夏アニメの放送が始まってから、早いもので1ヶ月になろうとしています。
今日は、私が現在視聴中の夏アニメ、全14本の一覧と、それぞれについての寸評を書いてみたいと思います。
14本という数は、アニオタ的にどうなのでしょうね? 少なくはないと思うのですが、多いかというと、それも言い切れない気がします。
ツワモノはいくらでもいますからね……30本くらい追っている人はそこそこいるはず。
そういうツワモノには、当記事はあまり意味がないかと思いますが、それ以外の方におかれましては、何かの参考にしていただけると嬉しいです。
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視聴作品一覧&寸評
手品先輩
15分のコメディアニメですが、その短い尺の中でさらに短編4本とか5本を詰め込んでいるので、とにかくハイテンポで進みます。
そのテンポが本作の大きな特徴であり、恐らくは作り手が武器にしようと決めたところではないかと推察します。
しかし私見では、確かにテンポは「速い」ものの、それが「小気味良い」かはまたべつの問題だな、というのを感じます。
というのも、内容をぎゅっと詰め込んでいる弊害(という言い方が正しいかはわかりませんが)で、全体がちょっと一本調子になっているんですよね。
テンポというものは、速かろうが遅かろうが、大切なのは「適切な緩急がつけられているかどうか」だと思うのです。
その点、本作はどうも、すべての箇所が同じになってしまっているフシがある。
とは言え、観ているうちに少しずつ慣れてきたのも事実で、そうなってくると、可愛らしい先輩とテンション低い系助手のやり取りの魅力が、少しずつ浮き彫りになってきました。
これはこういうもの、として、恐らく最後まで観ることになると思います。
ソウナンですか?
4人の女子高生が無人島でサバイバル生活を送る話で、全体のノリはコメディタッチ、しかし出てくるサバイバル知識はガチ、という配合が特徴となっています。
これも15分アニメですが、尺の使い方は『手品先輩』とはだいぶ違いますね。
今のところの感想として、主人公格の鬼島ほまれはその魅力を十二分に発揮して大活躍している一方、残り3人、特にお嬢様キャラの九条紫音は、いまいちそのポテンシャルを発揮しきれていないかなというところです。
何しろ、今「九条紫音」という名前が出てこなくて、公式サイトに行って調べてきたくらいですから。
物語の都合上、サバイバル知識の豊富なほまれが一人で目立つのは仕方ないことで、あとの3人はどうしても「使えないその他大勢」になってしまう。
それが変化するとしたら、「サバイバルを学んでいく」段階が終了し、皆が有能になったときなのでしょうが、恐らくその前にアニメは終了してしまうのでしょうから、まあここはこういうものと思って受け入れるしかないのだろうな、という感じです。
内容が面白いかどうか以前に、解説されるサバイバル知識に「へえ」と感心しながら観ることができるのは、本作の強みであると思います。
異世界チート魔術師
ある日突然、異世界に召喚された高校生男女が、冒険者として生きていく話。
まず感想として、「タイトルから想像するほどチートによる無双を軸にしていないな」とうことが挙げられます。
確かに主人公達の魔法のポテンシャルは非常に高く、修行による成長速度もとんでもなかったりするのですが、物語の流れとしては、突然召喚されて戸惑う→助けられる→何とか生きていこうと決意→才能を見出され修行→冒険者として地道に仕事の日々、という風に、結構堅実なのです。
タイトルで0話切りした人も、それなりにいるはず。
果たして、タイトルに引きつけられた人とどちらが多いのでしょうね。
わかりませんが、とにかく今のところは想像を裏切る方向に進んでいると言うことができるかと思います。
その堅実さは、このまま面白い仕掛けを何も出さないようだとすぐ「退屈さ」に変わってしまうものなので、停滞期間を作らずにどんどん攻めていって欲しいところですね。
ダンベル何キロ持てる?
可愛い女の子が、イケメンマッチョのトレーナーの元で筋トレする話。
それがこんなに面白いものになるのですから、創作というのは奥深いものです。
原作モノですから、原作が面白いというのがもちろん大前提としてあるのですが、アニメとしての細かい動きが画面をとても楽しいものにしていると感じます。
街雄さんの筋肉が微妙に動く様は、一見誰得のようですが多くの視聴者を楽しませていますし、トレーニング中の同じ動きの繰り返しも、会話と一緒に味わうと、とても豊かなものに映る。
私は筋トレの世界には疎いのですが、恐らくかなりリアルに寄せた絵作りを行っているものと思われ、その意味でも力作と言えるでしょう。
そして忘れてはならないのが、「トレーニングする女の子」という存在の基本的な色気ですね。
まずトレーニング中の服装が見方によってはえっちいですし、苦しい表情はどこかいやらしさに繋がるものがあります。そして朱美に至っては、ひびきに「なぜ喘ぎ声を出す」とダイレクトに指摘されている。
こういう方面にもしっかりサービスしつつ、でもやっていることは筋トレなので文脈としては爽やかさが残るという、実においしい作りになっているわけです。
主人公役の声優さんが、新人とはとても思えない良い演技を聞かせてくれているのも、注目すべき点ですね。
魔王様、リトライ!
