節約というのは、本来的にはする必要のないものです。
もしあなたが莫大な収入を得ているのであれば、欲しいと思ったものに幾らの値段が付いているかといったことは気にせず、どんどん買うべきでしょう。
大量に稼いで大量に消費することは、個人の幸福であるばかりでなく、社会経済にも非常に良い影響をもたらします。
お金持ちがお金を使ってくれないことには、世の中はいつまでたっても景気が悪いままですからね。
でも現実問題として、私達のほとんどは収入に100%満足しているわけではなく、従ってどこかで多かれ少なかれ「切り詰める」必要性が出てきます。
節約から完全に逃れられる人は、世の中にほとんどいないでしょう。
なので、そのノウハウは普遍的にニーズのあるものと言えます。
今日はそんな節約のノウハウについて、私なりの見解を書いていきたいと思います。
具体的には、積極的にするべき「良い節約」と、できる限り控えるべき「悪い節約」を4つずつ挙げ、その理由を説明してみました。
あなたの生活の参考になれば幸いです。
良い節約
スケジュール強制
スケジュール強制とだけ言っても、意味がわかりづらいと思います。
これは要するに、自分一人でもこなすことは理論上できるけれども、だらけてしまう恐れがあるから、「スケジュールを買う」意味合いで何らかのカリキュラム等を購入する、という行為を指しています。
私は司法書士試験の受験生を長年やっているのですが、あの業界においては、ベテラン受験生が講座をとることの意味を、そのように捉える向きが強いです。
独学でもじゅうぶんに合格可能な教材は世の中にすでに出回っているのですが、自分だけでそれを予定通りに消化していくことには、試験内容とは別個の難しさがある。
その対策として、資格予備校の講座をとることで、自分に対して強制力を働かせようというわけです。
しかし、私に言わせれば、そのような理由にお金を使うのは、ぶっちゃけ無駄遣いでしかないんですよね。
本当にやりたいことなのであれば、そこは気合いで乗り切るべきですし、それができないような分野に飛び込んでも、その後まともに活躍することなどできないのではないかと思うのです。
そこは「節約」をして、浮いたお金を生活環境の充実に回したほうが、ずっと有意義なのではないでしょうか。
味のついた飲み物
世の中の人って、味のついた飲み物が好きですよね。
お酒もよく飲みますし、炭酸ジュースのたぐいもめちゃくちゃ売れている。最近ではタピオカ入りのもろもろがブームになっていますよね。
普通の水を飲む機会なんて、薬を飲むときくらいしかないんじゃないかと思えるほどです。
そういう生活が当たり前になってしまうと、気づきにくいのかもしれませんが……味のついた飲み物って、その場のちょっとした快楽しかメリットがない割に、結構高くついているんですよね。
私は基本的に、水しか飲まない生活をしています。
それは健康面の目的もあるのですが、まず何と言っても、余計なお金を使いたくない(というか使えない)という理由が強くあります。
細かく計算をしたことはないのですが、もし私が喉の乾きをいちいち「何か美味しいもの」で満たしていたら、その出費は相当なものになっているはず。
世間の人は、あまり稼いでいそうに見えない人も、飲み物代についてはルーズなところがあって、それが私には常々不思議に思えるんですよね。
あなたが節約を心がけたいのであれば、味のついた飲み物は封印しましょう。
何なら、もう一生水だけ飲んでいく、くらいの気持ちでもいいのではないかと、私は思いますね。
というか、そういう生活をしていると、水の美味しさというのがわかってきて、べつに何かに耐えているとは感じなくなるんですよ。
ぜひその領域に達してみてはいかがでしょうか。
新発売の商品全般
新しく世の中に出たものは、まあ魅力的に映るものです。
特にガジェット系はそういうもので、スペック的にワクワクさせられるところがあったり、これまでにはできなかったことが新機能によってできるようになっていたり。
そんなものをアピールされたら、つい奮発してしまいそうになりますよね。
でも、節約ということを考えたとき、新商品というのは大概コスパが悪いです。
というより、新商品の登場によって、相対的に「新しくない商品」の値段がこなれてくるんですよね。
そっちに手を出したほうが、買い物としてはずっと美味しかったりするわけです。
例えばあなたの職業がYouTuberだったら、新商品に真っ先に手を出してみる必要があるでしょう。
あるいは、新商品に備わっているものが、あなたにとって長年待ち望んでいたものである場合には、手が出ても仕方ない面もあるかと思います。
でも、そのような事情がない場合、「一世代古いもの」を買っておくのが賢明です。
それはインパクトには欠ける買い物ですが、大抵の場合、新商品との比較で感じてしまうほどの劣り方はしていません。
衝動をぐっとこらえて、お金はここぞという場面にとっておくようにしましょう。
ひと駅分の電車賃
あなたが電車通勤をしている場合、ひと駅分の電車賃を節約するのは、良い習慣になるかもしれません。
それは金銭的な意味だけでなく、健康面でもメリットが期待できるからです。
ズバリ、ひと駅分はウォーキングをするのです。
具体的に「ひと駅分」がどれくらいの距離になるかは、その電車によって異なりますので、人によっては無茶な行為にあたるかもしれません。
