天国的底辺

二次元、創作、裸足、その他諸々についての思索で構成されたブログ

正しい歯磨きのやり方についての諸説を調べ直してみた

 今まで生きてきて、正しい歯磨きのやり方について様々なことを見聞きしてきたのですが、先日ふと、その知識をアップデートすることを思い立ちました。

 ずいぶん昔に聞いた話も多いので、今となっては時代遅れで非効率的、それどころか逆効果なものも幾つか含まれているかもしれない――。

 また、並べてみるとお互いが矛盾している説などもあり、この場合は少なくともどちらかが現役を退いているはず――。

 そのようなことを考えたわけです。

 

 ということで、「正しい歯磨きについての私の中の諸説」が現時点でどのような扱いなのか、ネットでちょっと検索してみました。

 すべての説について明確な立ち位置を見出せたわけではないのですが、それなりにわかったことがあり、そこそこお役に立てる結果になったのではないかと思います。

 以下に列挙してありますので、気になる見出しがあったらそこをチェックしてみてください。

 

 

説1:食後3分以内に磨かなければ意味がない

 かつてこの国では「3・3・3運動」というものが推進されていました。これは「一日3回」「食後3分以内に」「3分間」歯を磨こう、というもので、感覚的には非常によくわかる話ではありますね。

 要するに、できるだけ食べ物を口の中に残す時間をなくせ、というシンプルな発想から生まれたものだったのでしょう。

 

 ところが、日本人がこの運動に従って歯磨きをするようになってから、歯周ポケット(口臭の元になります)を持つ人の割合は逆に増加しているそうなのです。

 どうやらこれは逆効果か、少なくとも問題を直接的に解決するものではない、というのが、データから導き出せる結論のようですね。

 

 調べたところによると、そもそも「食べかすが歯や歯茎をダメにする」という発想があまり正しくないようです。

 我々が対峙しなければならないのは口内細菌、そしてそれらが形作るプラークというものであり、これをいかに除去するかが肝心なのだと。

 プラークは食後8時間くらいしてから作られ始め、それをそのまま放置していると、48時間くらいしてから、バイオフィルムと呼ばれる、歯周にがっちり固定されるものになるといいます。

 素人が自力で除去できるのはプラークまでで、バイオフィルムをどうにかするには歯医者さんにかかる必要があるのだとか。

 

 いずれにせよ、「食後3分以内に何とかしないと手遅れ」みたいなことはない、ということになりそうです。

 

説2:食後30分くらいは口の中が酸性になっているので磨かないほうがよい

 口の中が酸性になっている、というのは事実らしいです。

 そしてこの状態で、ガッチリ歯磨き粉をつけてガッチリ磨くと、歯のエナメル質が削れたり、粘膜を傷めてしまうことになる、という主張が一定の広がりを見せています。

 

 しかし、日本小児歯科学会のサイトによれば、これは虫歯とは異なる別種の実験結果を、素人が混同して取り扱ったために発生した「誤報」なのだそうです。

 

これらの報道のもととなったのは、実験的に酸性炭酸飲料に歯の象牙質の試験片を90秒間浸した後、口の中にもどしてその後の歯みがき開始時間の違いによる酸の浸透を調べた論文で、むし歯とは異なる「酸蝕症」の実験による見解なのです。

引用元:食後の歯みがきについて|日本小児歯科学会

 

 このページでは、結論として「食べたら早めに歯を磨く」という従来からのやり方を推奨しています。なるほど。

 ただ、説1のところで書いたように、3分以内に磨かないと意味がないとか、そういう慌ただしい話ではないようですね。

 

説3:磨いてから朝食をとるべき。朝食をとってから磨くのではない

 前々から、フィクションを観ていて気になっていたことです。

 登場人物達は、朝起きると、パジャマ姿のまま洗面所に行って歯を磨き出す。そしてそれから朝食をとる。

 この順番でいいの? 逆じゃないの? と思っていたんですよね。

 

 しかしこれは、「歯磨きをしてから朝食をとる」のが正解らしいです。

 というのも、この順番でやらないと、起床後の口の中に溜まった細菌を朝食と一緒に飲み込んでしまうことになり、体に良くないのだそうです。

 胃潰瘍や胃がんの原因とされる、ピロリ菌という細菌がありますが、これに類似するキャンピロバクターという細菌は、歯周病になり、歯周ポケットが深くなると増えてくる。

 これを飲み込んでしまうというのは、まあ素人考えでもあまりハッピーなことでないのはよくわかります。

 

 ここで気になるのは、次のようなことでしょう。

「ということは、理想を言えば、起床→歯磨き→朝食→また歯磨き、がいいの?」

 これについては、今回私が検索した限りでは、言及しているページが見つかりませんでした。

 しかし話を合体させると、この「二段歯磨き」が良いということになりますよね。

 ここで「磨き過ぎも良くない」みたいな話が出てくると、またややこしくなってくるところですが……どうなのでしょう。

 

