さすがの人気
昨日、『のんのんびより』のイベントにて、TVアニメシリーズ3期の製作が発表されました。
さすがの風格という感じで、Twitterのトレンドに長い時間居座っていただけでなく、Yahoo!のトップページにも記事が出ており、その愛されぶりが窺える一日となっていました。
1期は2013年、2期は2015年、劇場版は2018年。このように並べると、もうかなり長い歴史になっていることがわかります。
3期の放送時期を来年とすると、1期のときに小学生だった視聴者が下手をすると大学生になっているわけですから、時の流れの恐ろしさを感じますね。
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居心地が素晴らしい作品
『のんのんびより』は、私も好きな作品です。
田舎の空気感の、リアルであることが気持ち良い要素を徹底的にリアルに、そうでなくてよいところはファンタジーたっぷりにすることで、独特の居心地を作り出すことに成功している。
キャラクターは全員が魅力的で、ちょっとしたやり取りがもうそれだけで何かこちらを満たしてくれるものがある。
日常系アニメのお手本のような作りだと思っています。
そう遠くないうちに、あの世界に3ヶ月間(恐らく1クールでしょう)浸ることができるというのは、十分「死ぬわけにはいかない理由」の一つになり得るものです。
人生いろいろあって先行き不安な私ですが、まあ何とか生き延びたいなと、気持ちを新たにする次第でした。
私とのんのんびより
――などということを考えていると、ふと次のようなことが頭によぎりました。
「そういえば、1期や2期を観ていたのは、自分はどんなことをしている時期だったっけ?」
それで、独自に書き続けているアニメ視聴メモを読み返してみることにしました。
今から13年前の2006年1月の終わりに、ふとした思いつきで「その日観たアニメ」を記録するようになり、それが今日までずっと続いているのです。
だからどの作品の何話を、何年何月何日に観たのかが、検索すれば一発でわかる。
その結果、私は1期と2期を、2016年3月6日から17日にかけて、一気に観ていたことがわかりました。
きっちり一日に2話ずつ、12日かけて、全12×2=24話を消化したわけです。
なるほど、道理で……と思いました。
「のんのんびよりを観ていた頃は、こんなことをしていたなあ」みたいな思い出がないのは、作品を短期間で消化してしまっていたからなのです。
視聴スタイルの違いが生み出すもの
TVアニメのシリーズとどのように付き合うかについては、大きく2通りに分けることができます。
一つは、毎週の放送に付き合うか、あるいは別の時期に自分でスケジュールを組むかして、一定の長い時期をその作品と共にする視聴方法。
もう一つは、録り溜めたものや動画サイトの一挙放送などを用いて、ある短期間にまとめて視聴してしまう方法です。
べつにどちらかが「正しい」わけではありません。
どのように観ようがまったく自由であるし、そもそも我々には生活の事情というものがあるわけですから、仮に正しくなかろうが、それを選ばざるを得ないことも多い。
ただ、これは個人的なこだわりの域を出るものではないのですが――1クールなら3ヶ月、2クールなら6ヶ月、そういう長い時期をある作品と共に過ごすことには、その作品の内容自体がもたらす以上のものを生み出し、脳みそに「良き思い出」を残す効果があるなというのを、強く強く感じるのです。
これは記憶法の面からも説明のつく話ですね。
長い時期をある作品と共にするということは、その作品についての記憶と、それ以外の自分の生活についての記憶を、分散学習的に重ねるということなのです。
そのことで両者の記憶は深く結びつき、まとまった記憶として強固なものとなり、そのどちらについても忘れにくくなる。
私には『のんのんびより』に関して、そのようなタイプの思い出がないのです。
それを思うと、何だか妙に寂しい気持ちになってしまいました。
前述したような視聴を当時行ったのには、もちろんそれなりの理由があったはずなのですが、それを考えに入れたとしても、次のような小さな後悔が生まれたのです。
「のんのんびよりを、ちゃんと生活の一部にしておきたかったな……」
アニメを人生に組み込む
このようなことを考える人間にとって、TVアニメを観るというのは、特定のフィクションを鑑賞するというだけの行為ではないんですよね。
人生のある一時期をその作品と共に過ごすことで、ノスタルジックに振り返ることのできる過去を作っていく行為でもあるのです。
これは、ある作品の出来不出来を客観的に批評するときなどにはノイズになり得るものかもしれません。作品外のことで贔屓が生まれてしまいますからね。
ですが、人生を温めていく上では非常に有効なものであると、私などは考えるわけです。
『のんのんびより』のような空気感の作品を、もっとちゃんと自分の過去にしたかった。
こればかりはチャンスは一度きりであり、例えば今から毎週1話ずつ再視聴していけばいいのかというと、そういう話ではない。
最初の出会いは特別なのです。
良いものになって欲しい
……長々と書いてきて、結局何が言いたいのかというと、3期こそはしっかりと放送時期に毎週付き合って、自分の3ヶ月とセットで記憶に残したいな、ということです。
まあ大前提として、視聴を続けるだけの面白さを感じられることが必要なのですが……それはたぶん大丈夫でしょう。そう思いたい。
個人的な意見としては、最近の原作にはどこか「惰性でキャラを動かしているだけ」みたいなところがあり、空気感とキレが鈍っている気がするので、アニメスタッフには「原作の再現との間で迷ったら、これまでアニメ版が築いてきたことのほうを採る」スタンスで作っていって欲しいです。
3期、楽しみにしています。