主人公が、自分の開発したゲームに似た世界に召喚される話。
設定的にも展開的にも、そして作画的にも、チープさが隠しきれていないかなというのが正直な感想です。
いまいち何を見せたいのかが掴みづらく、無計画にとにかく物語が進んでいるように感じられるのも、どうかなというところ。
それでもここまで観てきたのは、主人公・九内の意外な普通さと、ヒロイン・アクの無垢な振る舞いの絡みが、そこはかとなく微笑ましかったからです。
なので本作のキーはキャラクターになるでしょうね。今後二人の関係がどのように描かれていくか、そしてどのような新キャラが登場するかに、(少なくとも私にとっての)本作の命運がかかっていると思います。
うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。
冒険者の青年が、魔人族の少女を拾って育てるファンタジー。
本作の肝は何と言っても、魔人族の少女・ラティナの可愛らしさで、彼女の言動が可愛ければとりあえず視聴者の要求には応えたことになる、という面があります。
いやもちろん、物語に対して品質をまったく求めないというわけではないのですが、優先順位としては明らかにラティナ>物語で、彼女を引き立たせるために他のすべてがあると言っても過言ではないでしょう。
そして今のところそれは一定以上成功しており、従って本作は序盤を好調のまま乗り切ったと言っていいと思います。
最初のうち、人間の言葉をまったく話せなかったラティナも、4話終了時点ではすっかり流暢に話せるようになり、それもまた成長を見守る親の気分になれる要素。
ここからさらに「成長」を見せていくのか、それとも何かべつの要素をテーマにしていくのか、楽しみなところですね。
他の要素として気になるのは、主人公デイルのシリアスシーンに見られる「とても偏った非情さ」でしょうか。
あの辺りを人間性の面でどう捉えるかは、人によって分かれてくるところだと思います。
まちカドまぞく
ある日突然、自分が魔族の子孫であることを知り、角と尻尾を生やして暮らすことになった少女の奮闘記……という名の、ゆるい日常を描いた作品。
本作は特に明確な推進力のないエピソードを積み重ねていくタイプのコメディですが、いちばんの特徴は、台詞の面白さにあります。
何気ないやり取りのワードセンスが優れており、どんなことをしているシーンでも、その面白さで退屈せず観ることができる。
特に誰かの台詞に対する「受け」の台詞が秀逸で、キャラクター同士の絡みがそれによって何倍も魅力的になっています。
受け手を惹きつけて離さないために必要なのは、その場その場で「小さな退屈」を発生させない工夫なのだというのが、よくわかる作品だと思います。
女子高生の無駄づかい
可愛さではなく面白さに全振りさせた女子高生達の日常を描いたコメディ。
その内容にはかなりクセがあり、これを受け入れられる人とそうでない人に、割とはっきり分かれるのではないかと思います。
幸いにも私にはすんなり受け入れられるものだったので、今のところは十分に楽しめています。
本作のパッと見の特徴は、キャラクター達のネーミングでしょう。
皆、一応ちゃんとした普通の本名を持っているのですが、作中ではその名が呼ばれることはあまりありません。
主人公・田中望が第一印象で皆につけたニックネーム(望自身のニックネームは友人が付けた)が、ほとんどの場面においてお互いを呼び合う手段として使われます。
バカ・ヲタ・ロボ・ロリ・マジメ・ヤマイ・ワセダ……。
この「感じ」は重要で、まさにこのノリが作品全体の象徴となっています。テキトーで脱力していて、でも非常にアクが強い。
また単純な話として、キャラクターの名前を覚えるのが苦手な私にとっては、とても助かる直球さだったりします。
物語的に特に求めるものもないので、1クールこのノリのまま突っ走ってくれれば嬉しいですね。
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?
