 残り3話となりましたが、作品の性質上、特段の大きなクライマックスを用意する必要がないというところも含めて、きっと上手くやってくれるだろうと安心していられますね。

 最後まで楽しもうと思います。

 

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