一時期ほどの勢いではなくなったにせよ、まだまだ増え続けているVTuber。
最近ではいささか供給過多なところもあり、大手の企業系でなければ、なかなか視聴者を獲得することが難しくなっているみたいです。
そのため、新人VTuber達は、手を変え品を変え、自らのキャラクターを立てて、何とかして注目を集めようと懸命に活動しておられます。
今日は、そんな中でもひときわ異彩を放つ(と私が認識している)新人VTuber、天翔院ひいなさんについて書いてみたいと思います。
簡単な紹介
天翔院ひいなさんは、2020年3月6日に配信デビューをした新人VTuberです。
本人のお話によれば、お嬢様系の多い女子高に通っており、普段の挨拶は「ごきげんよう」なのだとか。
これだけを聞くと、とても清楚で上品なキャラクターを誰もが想像しますよね。
実際、Twitterで読むことのできる彼女のツイートや、貼られている短い動画を見る限りでは、その想像通りの姿を確認することができます。
ところが、です。
いざ彼女のYouTubeチャンネルに飛んでみて、アーカイブを一つでも視聴してみると、その印象は180度変わることになります。
どのように変わるのか?
……これに関しては、口で説明するよりも、実際にその目でアーカイブを確かめるのがいちばん良いと思いますので、ここから先を読む前に、まず視聴してみてください。
確認するアーカイブは一つだけでも大丈夫ですが、今あなたがこの記事を読んでいるのが、この記事の投稿から間もない日時であるならば、できればすべて視聴してみることをお勧めします。
というのも、彼女はまだデビューしたばかりなので、今ならまだ、それほど時間をかけずにすべてのアーカイブをチェックすることができるからです。
もし時間がおありなのであれば、ぜひトライしてみてください。
これ以降、この記事の説明は、あなたが一つでもアーカイブを最後まで視聴したという前提で書いていきます。
下ネタの極北:これはトーク力なのか?
……チェックしてみていただけましたでしょうか?
凄いですよね。
素直な感想として、私はこのような内容を、YouTubeでお仕事として活動するVTuberから提供されるとは、夢にも思っていませんでした。
もちろん、他のVTuberのすべてが清楚で健全なキャラというわけではありません。
下ネタを言う人は言いますし、際どいところを攻めることを売りにしているVTuberも、それなりにいます。
しかし、ひいなさんのそれは、ハッキリ言って段違いです。
配信の内容にところどころ下ネタが混じる――なんていうレベルではなく、終始下ネタ、それもかなり突っ切って低俗な語り口で展開していくスタイル。
Twitterで見せていた清楚な顔はどこへやら、とことん下品を突き詰めた「フヒヒヒヒ」という笑い声と共に、視聴者を遥か後方に置き捨てていく勢いでひたすらにエロトークを展開していきます。
そのあまりに剥き出しな様相を前に、視聴者は単純にえっちな気持ちになることなどできず、呆気に取られながら「なんなんだこの娘は」という状態で彼女のトークを後追いすることになるのです。
私が初めてひいなさんのアーカイブを視聴したとき、思ったのは次のようなことでした。
「これは果たして、トーク力の範疇に入るのだろうか? わからないが、しかしこの引き込まれる感じはホンモノだ……」
彼女の初めての配信は、その内容のうちほとんどがBLに関するものでした。
視聴者のほとんどが男性であるにもかかわらず、ひいなさんの選んだコンテンツは、いきなり女性向け。
この時点でかなりぶっ飛んでいるわけですが、しかしそれでも視聴者の多くは、彼女の超級のテンションに吸い込まれるように、最後まで視聴してしまっていました。
えっちな女性に男性視聴者が群がって盛っている構図なら、よくあります。
そういう状態を成立させるのに、女性側の「面白さ」は必要ありません。単に過激な言動を取れば、それだけで男性陣は簡単に釣られます。
しかしひいなさんと視聴者の関係は、暴走する彼女を、視聴者が引き気味の賢者モードになりながら、それでも追いかけてしまう、というもの。
こういうのは、配信者としての力量なしで成立するものではないでしょう。
ちなみに、この記事のタイトルにある「膣爆」は、ひいなさんの用語です。
曰く、「子宮が疼くという表現があるが、(性的に興奮すると)その前にまず膣が爆発する」のだとか。
いやあ……パワーワードだと思いませんか?