説4:歯磨き粉には実は虫歯予防などの効果はあまりない

 まず、この説には間接的な真実(という言い方でいいのだろうか)が含まれているようです。

 歯磨き粉に使われている界面活性剤によって口の中が傷つくと、それが口臭の元になることもあるのだとか。

 

 このようなことを語っているページは、大事な認識として次のようなことを主張しています。

 そもそも唾液には大きな力があり、これだけでも歯の病気の多くを防ぐ結果になっている。

 この唾液をそっくり洗い流してしまうような歯磨きは、せっかくの無害な天然予防成分を取り除いてしまうということを意味するのだ――。

 

 まあ、そう言われると「なるほど」とうなずきそうになりますよね。

 しかし、では歯磨き粉なる商品がまったくのエセで、買うだけ無駄、企業の汚い商売の産物に過ぎないのかというと、そういうわけではないようです。

 よくあるフッ素配合などの効果はちゃんとあり、その効果を期待して使用するのは決して間違いではないと。

 

 私見では、ここで大切なのはたぶん「口内を傷つけるような乱暴な磨き方をしない」ということなのではないかと思います。

 そこさえ気をつければ、使用するに越したことはないのではないかと、私なりに話をまとめる限りでは思いますね。

 

説5:歯磨き粉を口の中に残したまま過ごすのがよい

 以前このような話を見かけたことがあるのですが……どうなのでしょう。

 理屈はわかります。まあ少なくとも有害ではなさそうなので、悪質なデマのたぐいではないとは思います。

 しかしこれについては、単純に「現実的ではない」ですよね。歯磨きを口の中に残したままって、いろいろアレですし。

 効能の有無以前のところで、ちょっと採用しかねる、という感じです。

 

説6:100グラムくらいの力を入れて磨くのがベスト

 ……と記憶していたのですが、今回調べたところ、150~200グラムの力がベストという記事が多くヒットしました。

 力の入れすぎを注意するものが多かったのですが、私の場合は力の入れなさすぎのほうに傾いてしまっていたようです。

 

「でもグラムで言われても、実際どのくらいの力で磨けばいいのかわからないよ」

 という声が少なからずあると思うのですが(私も最初そう思いました)、これについては、計量器を歯ブラシの先で押してみて、150~200グラムの力の入れ方を覚える、という非常に原始的な方法で把握するのが良いようですね。

 最初はすぐ感覚を忘れてしまうと思いますが、何日か計り続けているうちに、きっと手が覚えてくれることでしょう。

 

説7:電動歯ブラシはものすごく効果的

 これは、何も考えず手放しで言うと、語弊が生まれるようです。

 つまり、電動歯ブラシには電動歯ブラシの「正しい磨き方」というものがあり、それを実践していないと、手動で磨くことに劣るばかりか、逆に歯を痛めてしまう結果にも繋がってしまうらしいんですね。

 

 例えば、これは納得のいきやすい例ですが、いわゆる普通の歯磨き粉を使ってしまうと、電動歯ブラシのパワーが強すぎるために、歯にダメージがいってしまうとのこと。

 また、これは使う側の問題ですが、電動歯ブラシのあのパワフルな感じに一種の「慢心」をしてしまい、歯のあいだをしっかり磨くことなく終えてしまう等のケースもよくあるのだそうです。

 そうすると、磨けているところとそうでないところにムラができ、結局磨けていないところから細菌が活発になってしまう、と。

 

説8:デンタルフロスや歯間ブラシを使わないと真の虫歯予防にはならない

 ……とまで言ってしまうのは、さすがに言い過ぎであるようです。

 しかし歯と歯の間を意識して歯磨きするのがとても重要なことである、というのは間違いのないところで、入念にケアする必要があるみたいですね。

 

 デンタルフロスや歯間ブラシを使う際に注意すべきは、歯茎を痛めること。

 ただし、出血が必ずしも悪いことではないそうですので、そこを気にしすぎる必要はないみたいです。

 

 普通の歯磨きをしてから歯間のケアをすべきか、歯間のケアをしてから普通の歯磨きをすべきかについては、どちらを推奨する意見もヒットしたので、私には判断がつきませんでした。

 

おわりに

 これまで割と気にしつつも、ちゃんと調べるには至らないままずっと暮らしてきたのですが、今回けっこう勉強になりました。

 

 全体として言えるのは、「優しく丁寧に磨く」ことの大切さですね。

 傷をつけて逆効果とか、油断して磨き損ねとか、ここで挙げた「○○有害論」はいずれも磨く本人の雑さから生まれる話なのです。

 だから、そこさえ気をつければ問題はないということになる。

 適切な力で、満遍なく磨くことを心がけましょう、ということです。行き着いてみれば、実に当たり前の教訓ですが。

 

 以上、何か参考になったところがあれば幸いです。