いろいろと楽しい騒動を巻き起こしているアニメ『異種族レビュアーズ』第8話の感想です。
基本的に本作は、サキュバス嬢のお店に行ってそこでプレイを体験しレビューする、という枠組みは決まっており、その中身をどう手を変え品を変えしてみせるかで勝負しているわけですが、第8話までの段階では、飽きのようなものはまったく感じません。
まあ「えっちなものが観られればそれで一定の満足があるから」というのもあるのですが、お店ごとに物語上のテーマがきちんと定められており、そこの多彩さが面白いからというのがやはり大きいように思います。
その点、第8話はどうだったのか。
ざっくりとですが書いていきたいと思います。
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イメージプレイ
前半でスタンク達が向かったのは、イメージサキュバス店『おかしらのアジト』。
文字通りのイメージプレイを楽しむお店で、この辺りは現実のそういう風俗店とほとんど大差のないところだったのではないかと思います。
今回描かれていたのは、「捕らわれの女騎士」プレイ。
いわゆる「くっ殺」というやつですね。
ここで主に強調されていたのは、一連のプレイがあくまでも「なりきり」で成り立っているものであること、そしてそれが嬢の演技にかかっているにもかかわらず、必ずしもそれが上等とは限らない、ということでした。
この辺り、「プロとは何か」というのをちょっと考えてしまいました。
「嬢はプロの女優ではないのだから、なりきりの演技が大根でも仕方ない」
この意見はもっともらしいのですが、でもイメージプレイで客を入り込ませることが重要な意味を持つという観点からすれば、そこもきっちりできていないと失格ですよね。
どんな分野でもそうですが、仕事というものは複数の要素から成り立っています。
そしてここで大事なポイントは、そのすべてが合格ラインになければ仕事にならないわけではない、というところです。
例えば、ある仕事が10の要素で成り立っているとして、その道のプロとしてきちんとやれている人でも、その10要素がすべて完璧にできるわけではないんですよね。
このことが、「プロに何をどこまで『当然のもの』として求めてよいのか」の難しさに繋がっている気がします。
……話が脱線したので戻しますが、そんなわけで演技力のない嬢もいる、このお店。
しかしその一方で、「サキュバスムービー」に何本か出演していて、演技力にそこそこ自信があるという嬢も混じっているという玉石混淆。
この手のイメージプレイをするお店は、私達の現実世界にもあるらしいですが(私は全然わかっていないのですが)、実際のところそういうところで働いている方々の演技力って、どんなものなのでしょうね。
もうちょっとべつの言い方をするなら、果たしてどこまで演技力を要求していい業界なのか?
まあ、さすがに客が思わず演技指導をしたくなるレベルは勘弁、なのはわかりますが、中には「名女優」もいるのかなあ。どうなのでしょう。
イメージプレイが終わった後は、個室プレイ。
ここでも「なりきり」を続けるかどうかは客の要望次第とのことで、スタンク達はそれぞれなりの時間を過ごしておりました。
本作はこういった、お店のシステム的なところをきっちり描くことで妙なリアリティを出しているのですが、今回も細かい仕事をしていたなという感じです。
本物サキュバスの登場
後半の舞台となったのは、純粋サキュバス専門店『サキュバスタワー』。
よく考えてみたらこれまで本編中に登場したことのない、純粋な意味でのサキュバス達が働いている巨大専門店です。
数千人が在籍しているうえに、それぞれのサキュバスが客の好みに合わせてある程度外見を変えることができるとのことで、どんな細かいオーダーにもほぼ完璧に応えることができるという凄さ。
ここで常連客と思しきキャラ達が見せた、ラーメン屋かというオーダーの出し方が面白かったです。
小ネタですが、このくだりもまた作品世界の手触りをよりしっかり感じさせてくれる良い仕事であったように思いました。
そんなわけで、思い思いに望み通りの純粋サキュバスを選んでプレイに興じるスタンク達。
ここで「純粋サキュバスは安くて時間も長い」という、一見するとただただ魅力的でしかない事実が明かされます。
この辺りは、第4話に登場したお店が「むしろ嬢のほうがお金を払って店にやって来る」というところにも通じるものがありましたね。
プレイのシーンで「お当番」になったのはクリムでしたが、刺激が強い場面が続くということで、マヨネーズで表現が代替されました。
しかしこれが結構良いというか……。
個人的な嗜好として、私はえっちいシーンに「男性側」が存在しているのが、あまり好きではないんですよね。
なのでこのマヨネーズ代替表現は、いくらやってくれても構わないなと思いました。
まあクリムは女性的なので、描かれていたとしてもさほど嫌な気はしませんでしたが。
このマヨネーズのシーンで彩りを与えてくれたのは、富田美憂さんの演技だったと思います。
今回のクリムは、第3話のように女体化はしていなかったのですが、喘ぎ声が完全に女性のもの。
それが実においしくて、ありがたく堪能させていただいた次第です。
富田さんご本人が、本作に出演したことをどうお感じなのかはわからないのですが、私としては「素晴らしい飛躍だな」と感じています。
いやらしい演技って、割と真面目に良い登竜門だと思うんですよ。役者にとって。
事後にしばらく賢者モードが続いてしまうのは、読めるオチではありましたが、安定の着地という感じ。
胸元に顔を突っ込んできたクリムがまったく無反応なのを見て、ついイラッとしてしまうメイドリーの複雑な心理が面白かったです。
偽物と本物と満足度
前半後半を通して流れていたテーマは、「偽物と本物、そしてそれと満足度の関係」であったように思います。
なりきりプレイという「偽物」と、純粋サキュバスという「本物」。
対比のように描かれていたわけですが、興味深いのは、「本物」だから問答無用で「より良い」かというと、そういうわけでもないのだというところ。
これを「深いテーマ」とまで言ってしまうと、正直深読みのしすぎだと思うのですが、あくまでも個人的な受け止め方として、学びの余地はあるように感じました。
時と場合によっては、「本物」を持ち込むと濃すぎたり深すぎたりして、デメリットに繋がることもあるんですよね。
私達には何事においてもそれぞれに適切な程度があり、ちょっと「偽」要素を交えたほうがちょうど良かったりもし得るのだという。
そんなことを考えながら観ておりました。
おわりに
以上、『異種族レビュアーズ』第8話の感想でした。
とにかく気楽に視聴することができて、良い感じにえっちくて、ついでにちょっと考えさせられるところもある。
本当に良作だと思います。
たとえ地上波放送局がビビって拒絶しようとも、そこのところの評価は揺るがないのではないでしょうか。
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