webライティングの世界に足を突っ込んで、半月ほどが経ちました。
まだまだ本腰を入れているとは言い難く、稼ぎも笑ってしまうほどで、せいぜいが準備運動というところなのですが、とにもかくにも始動できたのは、自分的には大きなことです。
これしきの経験ではまだ「webライティングの実態!」みたいなことを記事にすることはできないのですが、しかしちょっとこう、最初期の感覚を残しておきたくなりまして。
それで今、この文章を書き出している次第です。
webライティングの入り口ってこんな感じだよ、みたいなことが伝わる資料の一つとなれば幸いです。
文化的雪かき
この仕事をスタートさせ、ちょこちょこと小仕事をこなしていて思い出したのは、「文化的雪かき」という言葉です。
ご存知の方もおられるとは思いますが、これは村上春樹さんの小説『ダンス・ダンス・ダンス』に出てくるもので、意味としては次のような感じになります。
「誰も読まないような、でも誰かが書かなくてはいけない文章を書く作業、仕事」
もちろん私の仕事はクライアント様からいただいたもので、クライアント様は私の納品した文章で何かしらのことを成そうとしているわけですから、「誰も読まないような」という部分は失礼かもしれません。
でも、その辺りを承知の上で、やはりこの言葉を思い出してしまいました。
その理由は、少なくとも駆け出しとしてやっている現在までの仕事が、世の中にすでにいくらでもあるものの類似品を、自分を込めずに淡々と生産するという、無味乾燥とした行為だからです。
ブログや小説と決定的に違う点
私はこうしてブログを運営しており、そしてそれよりもずっと、小説を書いてきた経験のほうが長い人間です。
そんな私にとって、他人に見せるまとまった文章の第三のかたちが、webライティングの仕事内容ということになります。
ブログと小説も、性質としてはまったく異なるものではあります。
私なりの解釈でいうと、ブログは文章的には割と何でもありで、多少崩れていても力ずくで押し通してしまえるものです。
大事なのはとにかく読みやすいこと、そしてSEOを意識すること。人間と機械の両方に対して、いかに優しいかということにほぼ全精力を注ぎ込むものだと表現しても、差し支えないかもしれません。
それに対して小説は、文章を洗練させなければいけませんし、構造にも説得力がなければいけないものです。
読み手の感情の波というものを操る上で考慮すべきことが複雑で、「結論を冒頭に持ってきて、あとはひたすらわかりやすく」みたいには行きません。
そして何と言っても、架空のキャラクターを動かす、という大仕事があります。
しかしそれと引き換えに、SEOのような奇妙な発想はしなくても大丈夫ですし、読み手にある程度「耐えてもらう」ことを期待していい面があります。
この両者はしかし、私の中では「文章の中に自分を練り込む」という意味では、共通するところがあります。
ブログの文章の中にも、小説の文章の中にも、確かに私という個人の魂のカケラみたいなものが宿っていて、それらが読まれるということは、多かれ少なかれ私が読まれるということである。
そんな風に感じることができるし、そこにやり甲斐みたいなものも生まれるのです。
しかし、webライティングの仕事はそうではありません。
ぶっちゃけ、私という個人はどうでもいい……どころか、むしろおいそれと出してはいけないものだったりします。
筆者の内面というものはノイズでしかなく、事実関係を調べ、それを日本語と呼ばれる言語によって正確に説明すること、これを徹底することこそが肝心なのです。
その結果として、webライティングで書き上げるものは、他サイトと似たりよったりのものになります。
何番煎じだよ、というような内容を、それとわかった上で黙々と生産する。
いや、この仕事も熟練者になれば内容が変わってくるのでしょうが、少なくとも駆け出しのライターに回ってくる仕事は、「法的にコピーにならない実質コピー」のようなものを手間暇かけて作り上げる内容ばかりなわけです。
文化的雪かき。思い出してしまうのも仕方のないところではないでしょうか。
webライティングのコツ
しかしまあ、文化的雪かきといっても、イコール「すべてにおいて低レベルで、頭を使う場面など一瞬たりとも存在しない仕事」というわけではありません。
雪かきにコツが要るように、webライティングにもまあ、コツらしきものは存在します。
まず、ブログと同じように、SEOを意識すべきであるというのが、いちばんの要素でしょうか。
インターネット上に、できるだけ多くの人に読まれるべき文章を載せる以上、これは避けては通れないものであると言えます。
それから、似て非なるものを書く際に、同じ内容のことを異なる言い回しで表現する、微妙な言語的ストックが必要となります。
往々にして、クライアント様は納品した文章をコピペチェックツールにかけ、剽窃していないかどうかを機械的に確認するので、それに引っかからないようにしなければいけないわけです。