その場合にはもちろん推奨しないのですが、だいたい5kmくらいの距離に収まっているのであれば、意を決して歩いてみてもいいのでは、と思いますね。
5kmというと、だいたい1時間くらい。歩数にすると6,000~8,000歩くらいでしょうか。
一刻も早く帰宅してすべきことがある、というのでなければ、習慣化するのも悪くないと私は思うのですが、いかがでしょうか。
悪い節約
情報へのアクセス
インターネットが発達しているため、つい「情報は何でもタダで手に入る」と錯覚してしまいがちなのですが、実際にはそう簡単には行きません。
対価を払わなくては手に入らない情報というのは、世の中に山ほどあります。
あるいは、情報自体はタダで転がっているけれども、ジャンク情報(間違っていたり、無意味だったりする)との区分をするのが極めて面倒で、その回避のために対価が必要となることもありますね。
そういうところには、節約の精神を発揮しないほうがいいと私は思います。
良い情報と巡り合うことを遮断してしまうと、どんどん「稼げない」人間になっていってしまい、負のスパイラルに入ってしまう恐れがあるからです。
冒頭でも書いた通り、理想は「大量に稼ぎ、大量に消費する」人生。
そこに一歩でも近づくためにも、鮮度が高くて有益な情報を得ることに使うお金は、ケチらずにおくほうがよいのではないでしょうか。
時間を短縮してくれるもの
人生で最も貴重なものは何かといったら、それは間違いなく「時間」です。
タイムイズマネーという言葉がありますが、時間の価値はお金などとは比べ物になりません。
人生そのものが時間の積み重ねで構成されているわけですから、時間はほとんど命そのものと言っても過言ではないのです。
その時間を作ってくれる手段には、惜しみなくお金を使ったほうがよいと思います。
世の中には、時間をかければタダでできるけど、それを短縮するにはお金がかかる、というようなものが多数存在しますよね。
それらのうち、本当に自分の身になると思ったものについては、きちんと対価を払って「時間を買う」ことを選ぶべきです。
それが仕事に関わるものだったりする場合には、なおさらですね。そこは自己投資をして、後々回収していくことを考えるのが、長いキャリアを考えたときにはベターな道であると言えるでしょう。
長時間体に触れる道具
人間の体は、ある意味では頑丈ですが、一方ではとても傷みやすいものです。
そしてその傷みに大きく関係しているのが、日常生活において、体に長時間触れている道具です。
代表的なものとしては、枕や椅子。あとは仕事道具がそうですね。PCをたくさん使うならキーボード、筆記用具をたくさん使うならペンのたぐいが挙げられるでしょうか。
ここを「節約」してしまうと、長い時間をかけてしっぺ返しを食らうことになります。
疲れがとれなかったり、腰が痛くなったり、腱鞘炎になったり……。
いつも使っている道具の品質の影響力はすごいもので、そこにきちんとコストをかけているかどうかが、非常に大きな健康状態の違いとなって表れ得るんですよね。
私の観測の範囲内では、特に椅子の重要性がよく語られることが多く、「座業をする人であれば、最初に得た収入でまず良い椅子を買え」と言われるくらいです。
人生100年時代とも言われる現代ですから、後々のことまでしっかり考えた上で、健康に響きそうな道具はケチらないようにしておきましょう。
野菜とタンパク質
お金の無いときには、なかなか食べ物に気を配るのが難しくなります。
現代社会においては、貧乏人は痩せ細るのではなく、むしろジャンクなものを食べることで太りやすくなるのです。
バランスの良いものを食べて生きるには、それなりのお金が必要になるわけですね。
私も貧乏人なので、その辺りの難易度は理解した上で言うのですが、野菜とタンパク質は摂取を怠らないほうがよいと思います。
もちろん炭水化物や脂質も適量は必要ですし、その他にもいろいろと大事なものはありますが、とりあえず私が最もこだわるべきだと思うのが、上記の2つですね。
野菜はもやし、タンパク質は卵で採るのが、コスト的にはよいでしょうか。
これもやはり、人生というものの長さを考えたときに大事になってくることです。
若いうちは多少の無茶な食生活でも乗り切ることができるでしょうが、摂取すべきものを摂取しない生活を数十年と続けていれば、それは必ず蓄積します。
人生100年時代、そして年金もろくに得られないであろう時代を生きる私達は、たかが60歳とか70歳で体にガタをきたしている場合ではないんですよね。
そういう将来のために、然るべき栄養素を軽視しないようにしておきましょう。
おわりに
以上、良い節約と悪い節約に分けて、私なりの考えを述べさせていただきました。
まあ言うまでもないとは思うのですが、結局のところ、お金というのは「必要なところに集中して注ぎ込む」のが大事なんですよね。
何も考えずに漫然と暮らしていると、お金のかけ方も平坦になってしまい、メリハリというものがなくなってしまいます。
常に意識を張り巡らせ、投資と浪費の違いを見極めて、有効にお金を使っていくことが、庶民に求められる知恵というやつでしょう。
そういうことにこだわって生きることで、収入も増えやすくなり、やがては深く考えずにたくさん消費できる人間になれることだってあり得るわけです。
お互い、積極的にそういうルートを歩いていきたいものですね。