司法書士――ちょっとマイナーな難関資格
皆さんは司法書士という国家資格をご存知でしょうか?
主に登記等を代行する業務を行うのに必要な法律系の資格で、その試験の難しさはかなりのもの。さすがに司法試験ほどではありませんが、それに次ぐほどの難易度となっております。
実は私は、長年この司法書士試験の受験生をやっております。
恥を忍んで告白しますと、今年の受験が実に7回目になります。
この試験の合格までにかかる平均的な年月は4年などと言われておりますので、すでにそれを大幅に超え、とっくにベテランの域に入っている状態です。
このようなベテランのことを、受験業界では嘲笑や自虐の意味を込めて「ベテ」と呼ぶのが昔からの習わしです。
この二文字に込められた、単なる略称以上の重~い呪いのようなあれこれは、実際に受験の沼に浸かった人間にしかわからないことでしょう。
取り繕いようもないくらい、私は司法書士試験におけるベテであるわけです。
勉強に全リソースを傾けない
この司法書士試験は、毎年7月に行われます。
そしてその直前3ヶ月、つまり4月、5月、6月のことを、俗に「直前期」と呼びます。
この直前期は、司法書士受験生にとってまさに運命を分ける3ヶ月。学生や社会人は必死で時間をかき集めて勉強しますし、仕事を辞めて丸一日を勉強に費やす専業の受験生もかなりの数存在します。
そんな中、私は勉強を頑張りつつも、大切な直前期にこのようなブログを始めてしまったわけです。ブログ開設にあたって一番悩んだのが、この受験との両立です。
単なる現実逃避ではないかという自問も結構あったのですが、結果的にはこうして開設し、ネタ探しと記事執筆に一定の時間を割くことを選択しました。
ここには、悪い意味での大きな諦めとは違った、現実主義的な小さな諦めが介在しています。
長年受験生をやっていて痛感したことですが、私には一日16時間とか勉強するような怪物達の真似をすることは到底できません。それをやれれば合格は一気に近づくのかもしれませんが、精神力と習慣化で到達できる領域ではないことが、自分でわかっています。
なのでそういうのを目指すのはやめて、自分が集中して取り組める時間をきっちり決めてそれだけを確保し、それ以外の時間には勉強を持ち込まない、という結論に達したのです。
逆にこのブログが気晴らし――と言うとなんだか安っぽいですが――になって、スッキリ感などの形でフィードバックが得られればいいなと、前向きに考えている次第です。
「自分なりの本気」を確立して開き直る。そういう戦略を採りました。
今年の受験戦略
さて、ここからは司法書士試験を知っている人に向けた文章になりますが、ご容赦を。
教材編
今年の私が使っている教材は、以下のようになっております。
テキスト:民法と不動産登記法はリアリスティック、それ以外はオートマシステム
過去問集:オートマ過去問2017年版
その他問題集:オートマシステムでるトコ一問一答の民法と不動産登記法
記述:リアリスティック記述式、オートマシステム記述式不動産登記法
まずテキストですが、個人的な感想として、リアリスティックがとても使いやすく、逆にオートマはどうも文章と構成が自分にはとっつきづらいと感じています。
なので本当はすべての科目をリアリスティックで勉強したいのですが、残念ながら今のところ民法と不動産登記法しか出版されていないので、上記のような布陣となっております。
過去問については、合格ゾーンを使うという選択肢はありませんでした。どう考えてもすべての過去問を全部回すというのは効率的ではなく、その割には単純なページ数の多さゆえに値段が高い。その意味でオートマ過去問は、読みにくいテキスト(個人的に)とは正反対に扱いやすく、最適な過去問教材だと感じています。
ただ、未だに2017年版を使っているのは、少し問題かもしれません。これはひとえに私の経済状態から来るもので、あまり考えないようにしてはいるのですが。
でるトコは、いわゆる「未来問」に触れるための問題集として、とりあえず2科目分を買ったわけですが、言われているほどの網羅性はないなというのが正直な感想です。
その点にもし不満がまったくなければ、今頃は残りの2冊も買っていたと思うのですが……まぁとりあえず、ちょこちょこと使ってはおります。
記述式の問題集がオートマの不動産登記法だけなのは、私も成績の傾向ゆえです。商業登記法のほうはある程度の点数が取れるのですが、不動産登記法のほうがどうしても酷い点数しか取れない。
そんな状態を打破するために買ってみたのがコレなのです。
商業登記法のほうは、恐らく何とかなるでしょう。おかしな現象ですが、私は択一の商業登記法があまり得意ではないのに、記述のほうはそれなりの点数を取れるのです。
勉強法編
去年まで、私の勉強法はテキスト中心でした。安直と言われればそうかもしれないのですが、とにかくテキストを何度も何度も読み返す、というのが勉強の中心になっていました。
しかし今年に入って、改めていろいろな勉強法の勉強をしてみた結果、テキストを読み返すことをメインにしていては、長期記憶を作る上で遠回りになってしまうということを、今更ながら理解するに至りました。
決定的な契機となったのは、メンタリストDaiGoさんのYouTube動画とその著書ですね。DaiGoさんの説明は世界中の論文をバックボーンにした大変わかりやすいもので、単純な私はすぐその気になってしまいました。
そのようなわけで、今年は過去問に力を入れるという点でも、テキストを読むときにその都度内容をソラで思い出す作業を挟むという点でも、「アウトプット」を勉強の主体としています。
科学的にはこれが正しいらしいのですが、実際にどのくらい効果が出るかは、とても残酷なことながら、地頭の良し悪しにかかっています。そのあたりが、いよいよシーズンが迫ってきた模試によってある程度わかってくるわけですが、まあ正直に言って怖くはあります。
ベストな方法論にたどり着いて実践して、もしそれでもダメだったら、もう本当にダメということじゃないか――みたいな。
科学的な勉強を調べて実践しているというよりも、科学という宗教に身を委ねたというほうが感覚的には近く、神の祝福があらんことをひたすらに願う毎日です(「科学という名の神です」って誰の台詞でしたっけ。ああ『BASTARD!!』のアビゲイルだ)。
いろいろあるけど受かりたい
この試験、毎年徐々に受験者が減り続けており、来年からは受験会場も50ヶ所から15ヶ所に縮減されます。
司法書士が語られる際には、AIの台頭などと絡めて「この職業は近いうちに消えるのではないか」ということが頻繁に指摘されている状況です。
その意味では、試験の難易度に見合わない職業になりつつあるようにも窺え、せっかく受かってその道に進んでも、報われることはあまりないのではないか――という考えも、正直に言えば常に頭にチラついています。
消える消えると言われることが多いのにそれでも勉強を続ける自分は、単にこれまで費やしてきた時間が惜しくて「損切り」できないだけなのではないか? 思考停止に陥っているだけなのではないか? などなど。
しかしそれもこれも、今年受かってしまえば気にする必要のない話である、ということだけは、はっきり言い切れます。資格を持っていて損することは絶対にありませんからね。
令和元年。何とか今年で、この修行のような受験勉強を終わらせたいところです。