主人公とその母親が、政府の作ったゲームの中に入り込んで冒険する話。
原作の1巻をセール中に買ったので、知識ゼロの状態で視聴しているわけではないのですが、いい感じに詳細を忘れているので、あえて読み返したりせずに現状を保っています。
本作はタイトルの通り、母親萌えを前面に出している作品なのですが、そこは成功していると思います。
母親・真々子さんの色気と可愛らしさの融合は、ばっちり成功していると言えるでしょう。ついでにサービスシーンも充実しています。
問題は主人公のほうで、しばしば「お年頃」ならではの身勝手な発言をしてしまうシーンがあるのですが、これをどう捉えるかですね。
親子関係を描くために必要と言われれば納得するしかないのですが、単体で評価したときに「ウザいな」と感じるのも確かで、なかなか複雑なところだったりします。
あと個人的には、ワイズの表情の豊かさが印象的ですね。
原作のおぼろげな記憶では、彼女は勝ち気な感じが先行していたのですが、アニメを観てみると、ころころ変わる表情といい、自分の母親を語るときの空気感といい、「まだまだ子供」という印象がかなり強い。
メディアが変わるとこういう印象も変わってくるんだな、という好例に思えます。
ちなみに物語は、あって無いようなもの。
しかしコメディなので気楽に観られるという点で、悪い意味ではなく「割とどうでもいい」要素だと私は感じています。
グランベルム プリンセプスのふたり
魔術師の戦いに巻き込まれた少女の話。
魔術師といっても、ロボット(のようなもの)を操って戦うので、実質的にはロボット物のカテゴリに入るのでしょうか。
数人の魔術師が、一つの座を巡って争うというのは、割とコテコテな設定であり、そこに今さら惹かれるものでもなく、ではどこが本作の武器なのかというと……どこなのでしょう。
とりあえず3話まで観たのですが、正直なところ、その武器を未だに見つけられずにいます。
あえて言うなら、キャラクター達の動機や言動が、現代的であることを積極的に意識して作られているように感じられるところが、それにあたるのでしょうか。
個人的には、そろそろ視聴も限界かな、と思っています。
もともとロボットの類があまり好みではないというのも大きいですね……。
荒ぶる季節の乙女どもよ。
性に振り回される、文芸部の女子高生達の話。
これは面白いですね。テーマが冗談のようでもあるのですが、本人達にとってそれはとても重いもので、立派に青春モノとして成立しています。
それでいながらコメディ色もほどよく混ざっており、重さと軽さ、テンポの緩急、キャラクターの表と裏、そういったものがすべてバランス良く発揮され、完成度の高い作品に仕上がっている。
ちょっとこちらの共感性羞恥を刺激するシーンもあったりして、観るのに気合いを必要とするところもあるのですが、それをするだけの価値はしっかりあります。
原作は別冊少年マガジン連載作品なのですが、少年漫画かと問われると、そういう範疇には収まっていないなというのが回答になるでしょうか。
本当にいろいろな要素が詰まっている作品なので、老若男女関係なく楽しめるのではないかと思いますね。
原作者が脚本家で、自身が脚本を務められるのも強みなのだろうなと思います。
Re:ステージ! ドリームデイズ♪
アイドルを目指して部活を頑張る少女の話。
とある大会に向けて頑張る日常、そして音楽一家から逃げるように転校してきた主人公……この辺は『ラブライブ!』と『ガールズ&パンツァー』を合体させたような感じですが、実際その印象通り、オリジナリティのようなものは感じられません。
良くも悪くも「普通の学生アイドル物」をやって、それでオシマイにしようとしているように見受けられます。
個人的にはここまであまり惹きつけられるものはなく、これは原作ファンが「動くキャラクター達」を楽しむための作品なのかな、という気がしていますね。
何か一つ「これ」という見所があれば、光ると思うのですが……。
可愛ければ変態でも好きになってくれますか?