最初から3Dである強み
そんな彼女のお下劣トークを支えているのが、彼女が最初から3Dであるという事実です。
企業系の代表である、にじさんじとホロライブがそうですが、最近のVTuberは、まず2Dで配信デビューし、ある程度の視聴者を獲得したところで3Dモデルを作ってもらい、それを「お披露目」するのが通例となっています。
しかしひいなさんの場合、初配信の時から3D。
クオリティー的には確かに企業系のそれに劣るところがありますが、当然ながら初回から存分に動いておりました。
そしてこのことは、ひいなさんのキャラクターにおいては、普通のVTuber以上に大きな意味を持っているのです。
簡単に言うと、彼女は下品なトークを展開するにあたって、その内容をことさらに身振り手振りで表現しようとするんですよね。
例えば男性器をしごく仕草や、自慰行為を再現しようとするアクションです。
目の前でそういうことをやられるものですから、あたかも本当に親しい人間を相手に猥談を繰り広げているような感覚に、視聴者は陥ってしまうわけです。
多くのVTuberは、3Dの体を手に入れても、それをトークに活かすというところまで到達していないように観察されます。
確かに動くことは動くのですが、それはあくまでも「動く企画」としての動きであり、トークの面白さをダイレクトに増幅させているわけではないんですよね。
その点、天翔院ひいなというVTuberは、人が興奮して喋り倒す様を、激しい実体感をもって表現してくれるのです。
彼女の身振り手振りを目で確かめることで、彼女の下品なトークのパワーは数倍に膨れ上がるわけですね。
なので、彼女の配信をチェックするときは、他のVTuberの配信のように単に聞き流すだけでは不十分。しっかりと彼女の動きも目で確認するのは必須でしょう。
そうすることで、彼女のトークは本当の意味でパワフルなものとして完成するのです。
BANの不安からの収益化
彼女の配信を視聴した人間は、まず最初に次のようなことを考えるでしょう。
「これってどう考えても、収益化なんて無理だよね。というか、YouTubeにバレたら確実にBANされるんじゃないの?」
実のところ、それはひいなさんご本人も思っていることだったようです。
アーカイブの一つの中で、彼女はTwitterのフォローを呼びかけるにあたって、その理由を次のように語っていました。
「BANされたとき、Twitterをフォローしてもらっていないと連絡手段がないから」
この発言からは、運営側もBANを覚悟しながらこのチャンネルを始めたのだということがうかがえます。
しかし、大方の予想に反して、彼女は勝利しました。
BANされずにやり過ごすどころか、なんと収益化を無事に通してしまったのです。
ご本人もTwitterで意外そうに語っておられたところが笑えるのですが、実際のところ、ここまでのトントン拍子を予想できた人はあまりいなかったのではないでしょうか。
少なくとも私にとっては驚きでした。
つい先日も、とある企業系VTuberさんが厳しすぎる収益化剥奪を食らっており、現在のYouTubeにおいては、センシティブな内容を通すのがとても難しいように思われたからです。
しかし、ひいなさんは実にあっさりとそれをやってのけてしまった。
これを彼女の功績と言うべきか、YouTubeの杜撰なところと解釈するべきかは微妙なところかもしれませんが、いずれにせよ喜ばしい報告で、彼女の今後の活躍がおおいに楽しみになる流れです。
おわりに
始めは個人勢として活動を開始したようなのですが、現在ではひいなさんは「PinkPunkPro」という事務所に所属する、企業系VTuberになったようです。
企業勢になったというと、パワーダウンを心配する向きもあるかもしれませんが、今回の場合はタイミング的に彼女のデビュー前から進んでいた話であり、芸風についてのしっかりしたコンセンサスを得たうえでの契約だと思われます。
新しい立場が彼女の魅力を損ねることは、たぶんないでしょう。
これからも、彼女の狂おしいまでの低俗さを、温かく見守っていきたいところですね。
ちなみに、彼女の同僚とも言えるアルム・フェルラーベンさんは、媚薬を飲み、ローターを股間に挿入しながらゲームをプレイするという、ひいなさんとはまた異なるベクトルの暴走を繰り広げており、こちらも先々が楽しみな新人です。
ここまでしないと今のVTuberは目立つことができないのか、と思うと同時に、後先を考えない視聴者として「いいぞもっとやれ」とノリノリになっている自分もまた存在します。
我ながら勝手なものですが……。
天翔院ひいな。
すでに軌道に乗っていますが、間違いなくこれからさらに伸びる逸材ですので、皆さんもぜひ彼女の動向に注目していきましょう。
これを書いているのは2020年3月20日ですが、今のうちに彼女をチェックしておけば、まだ古参を名乗ることができます。
いつの日かビッグになった彼女を見ながら「絶対に伸びると思ってたんだよね」と後方腕組みモードになりたい人は、早々に推しておくべきではないでしょうか。