天国的底辺

二次元、創作、裸足、その他諸々についての思索で構成されたブログ

漫画の積ん読を崩して感想を書いてみた:その2

 数百冊に膨れ上がった漫画の積ん読を消化していく企画の第2弾です。

 また感想が2,000文字溜まりましたので、記事としてリリースいたします。

 

 この企画は基本的に、面白いと感じたにせよ感じなかったにせよ、読んだものすべてについて感想を書くことをコンセプトにしています。

 なので、一応商品情報を貼りつけてはおりますが、それは必ずしも「是非買ってください!」という意味を含んでいるわけではありません。

 その代わり、私なりのオススメ度を10段階評価で添えさせていただきましたので、それを一つの判断基準にしていただければと思います。

 

 

 

とく村長『J. C. LOVERS』1巻

オススメ度:★★★★★★★☆☆☆

 

 女子中学生3人の日常を描いた4コマ漫画。

 メインテーマは「女子力」で、特に3人のうちの1人「クニ」は彼氏を作りたいと日々意気込んでいますが、そういう内容だけで展開するわけではなく、派生的に様々な方向に彼女達のやり取りは伸びていきます。

 

 3人それぞれが、一概に「こういうタイプ」と括れないキャラクター造形をしているところに魅力を感じました。

 クニは「元気でおバカ担当」のようですが、先述したように女子力や恋愛にこだわりを見せており、終盤では出かけ先で出会った相手に初めての恋をしてしまいます(まあ、しっかりオチがつくのですが)。

 ナタネは「しっかり者のツッコミ担当」のようですが、極度のブラコンであり、「兄様」のこととなると我を忘れてテンパる乙女になるお嬢様。

 トシは「オタクでイジリ担当」のようですが、ボケ役に回ることも多く、また、あとの2人があたふたしているときには、一種のナビゲーターのような役割も果たしてみせる器用さを持っています。

 

 3人に共通しているのは、色恋沙汰のようなことに対して、自然なウブさを見せること。

 そこには、彼女達があくまで中学2年生であることが活きているように思いましたね。今どきだと、女子高生でこれをやるのはちょっと不自然かもしれないので。

 恋に恋するという言葉がありますが、彼女達はさらにその一歩手前、恋に恋する状態に恋しているような感じで、それが読者に「保護者のような感覚」を与え、ほんわかさせる。

 その辺りが本作の長所であるように感じられました。

 

 第1巻と銘打たれていますが、もうとっくに発売していてもよさそうな第2巻は、未だに刊行されていないんですよね。

 実質的に、この巻だけでオシマイ、ということなのでしょうか?

 個人的に空気感を気に入ったので、続きがあるならぜひ読んでみたいところなのですが……うーん、もしかしてあまり売れなかったのかなあ。

 

ルーツ『うわばきっず』1巻

オススメ度:★★★★★★☆☆☆☆

 

 タイトルと表紙から何となく「小学生の他愛ない日常を可愛らしく描く」みたいなものを想像していたのですが、よく調べたら『てーきゅう』と同じ作者さんでした。

 当然ながら(?)「日常を可愛らしく」とはなるはずもなく、ナンセンス&シュールなギャグの絶え間ない連射を味わうことに。

 それまでの文脈を完全無視した突然のボケに対し、小2のレベルを遥かに逸脱したワードセンスのツッコミが被さる様は強烈で、個性が全面に出ておりました。

 

 それが私の感性と合っていたかどうかというと……五分五分、というところだった気がします。

 乗れるところは大変面白く乗れる一方、それに失敗すると急に薄ら寒く感じられてしまうリスクが、この種の作品にはある。

 本作もその例外ではなく、ホームランと三振を両方たっぷり味わうことになりました。

 

 ちなみに作品タイトルだけでなく、各話のタイトルも「うわばき」を必ずフィーチャーしているのですが、本編が何か上履きに言及しているかというと、まったくそのテイストはありません。

 そこに何かを期待するとがっかりするので、お気をつけください。……と、ちょっと期待していた身で報告させていただきます。

 

そらあお『せせらぎ荘のこころちゃん』1巻

オススメ度:★★★★★☆☆☆☆☆

 

 タイトルに「○○荘」とあって、大家さんらしき女の子がいるとなったら、まあおおまかな作品構造は絞られますよね。定型パターンというやつです。

 この作品もそこから外れているわけではないのですが、しかしちょっと特徴的なところとして、登場人物(住人)の少なさが挙げられます。

 大家さんの他には会社員が1人、小さな女の子が1人。1巻の時点では、メインの舞台「せせらぎ荘」に住む人間は、この3人だけ。

 何か狙いがあったのかもしれませんが……個人的にはちょっと、コミュニティとしての物足りなさを感じてしまったかもしれません。

 もちろん、安易に住人を増やせばいいというものではないんですけどね。

 

 物語は、女子高生である大家さんの優しくふわふわした性格が生み出す、ほっこりしたコミュニケーションが主軸なのですが、ここにもちょっとした特徴があります。

 ブドウ糖を摂るとインスリンが分泌されて眠くなるとか、不安を紙に書き出すと脳のワーキングメモリーからそれを追い出せるとか、そういう「体の仕組みを利用したライフハック」的な解説がちょいちょい出てくるのです。

 

 ただ、割と有名どころの情報が多く、「この漫画で勉強になる」ほどかというとそうでもありません。

 また、その路線に完全に舵を切っているわけでもなく、差し挟まり方が中途半端に感じるところもあります。

 もちろん勝手な想像に過ぎないのですが、進め方があまり見えていない状態のまま連載をスタートさせたのかな、みたいなことを思ってしまいました。

 

 好感を持てたところは、そうですね……大家さんが会社員・ハテタのことを「おにーさん」と呼ぶところでしょうか。

 特別な好意を寄せているわけでは決してなく、あくまでも親しさの表現としての「おにーさん」。あざと可愛くて気に入りました。

 

チョコドーナツ『いなかの専業主腐ちゃん』

いなかの専業主腐ちゃん (バンブーコミックス エッセイセレクション)

いなかの専業主腐ちゃん (バンブーコミックス エッセイセレクション)

 

 

オススメ度:★★★★☆☆☆☆☆☆

 

 結婚して田舎に居を移した腐女子の方のエッセイ漫画。

 ちょっと内容が薄いかな、というのが、一読しての率直な感想です。

 ここで言う「薄い」というのは、オタク的な意味、田舎的な意味、その他全般において。

 どの方向に関しても、掘り下げがいまいち足りなくて、「もうちょっと深いところに行けば濃厚な味が出てくるのに」という惜しさを感じてしまったんですよね。

 

 これは作者さんの漫画家としての資質がどうのではなく、恐らく媒体が(というか編集さんが?)そういうのを求めており、それに応えていろいろなものを「抑えめ」で進めた、ということなのではないかと想像します。

 結果として、読了後に印象に残ったところといえば、結婚前の現夫に腐女子バレしそうになる一連のくだりくらいでした。

 とはいえそのくだりも、恋愛模様が淡白に描かれている(というかほとんど描かれていない)ため、ご本人の「大切なものが崩壊しそうでヤバイ」感があまり伝わってこず……。

 うーん、とにかく薄味で攻めたことが良くない方向に出てしまっていたように思います。

 

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