主人公の元にラブレターとパンツを置いていった少女の正体を追い求める話。
原作は1巻だけ買って読んでおり、そこまでの大筋はだいたいわかった状態での視聴です。
基本的にはハーレム物の形態をとっており、ただし女の子達のアプローチがタイトルの通りいちいち変態的というのが、本作の特徴となっています。
この大筋だけで想像すると、いかにもテンプレ的な内容で退屈なように思えるのですが、実際に観てみると、なぜかそういう感じがしません。
別段台詞回しが面白いわけでもないのですが、一つ一つのシーンを飽きずに消化することができる。
たぶん、テンポと作画が優れているからなのではないかというのが、今のところの私なりの分析です。
あくまで「変態的」がテーマであり、現時点ではそれがえっちいところまでは発展していないのですが、個人的にはそっち方面にブーストをかけてくれてもいいのにな、というのが正直なところだったりします。
ここについては、原作2巻以降がどうなっているのか次第ですね。
そういう方向にも、ちょっと期待したいところです。
ありふれた職業で世界最強
異世界に学校のクラスごと召喚された主人公が、クラスメートの裏切りでダンジョンの奥底に落ち、そこで生き延びようと奮闘する話。
タイトルに「ありふれた職業」とあるのですが、何がありふれていて何がそうでないのか、舞台となる世界の常識がわかっていないので、いまいちピンと来ません。
とりあえず、戦闘向きではないジョブで戦闘を頑張る展開であることは理解した、という感じです。
主人公の人格が、1話の途中からまるで変わってしまうところとか、カットバックによる説明が最初のうちいまいちわかりづらかったりとか、ちょっと違和感のある出だしだったのですが、3話でそれも落ち着いてきました。
しかしそうなってみると、やっていることが意外と地味である、というのが剥き出しになってきて、この先大丈夫だろうか、という心配が湧いているところです。
遠からず物語が大きくなっていくと思うのですが、そこでどれだけ個性を出すことができるかが、作品としての出来を決める重要なポイントになるでしょうね。
今夏は異世界モノが多く、裸足不足
今年の夏アニメは、異世界転生・召喚モノが本当に多いです。
もちろん、たくさんの作品の中からそういうのを選んだのは私自身なので、これは文句ではないのですが、それにしても多い。
アニメ業界の偉い人達が「異世界モノは売れる」と判断したのがほぼ同時期で、その判断のもとに企画が成立して制作が始まって、それがかたちになってオンエアされたのが今だった、ということでしょうか。
悪いとは言いませんが、ちょっと皆で同じものを追いかけすぎかな、というのはどうしても思ってしまうところです。
異世界転生・召喚モノと一口に言っても、当然ながらそれぞれの作品が「その枠内で」自分なりの個性を出そうと努力しているのはうかがえます。
それが割と上手くいっている作品もあれば、残念ながら効果に表れていない作品もある。
いずれにせよ私が気になるのは、当たり前のように出てくる「ステータス画面」ですね。
私などは未だにこのセンスに慣れないのですが、異世界モノでコレが出てくるのはもはや常識であり、違和感を口にする感性のほうが「ダサい」「遅れている」のでしょうか?
だとしたら、あまり突っ込むのも怖いですよね。もう少し視聴を続けていれば、いずれ麻痺してきてどうでもよくなる気もするので、今しばらくは黙って浸かっていたいと思います。
また今季は、裸足アニメが少ないのが気になりますね。
去年の夏アニメはいろいろな作品で裸足がたくさん見られ、まさに豊作のシーズンだったのですが、今年は天候のせいか、深刻な裸足不足です。
より正確に言うと、キャラクターが裸足になっているシーンはそれなりにあるのですが、あまり足元を見せてくれないんですよね。
それがとても歯がゆい。
ここから挽回して、美しい裸足を拝ませてくれると嬉しいのですが……。
まあ、ほどほどに期待しておこうと思います。
今季の(現時点での)ベスト3
2019年夏アニメ、現時点での個人的ベスト3は、以下のようになっております。
- 第3位――女子高生の無駄づかい
- 第2位――ダンベル何キロ持てる?
- 第1位――荒ぶる季節の乙女どもよ。
本当に個人的な問題として、最近の私は、あまりシリアスを受け付けなくなっているんですよね。
そういう作品を観る順番が来ると、精神的にズーンと重くなって、なかなか自分を視聴まで漕ぎ着けられない。
たぶん、実生活のほうでいろいろあるからなのかもしれません。
そんな中にあって、そこそこシリアスな『荒ぶる季節の乙女どもよ。』が暫定1位なのは、ひとえにその作りの巧みさにあります。
その戦略にまんまと嵌り、本作を持ち上げているという感じですね。
果たしてこの順位は変動するのか。それとも他作品の下剋上はあるのか。
私としては、高い水準で激しいデッドヒートをしてくれることをひたすら願ってやまない次第です。
おわりに
こういう記事は、本当はもっと早く、夏アニメ開始直後くらいに書くべきだと思うのですが、一応全部の作品を3話まで観てから書こうと決めておりまして、その結果、今日までずれ込んでしまいました。
現行アニメの記事はナマモノなので、時期を逸するとアクセス数にも響くと思うんですよね……この記事が少しでも多くの人に読んでいただけることを祈っています。
ちなみに本記事では14本を紹介しましたが、正直なところ、もうそろそろ切ろうかなと思っている作品が幾つかあります。
まだ決定ではないので名指しはしませんが、切って身軽になりたいな、という気持ちに傾きつつある作品が、幾つか。
然るべきタイミングが来たと感じたら、それらの視聴をやめて、代わりに旧作を少し視聴レパートリーに足そうかなと考えています。
たとえば『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』は、現在2期を放送中なのですが、1期をまだ観ていないので、手が出せずにいるんですよね。
ここで1期をサクッと消化してしまい、2期のオンエアに追いつくのもアリだな、みたいなことを、例えば現在考えているところです。
こんな感じでしょうか。
お互い、楽しいアニメライフを送っていきましょう。