でも書いている内容は単純な事実関係なので、参考にしたサイトと実質的には何ら変わるところはありません。
それを、ちょっとした言い回しの違いで上手く着地させるスキルが要るわけですね。
そしてもう一つ大事なのが、「これってとことん無駄な行為だよね」みたいな感覚を、あえて鈍らせるマインドセットです。
文化的雪かきに携わるなら、文章そのものに充実感を求めてはいけませんし、それが「今さら一つ増えても世の中に変化はまったくない」ものであることを、気にしないようにしなければいけません。
ある意味で馬鹿になって、クライアント様の要求にひたすら答え続ける。
これが幸せにライティングしていく秘訣であるように、新人の私は感じていますね。
文字単価をどう上げていくか
今現在受けている仕事は、文字単価で言うとだいぶ低めです。
具体的に何文字書いてくれと言われたのではなく、最低何文字以上書いてくれ、という依頼内容なのですが、毎回(20記事単位で依頼を受けました)それを数割オーバー、場合によっては2倍以上になったりします。
べつに私が余計なことを長々と書いているわけではなく、依頼された通りに充実させようとすると、最低文字数をそれくらいは余裕で超えてしまうんですよね。
それで結果的に、文字単価が寂しいことになっているというわけです。
継続して仕事を受けるときは、単価を上げてくれるという話なのですが、恐らく提示される報酬額を単価計算すると、上がると言っても雀の涙なのではないかと推測しています。
クライアント様がどケチというわけではなく、常識的に考えて、二度目の仕事でいきなりそんなバーンとは上がらないと思いますので。
なのでここは、勇気を出してこちらから交渉を持ちかける必要があるでしょう。
駆け出しでも、きちんとしたものを納品した実績が一度でもあれば、個人的には文字単価0.8円くらいは要求しても、がめついうちには入らないのではないかと考えています。
よって次の仕事を振っていただいた際には、今回の仕事の平均文字数を提示した上で、それ掛ける0.8の金額でやらせてもらえないか、お願いしてみたい……のですが……。
自分にそれができるかどうか、かなり不安なんですよね。なぜなら、その計算だと、報酬額は今の2倍以上になってしまうからです……。
まずは0.5円/字、くらいで我慢すべきなのかなあ。
次の機会がやって来るときまでに、文化的雪かきの相場というものについて、もう少し勉強しておこうと思います。
できれば、この業界におけるスタンダードな交渉術についても。
適性と今後のこと
webライティングという仕事が、私に合っているかどうかについて言うなら、「一応合っているのかな」という感じですね。
才能があるかどうかはともかく、淡々とものを調べて、その内容を日本語にしたためていくという作業は、根本的なところで私の性質と噛み合っているように思うのです。
まあ、これなら当分はやっていけそうです。
事情があって、年内にはライティング仕事で月3万円ペースで稼げるようになる必要があるのですが、そのためには現在受けている仕事だけでは足りません。
あと一つか二つ、継続的にできる仕事を受注する必要があります。
そこで必要なのが、自分を売り込むことなのですが……これが非常に苦手で、果たしてちゃんとやれるかどうか、物凄く不安ですね。
今やっている仕事は、タスク仕事をこなした際に、クライアント様のほうから声をかけてくださって成立したものなのです。
なので「売り込みに成功した」わけではなく、そこはまだ未経験のままなんですよ。
自分をド素人と知りながら、真正面から「やれます!」と主張する――こういうの、得意な人は全然平気でやれるのでしょうが、私はその手の「根拠のない自信」を持つ資質がゼロに近いので、なかなか厳しいものがあります。
でも、やらないわけにはいきません。
ネットで文章を書く仕事と言っても、結局のところ仕事は人と人とでするものなわけで、コミュニケーションの初手で躓いていたら、何も進みませんからね。
ある意味、自分的にはその辺りこそが、調べ物よりも本文執筆よりもずっと「これをやってお金がもらえる理由」だったりします。
おわりに
まあ、とにかく「稼いでいけるといいなあ」これに尽きますね。
ブログ運営、小説のカクヨムへの投稿、webライティングと、文章をお金に換えることをいろいろ試みているわけですが、前の2つは少なくとも当分のあいだはまともな収益を生み出せそうにありません。
webライティングが一番期待できる……というか、これが頼みの綱なのです。
ここでも駄目なようだったら、私の人生、ちょっと本当にヤバイことになる。
しっかりかたちにしていきたいですね。
『ダンス・ダンス・ダンス』の主人公は、文化的雪かきでそれなりの額を稼いでいたと記憶しています。
時代こそ全然違いますが、私もそれにならって、淡々と雪をかいて、お金にしていきたいところです。
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